2024.06.19

三井不動産カップ2024で注目したい女子日本代表選手4選~

東京大会に続き2大会連続出場、そしてメダル獲得を目指す選手たち[写真]=日本バスケットボール協会、伊藤大允
フリーライター

 パリで行われる世界大会に向けて女子日本代表が動き出した。
 女子日本代表候補に名を連ねるのはWリーグと海外リーグでプレーする16名。5月上旬から始まった代表合宿では、パリに向けたチームの強化や12名のロスター入り争いと日に日に熱を帯びている。
 そして、6月には「三井不動産カップ2024(北海道大会)バスケットボール女子日本代表国際強化試合」(20、21日開催)が予定されている。今回は2021年東京大会のメダリストで三井不動産カップでの活躍も期待される4名にクローズアップする。

日々の努力を惜しまない日本を代表する司令塔・町田瑠唯とシューター・林咲希

3年ぶりに日本代表としてのプレーが期待される町田瑠唯[写真]=伊藤大允


 東京大会では1試合18本のアシストで大会新記録を樹立した町田瑠唯(富士通レッドウェーブ)。だが、それ以降は日の丸を付けて国際大会に出場したことは、いまだ一度もない。

 東京大会の翌年、2022年はワシントン・ミスティックスの一員としてWNBAに参戦。WNBAは日本代表活動と時期が重なるため、この年はWNBAのシーズン終了後に控えていた「FIBA女子ワールドカップ2022」への招集もコンディション面を理由に見送られた。

 翌2023年は代表合宿中のケガの影響などで、「FIBA女子アジアカップ2023」、「第19回アジア競技大会」とメンバー入りはならず。さらに年が明けた2月の世界最終予選(OQT)でも12月中旬の皇后杯で激しく痛めた足首の回復が間に合わず、出場は叶わなかった。

 しかし、その後はケガも癒え、徐々にコンディションを上げていくと富士通をWリーグ優勝へとけん引。持ち味のパスや安定したゲームメーク、ハードなディフェンスを披露した。現在は、日本代表合宿でも元気な姿を見せている。

「パリ大会に出たいという思いは強いです」と、言う町田。一方で、日本代表での実戦は長らく離れているため、「みんなより出遅れているので、なるべく早く追い付けるように」と、焦りの色も見せる。実績十分の町田瑠唯といえど、日本代表メンバーに入ることは決して簡単ではない。そのことを本人はわかっているのだろう。まずは出身地の北海道で行われる三井不動産カップ。日本代表の復帰戦を自ら華々しく飾りたい。

東京大会以降、キャプテンとしてチームをけん引した林咲希(写真は昨年の三井不動産カップ)[写真]=日本バスケットボール協会


 町田とともに富士通で優勝を果たしたのがシューターの林咲希だ。今シーズン、ENEOSサンフラワーズから富士通に加入し、移籍1年目で歓喜の瞬間を迎えた。

 恩塚亨ヘッドコーチ率いる日本代表では、東京大会から約2カ月後に行われた「FIBA女子アジアカップ2023」で若手中心のチームをまとめると、「FIBA女子ワールドカップ2022」はケガにより不参加となったものの、ここまで出場したすべての国際大会でキャプテンを担ってきた。

 最大の武器は3ポイントシュートで、東京大会の準々決勝・ベルギー戦でも見せたように勝負強さも持ち合わせる。それだけでなく、富士通ではハンドラーとしての役割も課せられていたことでプレーの幅も広がっている。

「みんながやるべきことを理解してきてきたと思います。今は止まるべきなのか、動くべきなのかを瞬時に考えられないとできないバスケット。やり込めばやり込むほどみんなのプレーが合うと思っているので、早くやりたいというか、質の高い練習はできるのではないかと思って楽しみです」と、日本代表の進化を語る林。林自身もリーダーとしてたくましさが増しており、「みんなが楽しく、やる気に満ちあふれているバスケットをしたいので、悩んでいる人がいたら、(周りの)勢いに乗るように話しかけるなどしていきたいし、みんなで(チームを)作り上げていきたいです」と、パリに向けたチーム作りに意欲を見せている。

1年の休養から復帰の馬瓜エブリンと体を張って日本の行く先を照らす︎髙田真希

1年間の休養を経て復帰を果たした馬瓜エブリン[写真]=伊藤大允


 プレーオフ・ファイナルで富士通とし烈な争いを演じたデンソーアイリス。今シーズン、新たにデンソーに加わったのが馬瓜エブリンで、アグレッシブなプレーと抜群の統率力で皇后杯優勝、Wリーグ準優勝の立役者となった。

「(復帰のシーズンで)ファイナル第3戦までプレーできたことは誇らしいし、内容としてもいいプレーができたと思うので、自分のことを褒めたいと思います」と、充実の1年を振り返った馬瓜。そのシーズンでは、シーズン途中に日本代表としてOQTに出場。代表復帰戦ではあったが、要所を締めるシュートなどで貢献すると、積極的な声掛けでも仲間を盛り立てた。

 若い頃から日本代表候補に選出され、世界大会を目指すメンバー争いは今回で3度目。だが、「自分の中で、誰にどう見られてるといったことを意識をすることが少なくなりました。それが開放感や自分の持っているものを出していいんだという考えにつながったと思います」と、馬瓜。1年の休養での気持ちの変化があったようで、「今までの(日本代表の)選手選考では年齢が下ということもあってガチガチでした。でも、日本のために必要なプレーをして、それで良かったら選ばれるし、ダメだったとしても、それがすべてではないと思えるようになったことが大きいです」と、思いを明かしてくれた。

 休養期間中に携わった様々な仕事を通して得た経験をプラスに。馬瓜はこれからもエネルギッシュにコート内外でチームメートと自らを鼓舞していく。

コート内外で絶大な影響力を持つ髙田真希(写真は昨年の三井不動産カップ)[写真]=日本バスケットボール協会


 デンソー一筋16年。10代の頃から日本代表として多くの国際大会に出場してきた髙田真希は、34歳となった今も衰えを知らない。それどころか、年々パワーアップしているといえるだろう。

 銀メダルを獲得した東京大会では、キャプテンとしてポイントゲッターとしてチームをけん引。このとき指揮を執っていたトム・ホーバスヘッドコーチのもと、本格的に取り組んだ3ポイントシュートはいまや髙田の特長を語る一つとなり、今シーズンはセンターながら3ポイントシュート成功率でWリーグ1位となった(48.53%)。

 日本代表の大黒柱である髙田は、得点やリバウンド、ディフェンスとその貢献度は大きい。その髙田は、数少ない他国との国際強化試合への思いをこのように発した。

「パリ大会までに強化試合がいくつかありますが、まずは北海道での試合。数少ない国際試合はすごく大事です。自分たちが積み重ねてきたものがどれだけ通用して、そこで自信を得ることができるか。(国際強化試合などで)自信を少しずつ積み重ねていくことが本番での自信になると思っているので、(三井不動産カップ北海道大会での)オーストラリア戦で、課題をどれだけ克服できるのか、それと新たな課題も得る機会にしたいです」

 パリ大会に出場すれば、3大会連続の出場となる。長い代表活動では、うれしいことだけではなく、つらいこともあった。すべてが糧となり今がある。日本が誇るリーダーは、挑戦の夏をしっかりと見据えている。

文=田島早苗

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