2019.09.05

W杯、日本はこう戦え! 倉石平氏が対戦国を独自に分析【アメリカ編】

アメリカを牽引するケンバ・ウォーカー(ボストン・セルティックス)[写真]=fiba.com
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 バスケットボール日本代表として活躍し、引退後は古巣の熊谷組、大和証券、日立(現サンロッカーズ渋谷)、日本代表などでヘッドコーチを歴任。現在は早稲田大学スポーツ科学学術院教授を務める倉石平氏に、「FIBAバスケットボールワールドカップ2019」で日本代表と戦う対戦国について話をうかがった。倉石氏は日本と1次ラウンド同組に入り、第3戦で対戦する優勝候補のアメリカをどう見ているのか。そして、日本はどう勝機を見出すべきなのか。独自の見解を聞いた。

インタビュー・構成=小沼克年

 日本は初戦のトルコ戦、硬さがあり出だしで差をつけられましたが、1次ラウンド第2戦のチェコ戦では緊張もほぐれて良い試合ができたと思っています。ただ、チェコの方が試合巧者でした。特にポイントガードのトーマス・サトランスキーが素晴らしかった。速く展開する場面とゆっくり展開する場面をしっかり見極めていましたし、自分のあまり調子が良くないと見ると、チャンスメイクをするプレーに切り替えていました。そのパスからヤロミール・ボハチック、帰化選手のブレーク・シルプに高確率で3ポイントを決められたことで、後半、日本は後手に回ってしまいました。第1クォーターは、田中大貴アルバルク東京)が相手センターのディフェンスをうまくかわしてオープンを作り得点していましたが、第2クォーターからセンターを替えて修正してきました。

 第3戦の相手となるアメリカは、第2戦でトルコに大苦戦。延長戦の末に1点差で勝利しましたが、相手のフリースローミスに助けられたという形で、負けてもおかしくなかったです。今大会のアメリカのメンバーは、「主か、従か」でいうと“従”の選手が多いです。ですから、キャッチ&シュートなどは上手いけれど、自分でチャンスメイクできる選手が少ないと感じています。トルコ戦では終始相手にゾーンディフェンスをされたことにより、思い通りにオフェンスを組み立てられていなかったです。日本も、アメリカ戦はゾーンを敷く時間帯が多くあるのではないでしょうか。

 また、アメリカはまだ試合モードになっていないと感じています。NBAで例えると、レギュラーシーズンが始まったばかりで気持ちが乗り切れていない状態。ですがトルコ戦の出来により、これから気合いを入れ直す可能性があるので、日本戦や2次リーグが始まれば少しは変わってくるのではとも感じています。もちろん3連勝を狙ってきますので、日本だからといって最初から手抜きするようなことはないでしょう。

アメリカ戦はゾーンディフェンスがカギになるか⁉[写真]=fiba.com

 日本は順位決定戦へ回ることが決定してしまいましたが、ここまでの2試合は今後の大きな財産になったことは確かです。来年の東京オリンピックに向け、残りの試合もすごく貴重な経験になるので、1秒たりとも無駄にせずに戦わなければいけません。このような真剣勝負の舞台で世界一のアメリカと試合できるのは、毎回限られたチームのみです。

 馬場雄大(A東京)は「初のBリーグからNBAへ行く選手になりたい」と、意気込んでいるので虎視眈眈とアピールチャンスを狙っているでしょうし、NBA選手の八村塁ワシントン・ウィザーズ)と渡邊雄太メンフィス・グリズリーズ)も気合いが入っていると思います。アメリカ戦は思う存分楽しんで試合をしてほしい、というのが素直な気持ちです。

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