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3月24日、昨年12月に「第72回全日本大学バスケットボール選手権大会(インカレ)」を制し、インカレ4連覇を達成した東京医療保健大学の恩塚亨ヘッドコーチが『今のバスケット界に広めたいマインドセット発表会』を開催した。渡嘉敷来夢(ENEOSサンフラワーズ)もオンラインでゲスト出演したイベントは、最後に恩塚ヘッドコーチよりサプライズ報告があり、今年1月に現役選手の引退を表明した吉田亜沙美のアシスタントコーチ就任が発表された。
参加したメディアや東京医療保健大学の選手たちが見守る中、吉田は「2月から東京医療保健大学の仲間としてコーチをさせていただいており、当初は2カ月間という期間限定だったたのですが、3月に入ってから恩塚さんから『4月以降も一緒に』というとてもうれしい話をいただき、何の迷いもなく「やります」と返事をさせていただきました。4月以降も選手たちといろんなことを学びながら、一緒に成長していきたいな思っています。私自身も使命感と志をしっかり持って、少しでもチームに貢献できるように精一杯頑張って行きたいと思っています」と挨拶。
緊張した面持ちで決意表明した後は、囲み取材に応じた。その時のインタビューの様子は以下のとおり。
――恩塚ヘッドコーチからアシスタントコーチ打診を受けた時の心境は?
「すごくうれしくて、堪えるのに必死だったのですが、ニヤニヤしちゃったと思います(笑) 3月に入ってから、(コーチの期間が)『もう今月で終わるんだな』と寂しく感じていたし、『このまま残りたいな』とも思っていたので、ビックサプライズでした。
悩まず即決でしたね。もちろん、他のチームに行って色々な経験を積むという考えもあったとは思うのですが、東京医療保健大の選手たちと一緒に色々なことを経験しながら、私はコーチとして、選手はプレイヤーとしてステップアップしていきたいなと強く思えたので、このまま(チームに)残りたいと伝えました。そう思えたのも選手たちのおかげです」
――東京医療保健大学でコーチ業を勉強中、コーチという立場になっての気づきはありましたか?
「いろんなスキル、技術は必要だと思うのですが、気持ちの部分は改めて大事なんだなと、恩塚さんが指導される中で感じましたし、東京医療保健大の選手たちが一番大事にしているものだとも感じました。
私自身、(現役時は)気持ちが付いてこないとプレーも上手くいかなかったので、そこは改めて気づかせてもらいました」
――チームに合流当初、東京医療保健大の雰囲気はどのように感じましたか?
「意識が高いと思いました。東京医療保健大という看板、使命感を持ってやっていて、それはWリーグのチームと同じくらいの意識の高さのレベルでやっているなと個人的には感じました。
後は、大学生ではなかなか学べないことを恩塚さんから学べていると思うので、学生たちは幸せだなとも思いましたね」
――同じコーチという立場になって、改めて恩塚ヘッドコーチはどういったコーチだと思いますか?
「選手ファーストであり、自分自身もしっかり勉強して、いろんなことを学んで、それを選手たちに伝えていっています。選手のために、それと自分の未来を良くするために、それを選手にも共感して欲しいというのがすごく伝わってきます。
私自身は恩塚さんの元でコーチをやれてよかったと思っていますし、この出会いを大事にして、私自身も楽しみながら、今は選手たち一人一人のエネルギーをいっぱいにできるように頑張っていきたいと思っています」
――コーチ業は楽しいですか?
「めちゃくちゃ楽しいです! なんなら選手の時より楽しいかもしれないです(笑)」
――改めてファンの方たちにメッセージをお願いします。
「現役時代、応援してくださっていたファンの方がずっと支えてくれていました。これからはコーチとしてやっていきますし、大学のバスケットをより広めたいなとも思っています。『青春バスケット』ってすごく素敵だと思うので、そういったこともいろんな方に伝えられたらなと思っています。
変わらず応援していただければうれしいですし、東京医療保健大という素敵なチームを応援していただけたらと思っています」
目を輝かせて今の思いを語った吉田。だが、囲み取材後、「胸いっぱいできちんと受け答えができなかった(笑)」という言葉も。これまで堂々とメディアの前でも話をしてきた吉田らしからぬ発言だが、これには、発表会という場での挨拶で緊張もあったのだろう。しかし、何より吉田の胸が熱くなったのは、恩塚ヘッドコーチのサプライズ発表で初めて知った東京医療保健大学の大学生たちが喜んでいた姿。「泣きそうになりました」と吉田は言う。
今春、コーチとしての新しいスタートを切る彼女は、現役時代と変わらぬ情熱で大学生たちの指導に当たることとなる。
写真=兼子愼一郎
文=田島早苗