2023.03.21

“福岡決戦”となった全九州春季大会は試合終盤に勝負を決めた福岡第一が接戦を制する

4年ぶりに開催された全九州春季選手権大会を制した福岡第一 [写真]=田島早苗
フリーライター

 3月18、19日の2日間にわたり、「第53回 全九州高等学校バスケットボール春季選手権大会」が鹿児島県にて行われた。

 各県の1、2位チームで編成されるAパートと、各県3、4位チームで編成されるBパートに分かれてトーナメント戦を戦う今大会、Aパートには昨夏のインターハイ覇者である福岡第一高校(福岡県)らが顔をそろえた。

 Aパートで準決勝へと勝ち上がったのは、その福岡第一をはじめ、福岡大学附属大濠高校(福岡県)、延岡学園高校(宮崎県)、別府溝部学園高校(大分県)の4チーム。

延岡学園を引っ張る成松輝彩 [写真]=田島早苗

 福岡第一と延岡学園の準決勝では、第1クォーターから11点のリードを奪った福岡第一が、その後も球際の強さを発揮して延岡学園に94−65で勝利。もう一つの準決勝、福大大濠と別府溝部は前半を終えて同点となったものの、後半に入って徐々に別府溝部を引き離した福大大濠が65-52で勝ち、決勝へとコマを進めた。

高い得点能力を見せた別府溝部の大庭涼太郎 [写真]=田島早苗

 福岡第一と福大大濠の福岡対決となった決勝戦。福大大濠はこの大会にツープラトンで臨んでおり、決勝でも同様の戦いを見せる。これに福岡第一は「(福大大濠は)やや小さいメンバーとやや大きいメンバー。小さいメンバーのときはインサイド使って、大きいときは外というようなオフェンスを意識したけれど、ゲーム中に選手に伝えたこともあってうまくアジャスト出来ませんでした」(井手口孝コーチ)と、序盤からリズムに乗れない時間帯が続く。また、福大大濠のゾーンディフェンスにも攻めあぐねてしまい、前半は27ー31と福岡第一が4点ビハインドで終えた。

 迎えた後半、福岡第一は森田空翔(2年)の連続得点で早々に福大大濠に追いつき嫌なムードを払拭する。しかし、福大大濠もすぐさま大谷航生(1年)、鈴木風雅(2年)が3ポイントシュートを入れ返して主導権を渡さない。その後は福大大濠は村上騎士郎(2年)、髙田将吾(1年)らが、対する福岡第一は崎濱秀斗(2年)、サー シェッハ(1年)らが得点を決めて、第3クォーターは48−46と福大大濠がわずか2点リードで終えた。

 第4クォーター、本来の走るプレーが随所に見られた福岡第一は、崎濱が3ポイントシュートやバスケットカウントを決めて流れを引き寄せる。森田、山口瑛司(2年)らも加勢し、リードを広げにかかったが、福大大濠も髙田や湧川裕斗(1年)、広瀬孝一(2年)らが粘り強く得点し一歩も譲らない。それでも、最後にトドメを刺したのは福岡第一の崎濱。同点で迎えた残り1分36秒、ドライブからのシュートを決めると、その24秒後にも崎濱がシュートを沈めて4点差をつける。福大大濠は湧川が3ポイントシュートを決め返し1点差に詰めたものの、残り6秒には崎濱からサーへの絶妙なアシストが決まって福岡第一が3点リードへ。福岡第一は、ラストチャンスに懸けた福大大濠の攻撃も防ぎ、65−62で接戦を制した。

髙田将吾は福岡大附大濠の得点源として気を吐いた [写真]=田島早苗

 福岡第一は、新チームで主軸を担っていたアピア パトリック 眞(2年)が2回戦で負傷。それ以降はアピアを欠いての戦いとなったが、森田や髙口陽季(2年)らが奮起し、勝利を引き寄せた。これには井手口コーチも「森田や髙口ら、ベンチメンバーだった選手たちが少し自信になってくれたのではないかと思います」とコメント。2人の名前を出しながら、バックアップメンバーの奮闘を大会の収穫に挙げた。

福岡第一の主力として4試合を戦い抜いた世戸陸翔 [写真]=田島早苗


 一方で、ガードの崎濱と山口には、「もう少ししっかりしないと」と厳しい発言も。新チームの柱となる選手だからこそ、指揮官はさらなる奮起を期待した。また、チームとしてもまだ「“脚”がないから守れない」ことが課題に。だが、チームはまだ始まったばかり。「ここからですね」という井手口コーチは、春休み期間の交歓大会などを経てチームを作っていきたいと意気込んでいた。

 4年ぶりに開催された全九州高等学校春季選手権大会。今年は10月に「燃ゆる感動 かごしま国体」が鹿児島県にて開催されるが、そのプレ大会として、今大会は国体で使用される4会場にて試合が行われた。多くの観客が詰めかけ、トップレベルのプレーに大いに沸いた大会は、盛況ののち幕を閉じたといえるだろう。

 なお、男子のBパートでは、決勝で豊見城高校(沖縄県)に競り勝った長崎西高校(長崎県)が優勝をおさめている。