Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
「ベスト4の壁を越えたことは選手たちの自信になると思います」
大接戦となったWリーグのプレーオフクォーターファイナルに勝利し、安堵の表情を見せたのは三菱電機コアラーズの古賀京子ヘッドコーチ。
三菱電機のセミファイナル進出は実に16シーズンぶりで、当時はというと、古賀HCが選手として戦っていた頃。その後、三菱電機はWⅠ降格などを経験し(2011-12シーズンまでWとWⅠの2部リーグ制だった)、2011-12シーズンからはWリーグに復帰したものの、5位から7位が定位置に。特にクォーターファイナルのシステムが導入された過去3シーズンは、いずれも接戦末にクォーターファイナルで敗れていた。
チームにとっては悲願ともいえる4強。だが今回、三菱電機の前に立ちはだかったトヨタ紡織サンシャインラビッツも手強い相手で、実際、試合は序盤から接戦の様相に。第2クォーターにはトヨタ紡織の3ポイント砲に遭い、前半で8点のビハインドを負った。
しかし、後半は王新朝喜、渡邉亜弥、根本葉瑠乃らポイントゲッターを中心に得点を重ねると、ゾーンを駆使したディフェンスも機能。第3クォーター終盤にトヨタ紡織を捉えて、終盤までもつれた試合を制した。
「昨シーズンの(クォーターファイナルでの)負けを含めて、ここまでベスト4という壁に当たってきましたが、その都度コミュニケーションを取り、諦めませんでした。今年はみんなのコミュニケーションが絶えなかったし、マイナスな言葉があまりなく、『こうしよう、ああしよう』という言葉に変わっていきました。それと共通理解。自分たちの持ち味が何なのかを明確に分かっている状態になり、まとまるキッカケになる言葉をチームが崩れそうになった瞬間、みんなで言えるようになったことも変化だと思います」と、古賀HCはチームの成長を語る。
クォーターファイナルでも、それを感じさせる場面は幾度となくあった。選手たちは、タイミングがあればすかさず声を掛け、ピンチや劣勢の場面では必ずといっていいほど円陣を組んだ。「(流れが)悪い時やビハインドの時に何をしないといけないか、それが明確に、そして瞬時に判断できるようになってきました。まだまだ足りないところはあるのですが、すぐに円陣組むように選手たちででも意識しています」とは大黒柱の渡邉。今や、円陣は自然発生的に組まれるほどで、そのコミュニケーションが、どんな苦しい状況でも自分たちのスタイルを見失わずにプレーすることに繋がり、またプラスアルファの強さを生み出しているのだろう。
待ちに待ったセミファイナルの舞台。対戦するトヨタ自動車 アンテロープスとの今季の対戦成績は、皇后杯を入れて3戦全敗ではあるが、競った試合も多くチャンスは十分にある。
セミファイナルからは2戦先勝方式となり、ファイナル進出の壁はさらに高くなるが、今の三菱電機にはそれをも上回る“チーム力”がある。
文=田島早苗