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4月29日と30日の2日間、福岡県飯塚市を舞台に「飯塚カップ2023」が開催された。
同大会は4月15日にオープンした飯塚市総合体育館の落成記念として行われ、地元の福岡第一高校と福岡大学附属大濠高校に加え、開志国際高校(新潟県)、東山高校(京都符)を招待。高校バスケ界をけん引する福岡2強に昨年のウインターカップ王者、今年の近畿新人大会覇者と、全国トップクラスの強豪校が2日間にわたってしのぎを削った。
飯塚市は福大大濠を指揮する片峯聡太コーチの故郷でもある。「どう見てもオヤジ(片峯誠飯塚市長)が仕向けたんでしょうけど……」と片峯コーチは苦笑いしたが、「これだけ素晴らしくて新しい体育館で、全国のトップレベルのチームと試合させていただくことは本当にありがたい限りです」と感謝の意を示した。
最大3000人収容のメインアリーナでの初陣を飾ったのは、昨年のインターハイとウインターカップ決勝カード、福岡第一vs開志国際だ。両者は3月の「KAZU CUP 2023」でも優勝を争っており、その大会では開志国際に軍配が上がっている。
試合序盤は11-3とした福岡第一が先手を取った。だが、開志国際は平良宗龍、ネビフィ ケルビン シェミリー(ともに2年)の得点で応戦し、第1クォーターを1点リードで終了。後半は先に開志国際が主導権を握り、一時2ケタまで点差を拡大した。福岡第一は第3クォーター中盤から崎濱秀斗(3年)が立て続けに3ポイントシュート沈めて会場を沸かすも、最後の10分間では再び引き離され、最終スコア73-64で開志国際が制した。
KAZU CUPのリベンジとはならなかった福岡第一。崎濱(秀)は「昨日の練習でも開志国際さん相手にどう戦うかを話し合っていたんですけど、なかなか上手くいきませんでした。やっぱり泥臭い部分で完敗してしまったので、そこはインターハイまでに改善していかなければいけないです」と悔しさをにじませた。
ちなみに、試合には敗れはしたが、先制点を挙げた崎濱(秀)はこの合体育館での記念すべき第1号の得点者となった。チームのエースが鮮やかにレイアップを沈めたため、一見狙い通りにも見えたが、「いやー、たまたま空いてただけだったので(笑)」と、本人は特に意識していなかったようだ。
初戦の福岡第一戦をものにした開志国際は、ダブルヘッダーとなった2日目の東山戦、福大大濠戦でも1ケタ点差で連勝。唯一の3連勝で飯塚カップを終え、新チーム以降未だ負けなしを誇っている。複数のケガ人を抱えているためベストメンバーが組めている状況ではないが、富樫英樹コーチは澤田竜馬、中島遙希(ともに3年)、平良(宗)、清水脩真(ともに2年)のガード陣のたくましさを強さの要因に挙げた。
「やっぱりあの4人が自信を持ってプレーしてる。ディフェンスも悪くないですし、危ないときは小さくてもリバウンドに行く嗅覚もあるので。ガード陣が安定していればこれからもいろんなバスケットができるんじゃないかなと思っています」
今大会の最終戦となったのは福岡第一vs福大大濠の“福岡決戦”。会場には立ち見の観客が出るほどの超満員の中で行われ、第1クォーターでは福岡第一が8点リードを作った。次の10分間では渡邉伶音(2年)がゴール下で奮闘し、福大大濠が反撃に成功。福岡第一のわずか4点リードでハーフタイムを迎えた。
勝負の後半は互いにゾーンプレスを仕掛けるなど、さらに熱気を帯びた展開となった。それでも、スピードで勝る福岡第一が徐々に点差を広げていき、第4クォーターのスコアでは25-4と圧倒。最終的に84-53の大差でタイムアップとなった。
「今日は大濠さんが2試合だったので、僕らの方が体力がありました。その分、最後に離せたかなと思います」。福岡第一の井手口孝コーチがそう振り返ったように、この日は福大大濠が2試合連続、福岡第一が1試合のみのスケジュールが組まれたでの戦いとなった。今シーズン両チームは、Bリーグのエキシビジョンマッチなども含めてすでに5度顔を合わせているが、本番はインターハイ出場をかけた6月の県予選決勝が濃厚だ。井手口コーチが続ける。
「インターハイは1校しか出ることができません。どちらかが出られないというのが本当に残念ではありますけど、インターハイへ行けたらぜひ優勝して、その前に行われる九州大会でも優勝して福岡県のウインターカップの枠を3つにできるよう頑張りたいと思います。それは我々だけでなく大濠さんも一緒です」
開志国際戦では75-80と最後まで競り合う試合を見せたが、東山は今大会で白星をつかめなかった。指揮を執る大澤徹也コーチは「濃かったです」と2日間を総括しつつも、「もう少し戦えるかなという感覚でこの大会に来ましたが、差をすごく感じました」とコメント。昨年は全国大会に踏み入れることができなかったため、「戦術・戦略以上にやっぱり経験値の部分」で差を感じたと話し、指揮官は「やっぱりまだ勝ち切る力がないです。(開志国際戦の)最後のところで力が出さなかったことはベンチワークの責任でもありますけど、子どもたちの経験の部分もすごく大きいなと思いました」と振り返った。
ゴールデンウィークが開ければ、インターハイ予選へ向けてのチームづくりが本格化する。各校は今大会で得た収穫と課題をどのように成長へつなげていくのか、引き続き注目したい。
取材・文・写真=小沼克年