2023.06.28

新戦力加入でさらに攻撃力をアップさせた東山が磐石の戦いで近畿王者に

優勝した東山はどこからでも得点のできる布陣 [写真]=奥田晃介
フリーライター

■万全な体制で全国に挑む東山

「チームとしてはすごくいい状態でインターハイに臨めると思います」

 6月23日〜25日の期間、奈良県にて行われた「第70回近畿高等学校バスケットボール大会」。2019年以来の優勝を果たした東山高校(京都府)の大澤徹也コーチは、笑顔で大会を振り返った。

 初戦となる2回戦から順調に勝ち上がった東山は、決勝戦で阪南大学高校(大阪府)と対戦。第1クォーターこそ22-18とわずか4点のリードで終えたが、第2クォーターに入ると佐藤凪(1年)の3ポイントシュートなどが適時に決まり、追い上げる阪南大学を引き離していく。リバウンドからシュートをねじ込む佐藤友(3年)にドライブから攻撃を仕掛ける瀬川琉久(2年)と、新チーム当初からチームをけん引してきた2人も果敢に攻め、前半は48ー33と15点リードで終えた。

東山のルーキー・佐藤凪は思い切りの良いシュートで得点を挙げた [写真]=奥田晃介


 一方、阪南大学もンワンクォ・チネドゥ・ゴッツウィル(2年)が力強いドライブから得点を挙げ対抗。この試合5本の3ポイントシュートを沈めた松本星希(2年)も追随したが、第3クォーターで30得点と攻撃の手を緩めなかった東山が阪南大に付け入る隙を与えず。第4クォーターでもバックアップの選手たちがアグレッシブにプレーし、終わってみれば100-74で東山が大勝した。

「瀬川がフェイスガードでつかれている中、佐藤凪がいいところでシュートを決めてくれました」と、勝った東山の大澤コーチは試合の感想を語った。一方、敗れた阪南大学の森本正コーチも、「佐藤(友)くんと瀬川くんのところは(2月の)近畿新人でもやられていたので、的を絞って守るようにしていました。そこに3人目まできたことで後手になってしまいました」と、28得点を挙げた東山・佐藤凪の存在を試合のポイントに挙げていた。

 決勝では敗れはしたものの、阪南大は準決勝では京都精華学園高校(京都府)との接戦を制しての決勝進出。そのため、「接戦をものにできた経験は大きいです」と、森本コーチは大会を振り返っていた。

■インターハイにも負けないハイレベルな戦いで成長

 その阪南大学に惜しくも89-98で敗れた京都精華学園。準決勝は、前半こそ9点のビハインドを負ったものの、後半に入るとじりじりと追い上げていく展開に。一時は1点差にまで詰めたが、阪南大学の松本に3ポイントシュートを許して万事休す。「相手の得点を90点台に乗せないようにと考えていましたが…。勝ちたかったですね…」と、京都精華学園の山崎翔一朗コーチは、肩を落とした。

 また、準決勝で東山に挑んだ大阪学院大学高校(大阪府)は68-88で敗退。試合では、エースの太田凛が東山の執拗なマークに遭い、得点面で苦しんだ。ただ、その中でも道澤晴、中島暖登(いずれも3年)らが最後まで攻め気のプレーを貫き、粘りのチームディフェンスで意地を見せたが、前を行く東山を捉えることはできなかった。

 大阪学院大学は今年、2017年以来のインターハイ出場を決めている。指揮を執る高橋渉コーチは、今年のチームを「3年生を中心にメンバーがそろっている」と評し、インターハイを見据えた上で、「(近畿大会では)準々決勝では粘って勝てたことが大きかったです。今後はディフェンスとリバウンドを強化していきたいです」と、意気込みを語った。

阪南大学はシューターの松本が決勝でも5本の3ポイントシュートを沈めた [写真]=奥田晃介


「(近畿大会では)できるだけインターハイに近い状態でゲームをやらせてあげたいと思っていました。選手は、これだけできるだろうという理想とのギャップもあったと思うので、その差を埋めていきたいです」と、東山の大澤コーチ。

 インターハイ出場チームは、今回の近畿大会をステップに、あと1カ月と迫った夏の大一番に向けてギアを上げていく。

京都精華学園は準決勝で競り負けて決勝進出はならなかった(写真は藤内)[写真]=奥田晃介


中島ら3年生を主体にチーム力でベスト4へ駆け上がった大阪学院大学 [写真]=奥田晃介


取材・文=田島早苗
写真=奥田晃介