2022.07.13

インターハイ女子注目校(1)明星学園(東京)「新指揮官とともに悲願の夏制覇を目指す」

3年生を中心にチーム一丸となって優勝を狙う明星学園 [写真]=田島早苗
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

 7月27日から8月1日にかけて香川県で行われる「令和4年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」。熱戦が期待される夏の祭典の開幕を前に、バスケットボールキングでは大会で見るべき注目のチームをピックアップした。

■女子注目チーム(1)明星学園(東京都)

 6月に行われた「第76回関東高等学校女子バスケットボール選手権大会」では2試合が100点ゲームでの大勝。市立柏高校(千葉県)との準決勝でもダブルスコア(86ー43)で勝利を収めるなど、3試合を通して圧倒的な強さを見せ付けた明星学園高校(東京都)。※大会の競技規則により決勝戦は行われず。

 この結果に、昨年10月より指揮を執る青木良浩コーチは、選手たちが点差よりも内容にこだわった戦いをしていたと語った。

「意図を持ってプレーしていて、内容が悪いときは、『あのときのあのプレーは良くない』と言いながら選手みんなで考えていました」

 また、大会には選手それぞれがテーマを持って臨んだとも語り、例えば「(味方に)パスをしたり、こぼれ球拾ったりしてくれる」(青木コーチ)というスターターの鶴丸聖奈(3年生/173センチ)は、リバウンドやルーズボールなどの貢献が大きい選手だが、今大会は点を取ることをテーマに。そして大会では「積極的に3ポイントシュートや中間距離のシュートを打っていた」と青木コーチが及第点を与えたように、準決勝で15得点15リバウンドの働き。1試合平均得点でも15.67という数字を残した。

インサイドの要となるアダム アフォディヤ [写真]=田島早苗


 さらに、「今大会はタイムシェアをしながら戦いましたが、シックススマンの選手たちが仕事をしていました。チームは、まだまだ伸びると思うし、選手たちももっと伸びたいと思っています」と青木コーチ。選手の奮闘はもちろんのこと、関東大会ではチームとしてもこの先の大きな可能性も感じることとなったようだ。

 今年でインターハイの出場が47回目となる明星学園は、本橋菜子(東京羽田ヴィッキーズ)やオコエ桃仁花(富士通レッドウェーブ)と、東京オリンビックの銀メダリストを輩出。言わずと知れた高校女子バスケット界の名門校である。

 その明星学園を全国の強豪へと押し上げたのが椎名眞一氏。基本に忠実なプレーに加え、ゾーンディフェンスを駆使した防御やセットプレーを効果的に使った攻撃など、組織的なプレーも特長だ。全国大会では準優勝8回。先に挙げた2人以外にも、大学やWリーグで活躍している卒業生は多い。

 だが、関東大会のわずか数日前、チームは椎名氏の訃報に接することとなる。静岡商業高校(静岡県)などで全国準優勝を経験し、かつては対戦相手として椎名氏としのぎを削りあった青木コーチは、「私がいるうちは椎名先生のバスケットを継承していきたいと思っています。セットプレーなども取り入れていきたいです。その上で、私自身のスタイルであるオールコートでのマンツーマンなどトランジションの速いバスケットもやっていく。こういったことは(椎名先生とも)話をしていました」と、今後のチーム作りへの思いを語った。

 今年のチームは、キャプテンの池田凛(3年)やセンターのアダム アフォディヤ(3年)をはじめ、得点能力の高い選手がそろう。195センチのアフォディヤのインサイドプレーだけでなく、アウトサイドでも確実に点が取れることも強みで、機動力も持ち合わせている。「チャンスはきていると思います。でも、相手があることなので、自分たちは自分たちでしっかりやっていこうと選手には言っています」と青木コーチは夏を見据える。

 新指揮官となって迎える初めてのインターハイ。高校界屈指の名門校は今夏、チームの歴史に新たな1ページを刻もうとしている。

文・写真=田島早苗

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