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『B MY HERO!』
3月14日のWリーグプレーオフセミファイナル第1戦では、トヨタ自動車アンテロープスに完敗を喫した富士通レッドウェーブ。後がなくなった15日の第2戦は最後の最後までシーソーゲームを演じた。しかし、最終スコアは58-61。2連敗。試合終了のブザーは、無情にも今シーズンの終わりを告げる合図となってしまった。
第1戦では相手に計20本のオフェンスリバウンドを取られ、リバウンド本数で17本の差をつけられた。その反省を生かし、第2戦では180センチの田中真美子をスターティングメンバーに起用し、立ち上がりから気持ちのこもったディフェンスとリバウンドを披露。第1クォーターではショットクロックバイオレーションを2度奪うことに成功した。
第2クォーターは一時10点ビハインドを背負ったが、町田瑠唯の個人技で食らいつく。すると終盤には篠崎澪、内野智香英の連続バスケットカウントが飛び出し、21-42で折り返した昨日とは一転して29-29の同点でハーフタイムへ。
後半の立ち上がりは、立て続けに3点シュートを決められて再び引き離されてしまう。だが、タイムアウトを挟んで立て直し、田中の3ポイント、篠崎の1対1でスコアを伸ばして6点ビハインドで第3クォーターを終了。ラストの10分はシュートチャンスをものにできない富士通に対し、トヨタ自動車がタフショットを決めるなど、残り2分を切った時点で50-57と苦しい展開に。
「ディフェンスを頑張ったけど、結局オフェンスリバウンドを取られてしまった。いいディフェンスができたあとにセカンドチャンスを与えてしまい。なかなか相手の攻撃を抑えられなかったです」
そうBT テーブスヘッドコーチが試合を振り返ったように、富士通は最後まで高さで勝る相手を苦しめたが、結果的にこの日も21本ものオフェンスリバウンドを取られてしまった。
また、決勝点を決められた安間には試合序盤から攻防両面において活躍を許し、計15得点7リバウンドに加え6アシスト3スティールを稼がれた。自身の出来を悔やんだのは、マークマンの町田。「昨日よりはディフェンスやリバウンドを修正できました。けど、セカンドチャンスから得点やアウトサイドの選手、特に安間選手にやられてしまったなという印象です」
負ければ終わりのこの試合。最も勝利への意欲を示したのは篠崎だった。殊勲の25得点。チーム最年長として、副キャプテンとして、そしてエースとして最後まであるべき姿を見せたが惜しくも実らず……。試合終了直後は目を潤ませ、両手で顔を覆った。
2020-21シーズンの成績はプレーオフセミファイナル敗退という結果に終わった。しかし、今年のチームは5名の選手が退団、現役引退をし、若返りを図った中でも5年ぶりにこの舞台に辿り着いた。
篠崎は言う。「これまでなかなかセミファイナルまで行くことができなかったので、久々にこういう経験ができました。今日の悔しさを忘れず、また来シーズンも頑張ってきたいと思います」
これまで自分を支えてくれたベテラン選手が去ったことで、例年以上に頭を悩ますシーズンを送ったキャプテンの町田は、今シーズンをこう総括する。
「正直、このシーズンはチームでなかなかコミュニケーションが取れず、コート内外でしゃべることが課題でした。でも、皇后杯で(ENEOSサンフラワーズに)負けた時にチーム全員で話し合って、そこから徐々に若い選手も発言できるようになっていきました。試合中でもベンチメンバーも含め一緒に声を出して戦えるようになったことは、今のチームにとってはすごく成長した部分だと思います。若い選手もセミファイナルを経験できましたし、この悔しさを来シーズンにぶつけられるよう、もう一度チーム一丸となって頑張っていきたいです」
町田と篠崎は、来シーズンも引き続きチームを先頭で引っぱる立場になるだろう。今回の敗戦、悔しさを力に変え、次こそは「去年の敗戦があったから」と笑って言えるような、そんなシーズンを過ごしてほしい。