Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
「(100点中)30点です」
試合後、広島皆実高校(広島県)の三次真歩(3年)は、自身の出来についての点数を問われ、こう答えた。
7月28日、「令和4年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」の大会2日目は2回戦が行われ、シード校だった広島皆実はこの日、初戦を迎えた。
山形中央高校(山形県)との試合は、出だしこそ広島皆実が先行したものの、追いつかれてからは、一進一退の展開に。そのような中、三次は、早い段階でファウルトラブルとなり、前半のほとんどの時間をベンチで過ごすこととなってしまう。
チームはその間にバックアップのガードである西名真渉(3年)らが要所で3ポイントシュートを沈めて、じりじりと点差を広げていく。また、「ディフェンスは(メンバー全員)同じぐらいのレベルで頑張れるようになってきた」(村井幸太郎コーチ)ことから、「(前半は)早めに交代し、相手のオフェンスを我慢しながら止めて、後半のどこか勝負ができたら」と、10人近い選手がコートに立ち、アグレッシブなディフェンスを披露。山形中央の得点を抑え、前半を終えて35ー23と12点リードした。
迎えた後半は、三次も出だしから攻防において奮起。相手の執拗なディフェンスにもめげず、チャンスとみれば果敢にシュートを放っていった。
鋭いドライブなどでも存在感を示したが、三次は「第1クォーターの時点でファウルトラブルになってしまい、ゲームメイクも他の人に任せることになってしまった」と反省のコメント。エースとしてコートに立つ時間が短かったことが、自己評価での低得点の理由となったようだ。
三次は、日本代表として6月24日から30日まで「FIBA U16 女子アジア選手権大会 ヨルダン 2022」に、その後は、7月9日から17日にかけて「FIBA U17女子バスケットボールワールドカップ ハンガリー2022」に出場。約1か月の間に国際大会を2大会も経験した。
そんな三次には当然、インターハイでは相手のマークが厳しくなる。だがそれは、三次も承知の上。特にドライブからのシュートについては、「今までなら(フィニッシュで)レイアップシュートに行くことができたのですが、ドライブを止めてくるとは思っていたので、普段の練習からジャンプシュートなど、フィニッシュの工夫を意識してやってきました」と言う。しかし、山形中央戦では「その前の突き出しのところを止められたので、今後はそこでの工夫も必要だと感じました」と三次。やはり広島皆実のキープレーヤーに対しては、相手チームも相当に警戒をしているようだ。
一方で、世界を経験したからこそプラスに働いた面もある。そのうちの一つがシュート。背の高い選手と対戦してきた分、国内では「シュートを打つ瞬間、相手の高さを感じることは少なくて、その分余裕を持ってシュートが打てることが増えました」と言う。また、ディフェンスでも「日本は小さい分、ディフェンスをハードにやるのですが、それは成果として出たので、広島皆実もディフェンスを武器としているチーム。継続して頑張りたいと思います」とも力強く語った。
短期間でヨルダン、ハンガリーと2カ国に渡り、日本代表として国際大会に出場と、ハードなスケジュールをこなしたが、「いいコンディションでインターハイにのぞめていると思います」と三次は充実感に満ちた表情を見せる。
「勝負所で点を取れるだけの決定力をエースとして持ってほしい」とは村井コーチ。その能力があるからこそ、指揮官もさらなるレベルアップを期待する。
日本代表として戦い抜いた三次。今度は広島皆実の“エース”として。インターハイでは、自らのプレーでチームを高みへと押し上げたい。