2022.07.29

アジア、世界、そしてインターハイ…広島皆実・三次真歩の“エース”としての挑戦

「初戦で多少の緊張もあったのですが、個人的には楽しみの方が大きかったです」と三次 [写真]=田島早苗
フリーライター

「(100点中)30点です」

 試合後、広島皆実高校(広島県)の三次真歩(3年)は、自身の出来についての点数を問われ、こう答えた。

 7月28日、「令和4年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」の大会2日目は2回戦が行われ、シード校だった広島皆実はこの日、初戦を迎えた。

 山形中央高校(山形県)との試合は、出だしこそ広島皆実が先行したものの、追いつかれてからは、一進一退の展開に。そのような中、三次は、早い段階でファウルトラブルとなり、前半のほとんどの時間をベンチで過ごすこととなってしまう。

 チームはその間にバックアップのガードである西名真渉(3年)らが要所で3ポイントシュートを沈めて、じりじりと点差を広げていく。また、「ディフェンスは(メンバー全員)同じぐらいのレベルで頑張れるようになってきた」(村井幸太郎コーチ)ことから、「(前半は)早めに交代し、相手のオフェンスを我慢しながら止めて、後半のどこか勝負ができたら」と、10人近い選手がコートに立ち、アグレッシブなディフェンスを披露。山形中央の得点を抑え、前半を終えて35ー23と12点リードした。
 
 迎えた後半は、三次も出だしから攻防において奮起。相手の執拗なディフェンスにもめげず、チャンスとみれば果敢にシュートを放っていった。

 鋭いドライブなどでも存在感を示したが、三次は「第1クォーターの時点でファウルトラブルになってしまい、ゲームメイクも他の人に任せることになってしまった」と反省のコメント。エースとしてコートに立つ時間が短かったことが、自己評価での低得点の理由となったようだ。

 三次は、日本代表として6月24日から30日まで「FIBA U16 女子アジア選手権大会 ヨルダン 2022」に、その後は、7月9日から17日にかけて「FIBA U17女子バスケットボールワールドカップ ハンガリー2022」に出場。約1か月の間に国際大会を2大会も経験した。

 そんな三次には当然、インターハイでは相手のマークが厳しくなる。だがそれは、三次も承知の上。特にドライブからのシュートについては、「今までなら(フィニッシュで)レイアップシュートに行くことができたのですが、ドライブを止めてくるとは思っていたので、普段の練習からジャンプシュートなど、フィニッシュの工夫を意識してやってきました」と言う。しかし、山形中央戦では「その前の突き出しのところを止められたので、今後はそこでの工夫も必要だと感じました」と三次。やはり広島皆実のキープレーヤーに対しては、相手チームも相当に警戒をしているようだ。

 一方で、世界を経験したからこそプラスに働いた面もある。そのうちの一つがシュート。背の高い選手と対戦してきた分、国内では「シュートを打つ瞬間、相手の高さを感じることは少なくて、その分余裕を持ってシュートが打てることが増えました」と言う。また、ディフェンスでも「日本は小さい分、ディフェンスをハードにやるのですが、それは成果として出たので、広島皆実もディフェンスを武器としているチーム。継続して頑張りたいと思います」とも力強く語った。

 短期間でヨルダン、ハンガリーと2カ国に渡り、日本代表として国際大会に出場と、ハードなスケジュールをこなしたが、「いいコンディションでインターハイにのぞめていると思います」と三次は充実感に満ちた表情を見せる。

「勝負所で点を取れるだけの決定力をエースとして持ってほしい」とは村井コーチ。その能力があるからこそ、指揮官もさらなるレベルアップを期待する。

 日本代表として戦い抜いた三次。今度は広島皆実の“エース”として。インターハイでは、自らのプレーでチームを高みへと押し上げたい。

三次は初戦の2回戦は18分の出場で9得点5リバウンドをマークした [写真]=田島早苗


文・写真=田島早苗

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