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「我慢でした、東海新人のときもそうでしたが、小澤と赤間のところをフェイスガードされると、どうしてもリズムが出ない。それで前半は自分たちのオフェンスがまとまらなかったのですが、よく40分を通して自分たちで調整しながら戦ってくれたと思います」
「第70回東海高等学校総合体育大会バスケットボール競技」(6月17、18日開催)を制した藤枝明誠高校(静岡県)の金本鷹コーチは、大接戦となった決勝を終えて、このように語った。
桜丘高校(愛知県)との準決勝では第4クォーターで追い上げにあったものの、前半で奪ったリードを守り切って勝利し、決勝へとコマを進めた藤枝明誠。決勝の相手は、2月の東海新人大会でも決勝を戦った美濃加茂高校(岐阜県)となった。
試合は、「東海新人でもトライアングルツー・ディフェンスの時間帯が成功していた」(林龍幸コーチ)という美濃加茂の巧みなディフェンスの前に藤枝明誠は思うように得点が伸びない。第1クォーターを終えて14-22と後手に回ると、第2クォーターこそ互角の戦いとなったが、前半は32-40で終了。8点のビハインドを負うこととなった。
しかし後半、前半は得点の伸びなかった赤間賢人(3年)に対して「(オフェンスでの)動き出しのポジションの修正をした」(金本コーチ)という藤枝明誠は、その赤間が開始早々に速攻を決めると、その後も奮起。これに小澤朋樹(3年)も続いて、第3クォーター中盤には美濃加茂を捉えることに成功した。
だが、追いつかれた美濃加茂も一歩も引かず。北條彪之介(3年)、エブナ フェイバー(2年)らで入れ返していく。そのまま試合は終盤までもつれたが、残り40秒で藤枝明誠が3点のリードを奪う。このまま藤枝明誠が逃げ切るかに思われたが、美濃加茂は残り29秒、後藤陽南(3年)が値千金の3ポイントシュートを沈めて、勝負は延長へともつれた。
延長戦は互いに点を取り合う中、残り1分半を切って藤枝明誠が斎藤佑真(3年)の3ポイントシュートなどで5点のリードを奪う。美濃加茂の粘りに点差を詰められる場面はあったものの、再び斎藤が要所でのリバウンドシュートを沈めた藤枝明誠は、92-86で美濃加茂を振り切り、熱戦に終止符を打った。
これにより東海大会では10大会ぶり4度目の優勝となった藤枝明誠。「(これまで)追いかける展開はあまりなかったので、次につながるゲームになったと思いますし、今年の東海地区のレベルの高さもいろんな人に知ってもらえるゲームになったとも思います」と、金本コーチ。「地の利」もあったと思いますと、地元開催での優勝に喜びの言葉を発していた。
なお、3位決定戦は、準決勝で美濃加茂に惜しくも敗れた中部大第一と桜丘との愛知県チーム同士が対戦。前半から両者譲らぬ展開となったが、最後は中部大第一が73-69で接戦を制した。
中部大第一と桜丘は、ともに今夏のインターハイ出場を決めている。そのため、「相手のやろうとすることをジャッジして正しくプレーできるようにしていきたいです」と中部大第一の常田健コーチは、インターハイに向けての課題を挙げた。
一方の桜丘・水越悠太コーチは、「(藤枝明誠との)準決勝では最後まで選手たちが自ら声を掛け合っていました。悔しい思いは120パーセントありますが、選手たちはベストを尽くしてくれたと思います」と、大会を振り返っていた。
取材・文=田島早苗
写真=伊藤大允