2023.04.12

【Wリーグプレーオフ展望】ENEOSとトヨタ自動車が激突…ファイナルのキープーレーヤーは誰だ⁉️

第24回Wリーグプレーオフ・ファイナルに進出した2チームからキープレーヤーをピックアップ [写真]=Wリーグ
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「京王 presents Wリーグプレーオフ 2022-2023」は、いよいよ今シーズンの頂点を決めるファイナルを残すのみとなった。

 4月8、9日に行われたセミファイナルを経て、ファイナルへ勝ち上がったのは3連覇を目指すトヨタ自動車アンテロープスと2シーズンぶりにファイナルの舞台に戻ってきたENEOSサンフラワーズ。この2チームは、2シーズン前のファイナルでも対戦しており、そのときはトヨタ自動車が2連勝し、初優勝を飾っている。

 今シーズンの戦いでは、10月の開幕戦で対戦。このときは1勝1敗と星を分けた。続いて12月には皇后杯の準決勝でも顔を合わせたが、ここではENEOSが勝利。なお、ENEOSは続く決勝も勝って皇后杯10連覇を達成している。

 4カ月ぶりの対戦となる両チーム。ファイナルを前にそれぞれのキープレーヤーに注目してみたい。

マルチな働きが光るENEOSの長岡萌映子

 先にも触れたように、皇后杯での対戦から約4カ月が経っているため、どちらもチームの状況は変化している。その中で、トヨタ自動車の川井麻衣は、ENEOSについて「モエコさんがすごく仕上がってきているなという印象です」という。

 川井が具体的に名前を出したモエコとは、今シーズンよりENEOSに移籍で加入した長岡萌映子。昨シーズンまでトヨタ自動車に4シーズン在籍しており、トヨタ自動車のWリーグ連覇にも貢献してきた選手だ。

 もともと高い攻撃力に定評のある選手だが、プレーオフではクォーターファイナルで19得点、セミファイナルでは2試合を戦って1試合平均11.5得点8リバウンドを記録。特に第1戦は要所を締めるようなシュートで16得点を挙げ、渡嘉敷に次ぐ得点源としてチームをけん引した。

 その得点力もさることながら、特筆すべき点はパス。「ガードにプレッシャーがかかってて、ガードからパスできないときなどに、モエコは私のことを見てくれてパスをくれます」と、渡嘉敷来夢が言うように、チャンスと見れば、的確なパスで渡嘉敷のシュートを演出するのだ。

「ENEOSは、タクさん(渡嘉敷)のところが一番アドバンテージがあるので、それを生かすために自分ができることをやっています」とは長岡。開幕当初は、加入して間もなかったこともあり、本来の動きとはいかなかったが、徐々にチームメートとの合わせのプレーも精度が高くなっている今は、技ありのシュートやパスと長岡らしさが随所に出ている。

 渡嘉敷という絶対的エースに加え、長岡も暴れたら、トヨタ自動車といえどENEOSを止めることは容易ではないだろう。ファイナルでも長岡の働きが、カギを握るといえそうだ。

高い攻撃力だけでなくアシスト能力にも長けている長岡 [写真]=Wリーグ

大一番で力を発揮するトヨタ自動車・山本麻衣

「大きな舞台でプレーすることが本当に楽しみなので、緊張はあまりしていなかったです」

 プレーオフではセミファイナルから登場。シャンソン化粧品との第1戦後には、こうコメントしたのが、トヨタ自動車のポイントガードである山本麻衣だ。この試合ではチーム最多の19得点。中でも3ポイントシュートは5本を沈めた。翌日の第2戦でも3ポイントシュート4本を含む17得点をマーク。何より大事な場面での3ポイントシュートが光った。

「(第2戦は)あまりシュートが入っていなかったのですが、タッチは悪くなかったし、感覚も良かったので気にせずに打ち続けました。川井さんやほかの選手からも良いパスがきて、ノーマークで打つことが多かったので、自分を信じていつも通り打ち続けました」

 第2戦後の言葉通り、山本はスキルだけでなく、気持ちの強さも持ち合わせる。昨シーズンのプレーオフでも、思い切りの良く外角シュートを沈めて勝利に貢献。プレーオフMVPにも輝いた。

 ミニバス、中学、高校とすべてのカテゴリーで日本一を経験している山本は、本人も楽しいというように、大舞台になればなるほど躍動する。

「この1年間、自分たちのやってきたことを信じて、(ファイナルまでの)1週間でいい準備をしていきたいです。いい顔をして、最後はいい結果が出ることを信じて全員で戦います」(山本)

 163センチと決して高さがあるわけではない。だが、大きなハートを持つ司令塔は、来るファイナルでも、先頭に立ってチームを引っ張っていく構えだ。

 ほかにも注目すべき選手たちが2チームともにたくさん名を連ねるファイナル。一つのプレーで大きく流れが変わることもあり得るだけに、初戦から目の離せない戦いが続いていくだろう。なお、ファイナルは2戦先勝方式で、先に2勝した方が優勝となる。

大一番での強さは折り紙付きの山本 [写真]=Wリーグ


文=田島早苗

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