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6月17日・18日、福岡市総合体育館(照葉積水ハウスアリーナ)とアクシオン福岡において、「第76回全九州高等学校体育大会バスケットボール競技大会」が開催。九州・沖縄8県のインターハイ予選を勝ち抜いた1位と2位、男女32チームが集結、熱戦を繰り広げた。
男子の準決勝に勝ち上がった4チームを組み合わせ順で紹介すると、福岡県1位の福岡第一高校と大分県1位の別府溝部学園高校、宮崎県1位の延岡学園高校と福岡県2位の福岡大学附属大濠高校。ぞれぞれが持ち味を生かしたゲームとなった。
試合の行方が最後まで分からなかったのが延岡学園と福大大濠戦。第3クォーター終了時には54−42と延岡学園が12点ものリードを奪い優位に見えたが、福大大濠はともに岩下愛育(3年)と湧川裕斗、高田将吾(ともに2年)が積極的にアタック。守ってもゾーンプレスとマンツーマンのチェンジングディフェンスで延岡学園のターンオーバーを誘発させ、次第にビハインドを詰めていった。
崎濱秀斗、山口瑛司(ともに3年生)という自慢の2ガードが故障のために万全なコンディションではなかった福岡第一。2人の出場時間を制限した中、他の選手の頑張りで初日を突破。迎えた別府溝部学園との準決勝ではロハンドジュラ オマニュド ジョン(2年)の高さと大庭涼太郎(3年)の積極的なシュートに手を焼く展開に。それでも46−41で迎えた後半、福岡第一は控えの高口陽季(3年)が攻防にわたり躍動する。高口はゾーンディフェンスの裏をついたポジショニングでゴール下のシュートを決めたかと思えば、速攻の先頭を切る走力を見せつけチームに勢いをもたらしていく。
決して本調子ではない福岡第一に、福大大濠を大熱戦を末に倒した延岡学園が挑戦する構図となった決勝戦。しかし、ウインターカップ出場枠獲得、さらにはインターハイに向けて勢いを増していきたい福岡第一は試合開始から万全な試合運びを見せた。
ティップオフ直後から積極的にゴールを目指したのが世戸陸翔(3年)。持ち前の走力を活かしてゴール下に走り込み、次々と得点をあげていく。これに呼応するように崎濱秀のシュート、山口のアシストが冴え渡り、一気にリードを広げていった。最初の10分間が終わるると、福岡第一は33−17とリードを奪った。
福岡第一はベンチ入りした15名がコートに立ち、チームのコンセプトである堅守速攻を体現。最終スコア107−72で勝利し、九州大会5連覇を達成した。
試合後、メディア対応した福岡第一の井手口孝コーチは、「とりあえずウインターカップの出場枠を獲得できたので責任を果たしました」とホッとした表情を見せた。崎濱(秀)と山口という自慢の2ガードがケガのため本調子ではない中での勝ち上がりだったが、「この大会の意味を選手たちが理解していました。とにかく勝たないといけないことはわかっていたので」と言葉を続けた。
連覇がかかるインターハイの開幕までほぼ1カ月。本番に向けては「万全なコンディションで大会を向けたい」と課題を語る。インターハイが終わればU18日清食品トップリーグが始まり、その後にはウインターカップ予選まで毎週試合が組まれていく。
「それだけに鍛えるのは今の時期しかないかもしれないですね。少しぐらい頑張ってもケガをしない体作りをしたい。トレーナーと相談して、ラグビーの日本代表に負けないくらいのメニューを組んで選手たちを鍛えますよ」と前を向いた。
一方敗れた延岡学園は大きな収穫と明確な課題を得た大会になった。楠元龍水コーチは、「(福大)大濠さんに勝って一つ自信をつけました。しかし、(福岡)第一さんとの決勝はきつかったですね。ここで勝てたら本当に力をつけた証拠だったのですが。自分たちの目標である日本一になるのはこの壁を乗り越えなければいけないですね。足元から見つめ直して取り組んでいきます」と、大会を振り返った。
取材・文=入江美紀雄
写真=佐々木啓次