2024.01.06

「将来は河村勇輝選手のように」…高いポテンシャルを示した三股の2選手に注目

三股の小玉愛莉(左)と蔵満莉緒(右)に注目 [写真]=バスケットボールキング
バスケットボールキング編集部

ロケットスタートに成功するもペースを握られ苦戦

 1月5日、武蔵野の森総合スポーツプラザで「京王 Jr.ウインターカップ2023-24 2023年度 第4回全国U15バスケットボール選手権大会」が開催。大会2日目目を迎え、シードチームが続々登場。女子第1シードの樟蔭中学校(大阪府)に三股 RED WINGS(宮崎県)が対戦した。三股は1回戦で西予オールスターU15(愛媛県)に74−45で快勝している。

チーム一体となって樟蔭中学に挑んだ三股 [写真]=バスケットボールキング


 樟蔭中学は一昨年の全国中学校大会(全中)で準優勝、対する三股は昨年の全中で準優勝したメンバーが主力を務めるという強豪チーム同士の対戦は、試合開始から高いレベルの攻防が繰り広げられた。先手を取ったのは三股。ポイントゲッターの小玉愛莉蔵満莉緒が果敢にリングにアタック。小玉は3音の3ポイントシュートを含む17得点をマークすれば、蔵満は8得点4アシストとチームをリードすれば30−15とロケットスタートを見せた。

 しかし、ここから樟蔭中学の反撃にあう。次第に三股のオフェンスを見定めたように守りを固めていくと、特にシュートへのチェックが厳しくなりフリーで打てるケースが少なくなっていった。

 前半は41−33と8点リードで折り返したが、第3クォーターに入るとタフショットを強いられる展開に。ディフェンスでは樟蔭中学のゴール下の合わせた速攻を止められず逆転を許すと、このクォーターを5−21とされ、反対に46−54と8点のビハインドを背負ってしまう。

 試合後、メディア対応した三股の横山祥子ヘッドコーチが「出だしは集中していて良かったと思います。ただ、地力があり底力のある樟蔭さんだけに追い上げられて。第3クォーターに入ると迷い始めて、(リングではなく周囲の)人を探し始めてしまいました」とコメント。

 三股は最後まで諦めずに樟蔭中学を追い上げるも逆転までには至らず。66−87のスコアで敗れ、昨夏の全中に続いての上位進出の道は閉ざされた。

小玉、蔵満のWエースが3年間を振り返る

 「チーム力で勝ち上がったチームです。個々の力は高校に入ってから磨いてもらいたいと思います」

 卒業する3年生にエールを送ったのが横山HC。ダブルエースの小玉と蔵満については、「夏以降、エースの自覚が強くなったけど、(全中準優勝で)背負うものが大きくなり、プレッシャーとの戦いだったと思います」とねぎらった。

 この試合で30得点8リバウンド4アシストを挙げた小玉は、「自分たちの目標は全国制覇だったのですが、自分の力不足で負けてしまって申し訳なく、悔しい思いです」と胸の内を明かしてくれた。

 シュート、ドライブ、ゴール下のポストプレーとオールラウドに攻める小玉だが、自分としては3ポイントシュートを得意としているという。3年間、目標と決めてチームでも個人でも打ち込んできた。

 どんな場面でも力を発揮できる選手になりたいという小玉が目標にしているのが河村勇輝横浜ビー・コルセアーズ)。「激しいディフェンスやハンドリング、1対1で抜けきるところ」などがその理由だという。

オールラウンドなプレーが魅力の小玉愛莉 [写真]=バスケットボールキング


 一方の蔵満は「絶対に勝つという気持ちを持って、絶対に笑顔で終わろうねと話をして試合に臨みました。でも、試合に出たくても出られない3年生がいるのに、勝たせることができず、本当に申し訳ない気持ちです。3年間、先生(横山HC)と(豊永)梨沙アシスタントコーチの指導を受けてこのチームでバスケができてうれしいです」と精いっぱい答えてくれた。

 3ポイントシュートと味方を活かすことを武器にしてきたという蔵満だが、「今日はそれができなかったので、これから高校で力をつけていきます」と誓う。

「将来は河村勇輝選手のようにチームメートを最大限に活かして、チームのピンチでシュートを決められる選手になりたいです」と前を見据えた。

シュート力に加え、パスにもセンスを見せる蔵満莉緒 [写真]=バスケットボールキング


 ともに高校でも活躍が期待されるポテンシャルの持ち主。この悔しさを糧に目標の河村勇輝のような選手に成長してほしい。

文=入江美紀雄