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6月3日と4日、アダストリアみとアリーナで「令和5年度 関東高等学校男子バスケットボール大会 第77回関東高等学校男子バスケットボール選手権大会」が開催。計32チームが2日間にわたり熱戦を繰り広げた。
各県の予選上位チームが相まみえたAブロックは、日本航空高校(山梨県)と正智深谷高校 (埼玉県)が決勝へ進出。日本航空は実践学園高校(東京都)相手に105-94で初戦を突破すると、県立伊奈学園総合高校(埼玉県)との2回戦も100点ゲームで勝利。準決勝では2月の関東新人大会で敗れた土浦日本大学高校(茨城県)を75-63で破って借りを返した。
対する正智深谷は、初戦のつくば秀英高校(茨城県)から順に99点、113点(vs成立学園高校/東京都)、99点(vs宇都宮工業高校/栃木県)をマーク。準決勝の宇都宮工業戦ではいきなり0-10のランを許したが、後半の20分間を31失点に抑えて逆転勝利。日本航空と同様に、守備よりも高い攻撃力を発揮して決勝まで勝ち上がった。
令和元年以降、関東大会は新型コロナウイルスの影響による大会中止に加え、令和3年、4年は試合数軽減のため決勝戦を実施してこなかった。しかし、今大会から従来通りの決勝が行われ、4年ぶりに単独優勝を決めるフォーマットに戻った。迎えたAブロック最終戦は立ち上がりから点の取り合いとなり、前半を終えて45-44。日本航空1点リードで試合を折り返した。
第3クォーター、わずかに抜け出したのは日本航空。同クォーター中盤以降、オルワペルミ・ジェラマイア(2年)が攻守にわたりゴール下を支配し始めると、リバウンドからファストブレイクも決まり、66-60で最後の10分間へ。第4クォーター序盤には中西哲太(2年)の3ポイントシュートでリードを2ケタとした。
日本航空はその後も反撃を試みる正智深谷に対し、守備ではジェラマイアの高さとゾーンディフェンスを駆使して相手を苦しめ、オフェンスでは速攻が効果的に決まり点差を拡大。最終的には91-78と差がつき、見事に今年度の関東王者に輝いた。
今年の日本航空は、200センチながら走力としなやかさがあり、リングに頭をぶつけてしまいそうなほどの跳躍力のあるジェラマイアの存在が際立つ。今大会の決勝では40得点34リバウンドの大暴れでチームを優勝へ導いた。
ただ、ジェラマイアと同じ2年生の中西、大道一歩のガード陣もシュート力があり、中学3年次にはLakeForce(滋賀県)の主力として「Jr.ウインターカップ2021-22」でベスト4に入った実力者。山本裕コーチも「2人は中学時代から同じチームで経験もある。安心して任せられます」と信頼を寄せる頼もしい存在だ。
ジェラマイア、中西、大道の2年生トリオを軸にしながらも、日本航空はキャプテンの福岡恭輔らの3年生がディフェンスや泥臭いプレーで脇を固め関東を制した。指揮官が「精神的な柱」と表現する福岡は、「優勝できてとてもうれしいですし、山梨県にしっかり貢献できたと思います」と笑顔を見せ、「今大会は試合中でも選手だけでコミュニケーションが取れていたので、いい試合ができたのかなと思います」と優勝の要因を口にした。
関東地区はこれからインターハイ予選が本格化し、山梨県は6月17日から夏の全国出場へ向けたトーナメントがスタートする。福岡は「『ディフェンスからブレイク』という自分たちのスタイルをしっかり貫いて、ジェリー(ジェラマイア)のダンクや3ポイントもバンバン決めて、ベンチも応援席もチーム一丸となって戦いたいです」と力を込めた。
なお、Bブロックでは連日にわたりオーバータイムまでもつれる試合があるなど、Aブロックに引けを取らない熱戦が繰り広げられた。そんな中でも4試合すべてで20点差以上の快勝を収め、力の差を示したのは埼玉栄高校(埼玉県)。同校は今後、インターハイ出場に加え、正智深谷が決勝進出を決めたことで2枠に増えたウインターカップの出場権獲得へ向け、さらなる強化を図っていく。
取材・文・写真=小沼克年