2023.06.05

リバウンドで勝った福岡第一が福岡大学附属大濠を退けインターハイ出場を決める

インターハイでは連覇が懸かる福岡第一 [写真]=佐々木啓次
フリーライター

 6月4日、飯塚市総合体育館にて行われた注目の一戦は、福岡第一高校に軍配が上がった。

 たった一枠の出場権を懸け、福岡第一と福岡大学附属大濠高校とが争った福岡県のインターハイ予選決勝。試合は、森田空翔(3年)の3ポイントシュートで先制した福岡第一が先行する。しかし、福大大濠も鈴木凰雅(3年)が3ポイントシュートにドライブにと得点を奪取。福岡第一を捉えると、岩下愛育、広瀬孝一(いずれも3年)らも続き、第1クォーターは福大大濠が21-20とリードした。

 しかし、第2クォーターに入ると福岡第一がオフェンスリバウンドを奪い、そこでのセカンドチャンスを確実にものにしてリードを広げていく。森田、崎濱秀斗(3年)のバスケットカウントのシュートなどもあり、前半は福岡第一が51-40と11点リードして終えた。

 後半に入っても点差を保ちながら試合を進めていく福岡第一。第3クォーター終盤には福大大濠の湧川裕斗、高田将吾(いずれも2年)らに3ポイントシュートを許して、詰められる場面はあったものの、ここでも崎濱が勝負強くシュートを沈めて主導権を渡さない。すると、第4クォーター中盤には連続得点で一気に点差を広げて勝負あり。最後は100ー89で勝利した。

福岡第一の森田(右)は献身的なプレーでチームを引っ張った [写真]=佐々木啓次


 これにより、7月末から北海道で行われるインターハイの出場を決めた福岡第一。それでも井手口孝コーチは「今日の試合(決勝)は、決して良くはなかったですね。いらないファルなどがありました」と、コメント。また、福大大濠に89点を奪われたこと、中でも湧川らに連続で3ポイントシュートを沈められたことなどから、「ガード陣がもうワンローテーションぐらい頑張らないと」と、ディフェンスでの課題を口にした。

 それでも、インターハイ予選を通しては、高口陽季(3年)らセカンドチームの選手たちが「(試合の中で)2、3回、大きいプレーをしてくれた」と言い、さらには「ガードの下級生も経験を積めたので、選手層は厚くなってきたかなと思います」と、収穫もあったようだ。

 試合直後の場内インタビューでは、ウインターカップでの福岡県の枠を3つにしたいと語った井手口コーチ。それには、約2週間後に行われる九州大会で(福岡県チームが)優勝すること、そしてインターハイでの決勝進出が条件となる。「オフェンスなど、もう一度、整理していきたいです」と、指揮官は、夏に向けて改めて意気込んでいた。

 一方、「相手のやりたいことをやらせないようにはできたと思うのですが、前半に11本リバウンド取られてしまい、(その後もリバウンドの)修正ができなかったです」と、語ったのは福大大濠の片峯聡太コーチ。湧川の10本の3ポイントシュートなど、追い上げを見せたが、あと一歩及ばなかった。

 福大大濠は今大会、204センチでインサイドの要である渡邉伶音(2年)が足のケガにより欠場。「(ケガの状態は)やれる程度ではあるのですが、長い目で見たら彼にとってもチームにとっても、ここで頑張らせるリスクの方が大きいと私が判断しました」と片峯コーチは、その理由を語った。

 今年は、1試合40分の内、渡邉が入ったときが25〜30分、渡邉抜きのメンバー構成で10〜15分を目処にチーム作りを行ってきた。渡邉の欠場を決めてからインターハイ予選までは約3週間ということもあり、「3週間で作りきれなかった、フォローできなかったのは私の力不足だと思います」と片峯コーチは言う。

 とはいえ、渡邉不在の中での健闘は、今後に向けてのプラス要素になったともいえる。「今年のチームは自分たちのいいところを出すため、また相手のいいところを消すために工夫しないといけません。それはそれで面白いと感じているので、これからに期待していただければと思います」と、片峯コーチ。そう語る目は、敗れはしたものの、次に向けた戦いをしっかりと見据えていた。


積極的な攻めを見せた福大大濠の鈴木 [写真]=佐々木啓次


取材・文=田島早苗
写真=佐々木啓次

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