2024.06.22

【ルーキー対談】八木悠香×田中こころ…ENEOSに新風を巻き起こす関西コンビ

ENEOSのユニフォーム姿は初お披露目となった八木(左)と田中 [写真]=須田康暉
フリーライター

 京都精華学園高校(京都府)出身の八木悠香に桜花学園高校(愛知県)出身の田中こころ。高校時代、それぞれのチームで下級生の頃から主軸を担ってきた2人は、アンダーカテゴリーの日本代表としても活躍した。

 シュート力に定評のある田中にオールラウンドな動きが持ち味の八木。期待のルーキーたちはENEOSで再びチームメートとなり、新たな挑戦へと向かう。

取材・文=田島早苗
写真=須田康暉

ともに高いレベルを求めてENEOSへ入団

――4月に入団しましたが、練習などの感想を聞かせてください。
田中 今はトレーニングが中心ですが、トレーニングの質や量が高校とはまったく違うなと感じます。新しく覚えることもあるし、同じことでも姿勢や形、力を入れるところなど細かく教えてもらっています。

ドリブルやステップなど高いスキルを持つ田中 [写真]=須田康暉


八木 私は高校ではウエイトトレーニングをやっていなかったので、ENEOSに入ってすぐは全然できませんでした。姿勢などはじめて習うことばかりで、やったことがなかった分、感覚も分からないから難しいことが多かったですね。でも、今は段々とできるようになっていると思います。

――改めてENEOS入団を決めた理由を教えてください。
田中 どのチームよりも優勝回数が多いし、伝統のあるチームなので、そういったレベルの高いところでやりたいという思いが一番の理由でした。
八木 私も同じで、ENEOSはレベルが高いので、そういったところでやりたいと思いました。それと、同期に(田中)こころがいることも私にとっては心強かったのです。

――2人は高校時代から仲。同じチームに行こうといった話はあったのですか?
田中 いや、それはなかったのですが、「一緒に行けたらいいね」みたいなことを話したことはあります。だから(結果的に)一緒だったので、うれしかったですね。

――ENEOSでどういった選手になっていきたいと考えていますか?
田中 高校のときからやらせてもらっているシューターとしてENEOSでも活躍したいという思いがあるので、波のない安定したシュート力を持てるように頑張りたいです。

八木 高校では4番ポジションでしたが、ENEOSではポジションが上がって3番をやらせてもらうので、自分に足りない3ポイントシュートをしっかり練習して、中でも外でも点の取れる選手を目指したいです。

体の強さに定評があり、高校では全国優勝に大きく貢献した八木 [写真]=須田康暉


――昨シーズンのWリーグ・プレーオフでは現地観戦していましたが、印象に残っていることはありますか?
八木 シャンソン化粧品とトヨタ自動車(アンテロープス)の試合は、途中点差が離れたけれど、最後まであきらめず、シャンソン化粧品が逆転したことが印象に残っています。

田中 Wリーグの印象として、高校のときはコロナ禍というのもあったのですが、高校の試合と違い観客がすごいし、応援や音響も違う。毎試合U18日清食品トップリーグのような感じなので、自分がもし出たらどうなるんやろうって思って見ていました。トップリーグのときは緊張しなかったのですが、Wリーグはそれ以上の歓声があるし、フリースローの応援も高校とは違うので、それを体験したときどうなるのかなとは考えますね。

――ファイナルを見て、あの舞台に私たちも立ちたいと思ったのでは。
2人 はい、もちろん。

実は高校時代の日本代表活動を通して意気投合

――ともに関西出身。いつから互いの存在を認識していましたか?
八木 中学生のときですね。

田中 私も。近畿ブロックエンデバーではじめて会いました。

八木 でも、その頃はしゃべるとかはなくて。

田中 多分、私が一方的に知っていた感じだと思います。

八木 え、私も知ってたよ。

田中 見間違いじゃないの? 私は「京都精華の八木さんと堀内さんだ」と思っていたし、私だけでなくそこにいた人たちは、「あ、京都精華の選手やん」ってなってましたよ。

――その後、仲良くなったのはアンダーカテゴリーの日本代表活動がキッカケだと。
田中 高校2年生のU16女子アジアカップのときですね。そこから急に仲良くなりました。2人だけでなく、4人で仲良くて。

八木 最初に、私の部屋に来たんですよ。

田中 私ではなくて、4人のうちの1人の子に(八木が)用事があって部屋に呼んだんです。

八木 そうしたら一緒に来て。

田中 なんで行ったかわからんけど。そこからみんなで写真や動画を撮ったりして、仲良くなりました。

八木 それが海外の試合前で、そのあと(大会開催地の)現地でもずっと一緒におって。

田中 (高校バスケットを)引退してから4人で遊びましたし、(八木と)2人で南京町にも行きました。

八木 ユニバ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)とかね。

田中 毎日しゃべって、LINEして。

U16女子日本代表としてU16女子アジア選手権を戦い準優勝 [写真]=fiba.basketball


――とても仲が良いですね。
田中 気づいたらやんな。

八木 うん(うなずく)。

――日本代表ではチームメート。頼もしい存在だったのでは?
田中 (U16女子日本代表)スタートが『桜花学園4人+八木』だったんですけど、すぐになじんで。どの選手に対してもなじむ力があるのはすごいなと思いました。

八木 最初は桜花の中に自分が入って大丈夫かな? とは思ったのですが、みんなが声をかけてくれて。一緒にプレーしていてやり易かったですね。確かに、始めは様子を見てた部分もあったけど…。

田中 見てたんかい。

八木 一応ね。でも、そんなことしていても馴染めないし、試合に出させてもらっている分、自分から馴染まないとダメだなと思って。

――田中さんについては?
八木 負けている場面で3ポイントシュートを決めてくれて逆転したし、いろいろな部分で助けてくれました。シュートの確率が安定していましたね。

――逆に高校ではライバルでした。どのように見ていましたか?
田中 難しい質問きた(笑)。 ライバルとして…。ライバルとして見てくれていなかったと思います。

八木 いや、見ていましたよ! こころは、3ポイントシュートもドライブもある。ドライブしたときにヘルプに行っても、ノールックパスをされるし、一番点を取られたくない選手でした。

――八木さんについては? 京都精華学園は堀内桜花さん(シャンソン化粧品シャンソンVマジック)、ディマロ ジェシカさん(トヨタ紡織サンシャインラビッツ)もいました。
田中 でも、一番のキーマンは(八木を見て)ここでした。チーム内のミーティングでも4番ポジションでもボールプッシュしてくるとか、八木に入ったら全部ジェシカへのハイパスされるから、つながせないようにしようという話だったし。京都精華の起点だからまずは抑えようとなっていましたね。

――性格はそれぞれ違いますか?
田中 (八木について)おっとりしています。優しいし、話も聞いてくれる。ちょっと人見知りがあるかな。

八木 若干ね。でも、慣れたらいける。(田中については)誰にでも、誰とでも友達になれるところはある。

――話を聞いていると2人のノリというか、掛け合いがいいですね。
田中 ノリは合うよね。

――田中さんがツッコミ役ですが、八木さんは高校のときも?

八木 ツッコまれる側でした。

田中 ツッコミどころしかないですよ。ボケ担当というわけではないけど…。

八木 イジられキャラなんです。

田中 意識的にボケられないけど、自然とみたいな。それで私が、「いや、ちゃうやろ」って言ってます。

――では、最後に1年目の抱負をお願いします。
田中 失敗を恐れずにチャレンジャー精神を持って自分らしく頑張ります。

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