2022.07.29

聖カタリナ学園・伊藤花奈子…地元開催のインターハイで“恩返し”のプレーを

鋭いドライブは伊藤の持ち味の一つ [写真]=田島早苗
フリーライター

「入学前から高校3年生のときには香川県でインターハイが開催されるということを知っていたので、3年生のときにはインターハイのコートに立って、家族や地元で応援してくださっている方々に成長した姿を見せたい。感謝の気持ちをプレーで伝えたいと思って、3年間頑張ってきました」

 7月27日から開幕した「令和4年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」。バスケット競技は香川県を舞台に熱戦の火ぶたが切って落とされたが、その大会に特別な思いを持って臨んでいる選手がいる。

 それが愛媛県代表の聖カタリナ学園高校でガードを務める3年生の伊藤花奈子だ。

 伊藤は、女子の試合が行われている丸亀市の出身。生まれも育ちも丸亀で、試合会場の丸亀市民体育館からは車で5分ほどの距離に家がある。同体育館にはミニバス時代から試合などで多く利用してきたそうだ。

 丸亀西中学校卒業後は、地元インターハイの存在もあり、県内の高校に進むか迷ったものの、「挑戦したい」という思いから強豪校である聖カタリナ学園の門を叩いた。

 今回のインターハイでは家族の応援はもちろんのこと、大会運営の補助員にも友だちがいるという。地元の仲間の前でのプレーに、「中学ではスピードで(相手を)やっつけることが多かったのですが、高校生になってからは、自分が点を取るだけなく、ディフェンスを見てアシストすることや、激しく当たるディフェンスを頑張ってきたので、そこを見てもらいたいです」と声を弾ませる。

 3ポイントシュートやスピードあるドライブなどを持ち味とする伊藤。ディフェンスでも最前線で運動量豊富にハードに当たり、チームに勢いをもたらしている。

 シードのため、聖カタリナ学園は、7月28日の2回戦が初戦。鹿児島高校(鹿児島県)と対戦し、計15本の3ポイントシュートを沈めて90ー56と快勝した。

 伊藤自身も「ボールを早く奪いたいと思ってしまった」こともあって、ディフェンスでのファウルがかさみ、ベンチに下がるシーンもあったが、30分の出場で4得点9リバウンド5アシストをマーク。だが、「オフェンスのところでミスが多かったです。(明日以降は)ミスをなくして、私は身長がない分、もっと相手のディフェンスを見ながら、かしこくプレーしていきたいです」と今後の課題もしっかりと語っていた。

「中学時代からピックプレーでの駆け引きがうまい選手でした。本人も(158センチという)自分のサイズを分かっていて、誰よりも努力するので、後輩に対してもいい影響を与えています」とは後藤良太コーチ。

 加えて、「シュートや合わせもうまい選手。バスケットの理解度が高いので、その理解したことを(試合で)表現できるように。(3回戦以降も)いつも通りのプレーを出してくれればと思います」と指揮官は、伊藤のさらなる活躍に期待を寄せた。

「勝ち進むにつれて相手の身長も高くなり、技術も上手くなっていくと思います。チームの持ち味であるディフェンスからブレイク、走って点を取ることとリバウンドやルーズボールを気持ちで負けないようにして勝ち進んでいきたいです」と伊藤。

目標の選手は同校の先輩である宮崎早織(ENEOSサンフラワーズ)という伊藤 [写真]=田島早苗


 生まれ育った町が舞台となり、全国大会を戦うことができる選手は多くはない。待ちに待ったインターハイ。伊藤は、1試合でも多く“恩返しのプレー”を見せるため、明日もまたタフに走り回る。

文・写真=田島早苗

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