2022.08.01

インターハイ2022男子決勝の見どころ「『速さ』の福岡第一か、『高さ』の開志国際か…最終決戦の運命やいかに」

決勝進出を決めたのは福岡第一と開志国際 [写真]=伊藤 大允
フリーライター

 7月27日からスタートした「令和3年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」も、残すところあと1試合。8月1日に行われる男子決勝の舞台に立つのは、福岡第一高校(福岡県)と開志国際高校(新潟県)だ。

 九州王者で今大会の第1シードの福岡第一と、北信越を制して第2シードから勝ち上がってきた開志国際。両者ともに周囲の期待を裏切ることなく決勝戦まで辿り着いたが、準決勝後の雰囲気は対照的と言えるものだった。

指揮官の準決勝後の表情は対照的

福岡第一の轟琉維は準決勝の藤枝明誠戦で20得点9アシストの活躍を見せた [写真]=伊藤 大允


 決勝進出がかかった7月31日の一戦、福岡第一は破竹の勢いでベスト4進出を果たした藤枝明誠高校(静岡県)に6点差の勝利。この日は3ポイントシューターの小田健太が19得点、先発ガードの轟琉維(ともに3年)が20得点9アシストの活躍で前半のリードを守り抜いたが、後半のスコアでは32−37と下回った。

 試合後、井手口コーチは「やろうとしたことが全くできていない」とコメントするなど、終始浮かない表情で試合を振り返った。警戒していた霜越洸太朗(3年)と赤間賢人(2年)の両スコアラーの得点を1ケタに抑えるプランを立てていたようだが、赤間には13点、霜越に至っては3ポイント5本を含む27得点を与えてしまい合計78失点。「あまりにもディフェンスがルーズになりすぎていた」と苦言を呈した。

 一方、開志国際は連覇を狙った中部大学第一高校(愛知県)を87−74で撃破。9点ビハインドでスタートした第2クォーターで32−15、第3クォーターでも25−12と見事に巻き返し、追いすがる相手を振り切った。

 試合はエースの介川アンソニー翔(3年)がゲームハイの36得点を叩き出したほか、ポイントに挙げていたリバウンド争いでも勝利。相手の38本に対し51本をチーム全体でもぎ取ったことが大きな勝因となった。

開志国際の介川アンソニー翔は準決勝の中部大第一戦でゲームハイの36得点 [写真]=伊藤 大允

キープレーヤーの出来が勝敗を分ける⁉

 富樫英樹コーチはここまでの戦いぶりを振り返り、「山場がいくつもありましたけど、子どもたちがよく頑張ってくれました」と自軍を評価。先に決勝進出を決めた福岡第一については「速い!」と単刀直入に印象を述べたが、「高さではこっちにイニシアチブがあるので、そこを徹底的についていきたい」と大一番へ向け意欲を示した。

開志国際の先発を務めるルーキーの平良宗龍 [写真]=伊藤 大允


 この富樫コーチの言葉に対し、準決勝直後の井手口コーチは「どちらがきてもサイズがありますからね」と話していた。両指揮官の言葉どおり、優勝をかけた一戦は福岡第一の『速さ』が勝るか、それとも開志国際の『高さ』が勝るかの戦いとなるだろう。

 福岡第一はエースガードの轟に加え、ベンチにもスピードに長けた中村千颯、川端悠稀といった3年生が控える。この3選手がチームを引っ張り、本来の守備力を取り戻せるか。得点面では井手口コーチが復調を望む城戸賢心(3年)、崎濱秀斗(2年)の奮起に期待だ。

福岡第一の井手口コーチは城戸賢心の奮起に期待する [写真]=伊藤 大允


 対する開志国際は2年生の澤田竜馬、ルーキーの平良宗龍が先発を務めるため、ガード陣の経験値や層の厚さでは劣る。だが、フロントコート陣に目を向ければ、介川(197センチ)やバシール ファイサル モハメッド(3年/202センチ)、U16・17の日本代表として国際試合を経験した武藤俊太朗(3年/190センチ)らが並ぶため、インサイドで主導権を握り続け、着実な2点でスコアを伸ばしたい。

 福岡第一が優勝すれば、前回出場した2019年以来となる通算4度目、開志国際がものにすれば4年ぶり2回目のインターハイ王者に輝く。8月は始まったばかりだが、本日、高校バスケの夏はいよいよクライマックスを迎える。

文=小沼克年
写真=伊藤 大允

インターハイ2022のバックナンバー