2019.02.17

富士通に競り勝った東京羽田の本橋菜子「チームが一つの方向に向かっていると感じる」

決勝点を含むチームトップの25得点を挙げた本橋菜子 [写真]=田島早苗
フリーライター

 いつも冷静なキャプテンの笑顔を弾けた――。

 2月16日に秋田県立体育館で行われた第20回Wリーグのプレーオフ・セミクォーターファイナル。レギュラーシーズン8位の東京羽田ヴィッキーズは、同5位の富士通 レッドウェーブと対戦した。

 東京羽田の本橋菜子に富士通の町田瑠唯と日本代表司令塔対決にも注目の集まった試合は、出だしから思いきりのいいシュートを放った東京羽田が先行する。前半はそのまま東京羽田が高確率のシュートで好調を維持し、10点のリードを奪った。

 後半、町田、篠崎澪らを起点に攻める富士通の追撃に遭ったものの、「それに対して予測はしていた」(棟方公寿ヘッドコーチ)という東京羽田は、その後も慌てることなく、外角シュートを適時に決めていく。それでも試合終盤には富士通にリードを許したのだが、残り55秒、3点ビハインドの場面で鷹のはし公歌が同点弾となる3ポイントシュートを沈めると、残り9秒、攻撃権を得る。このラストチャンスを指揮官は、エースの本橋菜子に託す。

 すると、本橋が果敢にドライブを仕掛け、シュートこそ外れたものの、ファウルで得たフリースローをしっかりと決めて81-79で僅差の試合をものにした。「(試合の)入りがすごく良く、みんな気持ちよくプレーできていたと思います。途中、相手のペースになったときにも崩れないで我慢して最後まで競った試合に持っていけたことが良かったです」と本橋。自身もこの試合ではドライブからのシュートなどで25得点を挙げた。

アップセットを起こした東京羽田 [写真]=田島早苗

 ファンに挨拶後、チームメートに飛びつきながら喜びを表した本橋。「前半から攻めすぎてブロックされたり、潰されてしまったりしたことも多かったのですが、自分が攻めて(チームを)勝たせたいという思いが強かったです。ただ、私だけではなく、大事なところで他の選手もきっちりシュートを決めてくれたし、ディフェンスやリバウンドなどの積み重ね。その中で私も攻め気を忘れないようにしようと思っていました」と、自身のことを振り返る。

 決戦の舞台となった秋田は本橋が高校3年生のインターハイで戦った場所。その時は明星学園高校のエースとしてベスト4入りを果たしているが、それ以来の秋田での試合に「そこまで秋田ということに意識はしていなかったのですが、最初にこの体育館を見た時、ここでまたできるんだということには感動しました」と、笑顔を見せた。

 ここ数シーズン、着実に力をつけてきた東京羽田。「(これまで)うまくいかないこともありましたが、一つずつ積み重ねていき、今は本当にチームが一つの方向に向かっていると感じます」と本橋。そんな東京羽田は、富士通戦勝利の勢いをそのままに、17日のクォーターファイナルでレギュラーシーズン4位のデンソーアイリスに挑む。

試合後はチームメートとともに笑みを浮かべた [写真]=田島早苗

文=田島早苗