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7月29日、「令和4年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」は3回戦が行われ、高松市香川総合体育館の第3試合では大阪薫英女学院高校(大阪府)と岐阜女子高校(岐阜県)との強豪校同士が対戦した。
試合は第1クォーター、大阪薫英女学院は都野七海、仲江穂果、熊谷のどか(いずれも3年)らが、対する岐阜女子は辻りお(3年)、榎本麻那(2年)らで得点を挙げて互いに譲らない。そのまま20ー18と大阪薫英女学院がわずか2点リードで終えた。
しかし第2クォーターに入ると戦況は一変。岐阜女子のゾーンディフェンスに対して「予想はしていました」(安藤香織コーチ)という大阪薫英女学院が、慌てることなくプレーすると、中でも熊谷が面白いように3ポイントシュートを沈めていく。これで主導権を握った大阪薫英女学院。終わってみれば、第2クォーターは岐阜女子の11得点に比べて大阪薫英女学院は31得点と、熊谷の活躍もあり、一気に岐阜女子を引き離した。
22点差のリードで迎えた後半も攻撃の手を緩めなかった大阪薫英女学院。最後まで粘る岐阜女子に付け入る隙を与えず、バックアップメンバーの細川未菜弥(3年)の攻め気のプレーも光り、91ー61で勝ちを収めた。
この試合の殊勲はなんといっても熊谷だ。最終的には3ポイントシュート7本を含む24得点8リバウンドをマークしたが、特に大事な場面で相手の戦意をくじくような3ポイントシュートは見事だった。
「熊谷があれだけシュートを決めてくれると、みんなが落ち着きますよね。第2クォーターの熊谷は素晴らしかったです」と安藤コーチ。指揮官も相手のゾーンディフェンスにしっかりと対応して3ポイントシュートを決めた熊谷を手放しで称えていた。
一方、熊谷本人は「もともと私の武器が3ポイントシュートなので、開いたら打つというのは練習のときから安藤先生に言ってもらっています。今日の試合もゾーンディフェンスだからとかではなく、まず3ポイントシュートを狙うことを意識していました」とコメント。練習通り、いつも通りのプレーに徹していたことを強調した。
熊谷自身、ここ最近はシュートタッチが良くないと感じていたようだが、「毎日ちょっとずつシュートタッチが違う中で、フォロースルーを伸ばすことなどを日々意識しながらやろうと考えるようになりました」と語る。
また、3ポイントシュートを自らの仕事としているだけに、シュートが思うように入らないときは、気持ちが落ち込むこともあるそうだが、そんなときに「周りの選手が『打っていいよ、リバウンド行くから』と励ましてくれました」と熊谷。仲間の支えが思い切り良くシュートを打てる要因だとも教えてくれた。
岐阜女子戦に勝利し、準々決勝へとコマを進めた大阪薫英女学院。その戦いぶりからは、盤石の強さを感じさせるが、熊谷は、ここ2試合について「自分たちのペースに持っていけているときは、いい流れでプレーできています。ただ、それを40分間できているかといったらそうではないので、そこが今の課題だと思います」とキッパリ。先の戦いを見据えて気を引き締め直していた。
さらに「どんなときでも自分たちのやるべきことをやり切ること。うまくいかないときにどれだけ自分たちで考えてプレーできるかだと思っています」と意気込む。
昨年から主力として出場し、インターハイでは準優勝を経験。高校最後となる今年の夏はもちろん、昨年、あと一歩及ばなかった優勝だ。
そのためにも、自身については、「いつも通りのプレーをしたいです」と力強く発し、体育館を後にしていた。
取材・文=田島早苗
写真=吉田孝光