2019.11.17
「FIBA女子オリンピック プレ・クオリファイイング・トーナメント2019(アジア・オセアニア)」の初戦、日本はインドと対戦した。
今大会での注目は、何といっても2年ぶりの日本代表復帰となった吉田亜沙美(JX-ENEOSサンフラワーズ)だろう。
8月末に引退を撤回し、現役続行を決めてから10月開幕のWリーグではすでに6試合に出場。1試合平均6.5本のアシストをマークしている。そして今回、“トライアウト”の意味も兼ねて久しぶりの日本代表参加となったのだ。
迎えた初戦(対インド)、吉田は控えから出場。第1クォーター残り5分の場面で出番を迎えると、ここから好アシストを連発した。何より、日本代表のスタイルである速い攻撃へと持ち込む巧みなパスさばきは見事で、瞬時にしてゲームを支配。吉田の“世界”を作り上げた。
結局、14分47秒の出場で11アシストを記録。試合直後、この時点で正式なアシスト数は分からなかったが、記者から大量アシストに話を向けられた吉田は「そんなにしてますか?」とケロリ。試合が大勝だったことを受けて「普通です」と答えた。
「まだトライアウトの身なので与えられた状況の中で自分の力を出し切ることが今の自分の役割だと思っています。どのメンバーで出ようが安心して任せられるようなプレーをしていきたいです」と吉田。2年ぶりの国際大会にもあくまでも“トライアウト”であることを強調し、「パスがあるのは(トム・ホーバス)ヘッドコーチも分かっていること。後は得点力のところをアピールしていかないといけない。3ポイントシュートの確率をどれだけ上げられるか。打つ本数が少ない分、確率を上げていくのが今の課題です」と淡々と語った。
それでも、インド戦では赤穂ひまわり(デンソーアイリス)や宮下希保(アイシン・エィ・ダブリュウィングス)といった若手選手と出場する時間も多く「宮下もすごく良かったと思うし、ジュナ(梅沢カディシャ樹奈/JX-ENEOS)もやっと本来のバスケットができたかなと思うので、そういった選手たちと一緒にやれたことは私自身もすごく新鮮でした。今までは絶対になかったことだったので、とても楽しかったです」と笑顔を見せた。
「チャイニーズタイペイやオーストラリアと対戦した時にいかに自分の力を出せるかというのは不安の方が大きいけれど、それはやっていかないといけないこと。今回、11月の段階で国際大会を経験できているのは私にとってはすごく大きな経験だと感じます」と吉田。
その言葉とは裏腹にインド戦の働きから、明日以降のチャイニーズ・タイペイ戦、オーストラリア戦での期待も高まるところ。
日本が誇る司令塔――。吉田の東京オリンピックへの挑戦という大きな扉は、静かにゆっくりと開けられた。
文・写真=田島早苗
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