2022.07.31

インターハイ2022男子準決勝の見どころ「実力伯仲の4強…藤枝旋風を止めるのはどこか⁉」

準決勝に進出した(左から)福岡第一、藤枝明誠、中部大第一、開志国際 [写真]=伊藤 大允
フリーライター

 7月30日、「令和4年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」の準々決勝が行われ、男女ともにベスト4が決定。男子は福岡第一高校(福岡県)、藤枝明誠高校(静岡県)、開志国際高校(新潟県)、中部大学第一高校(愛知県)の4チームが31日の準決勝へとコマを進めた。

 今大会を取材しているなかで見えてきた各校の共通点は、どのチームも『堅守速攻』をスタイルに置いているという点。勝ち進む中でハイスコアを記録している試合が多いものの、あくまでもディフェンスに重きを置き、守備からオフェンスのリズムを生み出すことで勝利を収めている。引き続き自分たちの強みを発揮し、明日の決勝へ進むのは一体どの2チームか。

9年ぶりの決勝進出を目指す藤枝明誠が福岡第一に挑戦

赤間賢人とともに藤枝明誠のスコアラーを務める霜越洸太朗 [写真]=伊藤 大允


 31日の準決勝、まず登場するのは福岡第一と藤枝明誠。先に挙げておきたいのは、今大会で台風の目となっている藤枝明誠だ。3大会ぶりにインターハイの舞台に立った同校は、初戦の新島学園高校(群馬県)戦で136得点を奪って快勝すると、北陸学院高校(石川県)、仙台大学付属明成高校(宮城県)、北陸高校(福井県)という全国常連校を次々と撃破。なかでも3回戦で第4シードの仙台大明成を破ったことは、番狂わせと言えるトピックであった。

 失敗を恐れずハイペースなバスケットを繰り広げる藤枝明誠は、赤間賢人(2年)と霜越洸太朗のスコアラーが快進撃の大きな要因。2人はチャンスと見れば
容赦なくシュートを放ち、ここまでの4試合では赤間が116得点、霜越(3年)が89得点の活躍でチームをけん引している。福岡第一としても、両選手へは一層の注意を払わなければならない。

 藤枝明誠としては、持ち味のスピードで素速い展開を作るポイントガードの谷俊太朗(3年)、1年生センターのボヌ ロードプリンスがキーマンか。両ポジションにバックアップメンバーがいる福岡第一に対し、藤枝明誠は谷、ボヌがベンチへ下がるとややチーム力が下がる印象を受ける。谷には相手ガード陣をおびやかす走力、ボヌにはゴール下での爆発力に期待したい。目指しは2013年以来、9年ぶりの決勝進出だ。

 今大会の第1シードである福岡第一は、洛南高校(京都府)との準々決勝を84−58で勝利して弾みをつけた。同校の強みは、スターティングファイブと主に第2クォーターから登場する5人の組み合わせをある程度固定しており、どちらが出ても力が落ちない選手層の厚さだ。

守備力と総合力の高さを見せつけ、藤枝明誠の勢いをここで止めたい福岡第一(写真は轟琉維) [写真]=伊藤 大允


 準々決勝では先発組が苦戦を強いられるとベンチメンバーが、ベンチメンバーがペースを握られると先発の5人がコートに戻って挽回するという試合運びを披露した。前述した相手スコアラーを自由にさせないためには、マークが予想される城戸賢心と平岡倖汰(ともに3年)が守備で存在感を示したいところ。守備力と総合力の高さを見せつけ、藤枝明誠の勢いをここで止められるか。

優勝候補同士、中部大第一と開志国際が激突

 もう一方の準決勝には、前評判の高かった2チームが勝ち上がってきた。第2シートの開志国際と第3シードの中部大第一。両チームは昨年から主力を担ってきたメンバーが多く、昨年のインターハイと今年5月に行われた「能代カップ」でも対戦済み。昨年は開志国際を破った中部大第一が初優勝まで駆け上がり、能代カップでは開志国際が9点差で勝利している。互いに手の内を知り尽くしているともいえる好カードは、指揮官の手腕にも注目だ。

 開志国際は、ひとつの山場となった東海大学付属諏訪高校(長野県)との3回戦を7点差でくぐり抜け、準々決勝では地元の尽誠学園高校(香川県)では100点ゲームで快勝を収めた。

 ただ、気がかりなのは準々決勝で8分のプレータイムのとどまった介川アンソニー翔(3年)の状態。197センチの同選手は得点源に加えリバウンドでも大きな役割を担うだけに、本調子でなければ198センチのパワーフォワード・境アリーム(3年)のインサイドでの奮起が必要不可欠だ。

 攻撃においてはインターハイという初舞台でも堂々とした姿を見せている平良宗龍(1年)にも注目。ここまで11本沈めている得意の3ポイントシュートを炸裂させ、前回王者を破る立役者となれるか。

開志国際はルーキーの平良宗龍にも注目 [写真]=伊藤 大允


 対する中部大第一は、3試合連続の100点ゲームに加え、失点も各試合65点以下に抑えて準決勝まで辿り着いた。

 下山瑛司と小田晟(ともに3年)が果敢なディフェンスでボールを奪えば、そこから5人が一気にリングへと駆け抜ける機動力の高さは相手にとって脅威でしかない。ただ、相手が開志国際となると、得意のトランジションを防がれる場面もこれまで以上に増えるはず。

下山瑛司とともに昨年から中部大第一の先発を担う坂本康成 [写真]=伊藤 大允


 勝利を手繰り寄せるには、昨年から先発を担い経験値のある下山と坂本康成(3年)が鍵を握りそうだ。下山は司令塔としてのゲームコントロール、194センチの坂本は高さを生かした堅実なリバウンドでチームを助けることも求められるだろう。

取材・文=小沼克年
写真=伊藤 大允

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