2022.07.25

4年ぶりにチームメートとなったアイシンのルーキー峰晴寿音と梅田彩香

大阪薫英女学院高校時代にはともに日本一を目指した仲の峰晴(左)と梅田(右)[写真]=Wリーグ
フリーライター

堂々のWリーグデビューでインパクトを残した2人

 2016ー17シーズンから始まったWリーグのアーリーエントリー。この制度を利用してWリーグの舞台に立った選手の中には、アーリーエントリーの時点で大きなインパクトを残した選手も多い。昨シーズン(2021ー22シーズン)、アイシンウィングスからアーリーエントリーで出場した峰晴寿音梅田彩香もそれに該当すると言えるだろう。

 アイシンの選手としてWリーグのコートに初めて立ったのは2月19日のシャンソン化粧品シャンソンVマジック戦。この試合で峰晴はスターターとして約38分の出場で16得点9リバウンド。梅田もバックアップとして20分出場し9得点2リバウンドをマークした。

そして翌日には2人ともスターターで出場すると、峰晴が約32分の出場で16得点6リバウンド、梅田は約35分半の出場で18得点3リバウンドを挙げてシャンソン化粧品を破る働きを見せた。

 結局、先シーズンは6試合に出場。1試合平均で峰晴が14.5得点4.67リバウンド。梅田は梅田が8.83得点3.83リバウンドという数字を残した。

 峰晴は大阪人間科学大学、梅田は立命館大学の卒業ではあるが、高校は同じ大阪薫英女学院高校の出身。2人とも高校2年生の時には一つ上の金田愛奈(シャンソン化粧品)、髙原春季(東京羽田ヴィッキーズ)、奥伊吹(富士通レッドウェーブ)らとスターターを務め、インターハイ、ウインターカップでベスト4入りを果たしている。

 大学時代はタイミングが合えばご飯を食べながら近況報告をしていたそうだが、それもコロナ禍になって機会が減り、進路を決める頃には特に連絡を取り合ってはいなかったという。

 その中で先にアイシン行きを決めたのは峰晴。当時ヘッドコーチを務めていた中川文一氏に下級生の頃から声をかけてもらっていたこともあり、「その思いに応えたい」ということ、また「パスやカッティングなど運動量で勝負するバスケットが好きだった」ことからアイシンを選んだ。その時点では「ほかに誰が入るのかとは知りませんでした」と峰晴は振り返る。

 一方の梅田は、「レベルの高いところでやりたい」と思っていた中、アイシンから声がかかる。その矢先、たまたま高校の恩師と話をしていた時に峰晴の入団を聞き、さらに恩師が背中を押してくれたこともあって、アイシンへと進むことを決めた。

 2人とも、本人を前に話すのは恥ずかしいとしながらも、改めてチームメートになった感想をこう語ってくれた。

「(峰晴の)得意なプレーも分かるし、自分がどういうプレーするのかも分かってくれているので、一緒にプレーしていてやりやすさはすごくあります」(梅田)

「私も同じで、自分のプレーを分かってくれるというのはやりやすいです。ちょっときわどいパスでも出せば取ってくれるという信頼関係はあります」(峰晴)

 プレー以外でも、4年ぶりに同じ寮生活。そんな話を向けると、「ジュネの部屋はカフェなんですよ」笑いながら梅田が教えてくれた。

 聞けば、「オフ日など寮でご飯が出ない時に、みんなにご飯を作って出したり、私がコーヒーが好きなので豆から挽いて出したりしていたら、カフェと言われるようになりました」(峰晴)とのこと。梅田も休みの日はよく「カフェに行く」そうだ。

ドライブなどから積極的に得点を試みる峰晴[写真]=Wリーグ

サマーキャンプを経て、2人もさらなるレベルアップを誓う

 現在のWリーグで大阪薫英女学院高校の卒業生は多い。その先輩たちの存在を「同じ舞台で戦えることができてうれしい」と峰晴も梅田も声をそろえる。

 その上で、「相手チームでも、いいプレーをしたら『やっぱりすごいな』と思うし、『負けたくない』とも思います。そういう先輩たちがいてくれることでもっと頑張らなきゃと思わせてもらえるし、逆に後輩たちにも思ってもらえるような自分たちでいたいなと思います」と峰晴。

 梅田は「私は同じ舞台に立てるとは正直思っていなかったのですが、目標になる先輩方が多いので、そのレベルに行かないといけないと思っています」と思いを語ってくれた。

 7月15〜17日には「Wリーグ サマーキャンプ2022 in 高崎」に参加。先シーズンにトップリーグの経験はしているものの、3試合を戦って改めて感じたこともある。

「アーリーエントリーのときも思ったけれど、ポストプレーをしても当たりが違うなとすごく実感しました。この身長だとポストプレーだけでは通用しないと思うけれど、アイシンでは背が大きい方なので、ポストプレーも含めてこれから成長していきたいです」(梅田)

「得点を取ることを重視してやって欲しいとヘッドコーチにも言われているので、リングに強く向かうことは自分の仕事だと思っています。それを継続してやりつつ、行けるのか? 行けないのか? という判断をもっと磨いていきたいです」(峰晴)

 今はまだWリーグのレベルに慣れることが必死だという2人。それでも「器用な選手ではないけれど、不器用なりにできることを増やしていきたいです」と梅田が言えば、「もっと上に行きたいという思いはずっと持っているので、しっかり自分自身を磨いて、チームとともに強くなっていきたいです」と峰晴も目を輝かせる。

 アイシンに活力を与える新戦力。新たにチームメートとしてトップリーグでのキャリアをスタートした峰晴と梅田は、今シーズン注目のルーキーたちだ。

 文=田島早苗

178センチの梅田はインサイドプレーを中心に献身的な動きを見せる[写真]=Wリーグ