2023.09.25

Wリーグがシャンソンに対して「けん責処分」を発表…「適切なチームマネージメントを怠っていた」

メディア対応するWリーグの長崎俊也事務局長 [写真]=バスケットボールキング編集部
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 9月25日、一般社団法人バスケットボール女子日本リーグ(Wリーグ)が、「シャンソン化粧品シャンソンVマジックにおけるシーズン中の選手7名及びヘッドコーチ1名退団」に関する記者会見を実施。調査委員会からの答申を受け、9月21日に開催されたWリーグの理事会において、「適切なチームマネージメントを怠っていた」として、シャンソンに対してけん責処分を行うことを承認し、本日付けで処分の内容を発表した。

 会見の冒頭、登壇した調査チームからまず経緯について説明。

 昨年の12月4日、皇后杯東京保健医療大学戦に敗れたあと、選手、コーチによるミーティングをが行われ、選手感で敗因やチームの戦術・戦略、強化方針等に対する様々な意見が出たという。その際、感情的な言葉のやり取りが行われ、通常のミーティングとは大きく異なる内容だったという。

 翌日、選手1名が入院するなど、通常の練習が困難な状況に至った。それを受けたチームスタッフから事実確認のために試合後のミーティング出席者を対照にヒアリングを行ったところ、試合後ミーティングで発言をした一部の選手を対象として、就業規則に従って「解雇を含む何らかのペナルティーがある可能性」を伝える発言などを行った。

 また、対象チームは、かかる発言の対象者(ペナルティーの対象となり得る者)に対して、処分を否定するなどの適切なフォローを適切な時期に行うことをしなかった。

 これにより、試合後ミーティングに出席した選手の多くは、自ら又は他の選手に対して解雇などの重大な処分がなされるものと認識するに至った。試合後ミーティング以後、昨季終了までに、選手7名及びヘッドコーチ1名が順次退団したと、報告された。

 調査チームは「同一シーズン中に選手7名及びヘッドコーチ1名が退団するという前例のない事態を招いたことについては、対象チームが適切なチームマネジメントを怠ったことによるものと言わざるを得ない」と判断。

 さらに、これらの事象をより早い時期に、発言を撤回するなどして、「解雇などの重大な処分がなされる可能性がある」という選手の懸念や不安を払拭し、チーム運営を正常化する必要があったにも関わらず、それらを怠っていたとも判断するに至った。

 ただし、新チームの体制が構築されていること、チームとしても独自の「相談窓口」ち設置するなど、適切なチームマネージメントが実行していると見て、リーグとしてはこれらの事情を総合的に判断して、チームに対して「けん責」処分を行うことが相当であると判断したという。

 リーグは今回の事案を受けて再発防止のために、相談窓口の設置と昨シーズン途中から、選手がチームの帯同、不帯同の理由を明確にするように指導してきたという。また今回の会見でリーグとしてコメントを発表した(以下はコメント、原文のまま)。

「シャンソン化粧品 シャンソンVマジック(以下「対象チーム」)の昨シーズンにおけるヘッドコーチおよび選手7名の退団につきまして、お騒がせしご心配をおかけしたことをバスケットボール関係者およびファンの皆様に心よりお詫び申し上げます。

 Wリーグは、シーズン途中に選手7名及びヘッドコーチの退団という事態を招いた原因は、対象チームにおいて適切なチームマネジメントがなされていなかったためであると判断いたしました。国内最高峰のトップリーグを構成するチームをマネジメントする側は、チーム内に起こり得る事態を把握し、受入れ、改善に向かって努力をし、より良いチームコンディションに導くように適切にマネジメントすることが求められています。

 今回の事象をきっかけに、Wリーグに所属する全チームが、チームマネジメントに対する考えを見直し、選手が最大のパフォーマンスを示すことができる環境だけでなく、選手が生涯の一部を投じる場所として充実した時間を過ごすことができる環境を備えたチームとなり、そのようなチームによって構成されるリーグとしてゆくことが、本件のような事案を二度と起こさないために必要なことであると考えます。

 一方で、昨シーズンエントリーした選手がシーズン途中で退団し、失った時間は取り戻すことはできません。 選手を1シーズン完走させることができなかった事象につきましては、Wリーグとしても悔恨の極みであり、このような結果を招く前にサポートできる手段はなかったものかとも自省する次第です。

 我々Wリーグは、本件を決して忘れてはいけない出来事として胸に刻み、これからも夢をもって入団する選手たちに、二度と同じ境遇に至らせないことを誓い、女子バスケットボールのトップリーグとして多くの子供たちにとっての夢の舞台・目標の舞台であるように、すべての選手を全力でサポートしていくことを皆様にお約束させていただきます」

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