2022.07.31

2大会連続で決勝進出を果たした大阪薫英女学院のキープレーヤー・仲江穂果

大阪薫英優勝のキープレーヤー、仲江穂果 [写真]=伊藤 大允
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

 膠着した状況やビハインドを負ったときでも慌てない。どんな状況でも自分たちのプレーを貫く大阪薫英女学院高校(大阪府)の選手たちには、高校生とは思えない落ち着きを感じさせる。

 もちろん、そこには1年生から主軸を担った都野七海(3年)をはじめ、熊谷のどか(3年)、島袋椛(2年)といった昨年からスターターの選手たちがいることも大きい。だが、その要因に今年からインサイドを担う仲江穂果(3年)の存在があると指揮を執る安藤香織コーチは言う。

 大阪薫英女学院は、エントリーメンバーの内、一番大きな選手が仲江の177センチと、全国トップクラスのチームの中では小さい方になる。

 だが仲江は、「体の強さを生かしてインサイドでプレーすることを意識しています」と言うように、ほぼ毎試合、自分の身長より上をいく相手に体を張ったプレーで対抗。それだけでなく、「アウトサイドのシュートが得意なので、まずは外から狙うこと。そこからディフェンスに合わせてドライブなどをするようにしています」と、ミドルシュートやドライブからのレイアップシュートなど幅広いプレーで得点を奪っているのだ。

 また、都野と熊谷という『超速ガード」を擁し、スピード重視のチームにおいて、その速さにもしっかりと合わせて速攻や都野らの鋭いパスを受けてのシュートなど、機動力も兼ね備える。

「ボールが回らなくなったときに、つないでくれるのですごく助かってます」とは司令塔を務める都野。仲江の動きは、得点面での大きな役割を担っている都野と熊谷の負担軽減にもつながっているのだ。

 チームは、東海大学付嘱福岡高校(福岡県)との準決勝に競り勝ち2大会連続の決勝進出を決めた。だが、試合後の仲江の表情は浮かなく、「(相手センターの)留学生のところで最初にファウルを重ねさせることができれば…。それと得点を取りに行くことを安藤先生に求められていたのに、後半は都野や熊谷の外の攻めになってしまい、インサイドで攻めることができませんでした」とコメントした。

 確かに、相手の197センチのセンターであるファール アミナタがファウルアウトとなったのは第4クォーター残り4分21秒のこと。とはいえ、東海大福岡も、アミナタ自身もファウルトラブルを避けていただろう。それでも仲江は強気の攻めでしっかりとファウルを誘ったあたりは見事だったといえる。

 安藤コーチも、早めにファウルトラブルへと持ち込みたかったと振り返りながらも、「最後は仲江がやってくれました」と彼女の頑張りを称えていた。

 決勝で対戦する京都精華学園高校(京都府)も、東海大福岡と同様に188センチの大型センターを擁する。他のポジションでもミスマッチとなることが多く、高さの面では苦戦を強いられるだろう。京都精華学園は近畿大会決勝でも対戦した相手。「近畿大会でも(攻撃が)アウトサイドに偏ってしまったので、インサイドで強く攻めたり、ドライブに合わせたりと得点を意識したプレーをしたいです」と仲江は意気込む。

 また、「相手は高さがある分、すぐに点を取ってくると思うのですが、それでも私たちはリングに向かい続けていきしたいです」とも力強く発した。

 インサイドでタッグを組む島袋とはコート内外で仲が良い関係。「練習中からずっとコミュニケーションを取っているし、自主練習でも2人でも一緒にやってきているので、コンビネーションはいいと思います」と、2人の合わせのプレーも決勝の舞台で披露したいところだ。

「走ることしか勝てるところがないと思っているので、(決勝でも)しっかり走ってアップテンポなオフェンスをしたいです」と仲江。

 どんなときでも求められる役割を忠実に果たそうとする仲江は、決勝でも相手の高さに屈せず、リングに向かい続ける。

外角からの攻撃に活路を見出す [写真]=伊藤 大允


取材・文=田島早苗
写真=伊藤 大允

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