2022.02.02

切磋琢磨する環境を楽しみながら、ひたむきに取り組む司令塔の本橋菜子

「すごく楽しみにしてこの合宿に参加しました」と語った本橋菜子 [写真提供]=日本バスケットボール協会
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

 2020年11月に負った右膝の靭帯損傷という大ケガから復活した本橋菜子(東京羽田ヴィッキーズ)。昨夏には東京オリンピックのメンバー入りを果たし、同大会では銀メダル獲得した。

 そのオリンピック以来となる女子日本代表候補選出に、「ヒザの状況が万全ではない中でも呼んでいただいたことは素直にうれしいですし、この環境でやれるということはありがたいことなので、すごく楽しみにしてこの合宿に参加しました」と語る。

 恩塚亨ヘッドコーチ体制になってからは初の代表活動。若手主体で臨んだ「FIBA女子アジアカップ2021」は映像で見ていたが、見ていた時と実際にプレーしたのとでは、思ってた以上に「頭をフル回転させて、早い判断、速いスピードでバスケットを展開する」と違いを感じたよう。最初は「理解はできているけれど、実際にプレーしながら早く判断するということがなかなか追いつかなかった」と本橋。それでも、「今は少しずつ体現できるようになってきているかなと思います」と、徐々に指揮官の求めるバスケットスタイルに順応できているそうだ。

 現在は、2月に開催予定の「FIBA女子バスケットボールワールドカップ2022 予選」(以下ワールドカップ予選)に向けた選手選考も兼ねた合宿中。昨年のアジアカップを経験した宮崎早織(ENEOSサンフラワーズ)、山本麻衣(トヨタ自動車アンテロープス)をはじめ、ポイントガードのポジション争いは激しいが、「(試合に)出た時に自分の持ち味であ3ポイントシュートやドライブをバランスの良くプレーすること。状況を見て、しっかり判断してプレーできたら」と意気込む。さらには、「アジアカップを経験した2人はアジリティが高く、恩塚さんのバスケットを理解しています。体現するのにふさわしいプレーヤーがポイントガードにはたくさんいて、見ていて勉強になると感じますし、切磋琢磨できている環境だと思います」とも語った。

 本橋自身、初の国際大会は2018年のワールドカップ。この時を「初めての世界大会で、がむしゃらに、無我夢中でやっていた」と振り返る。だが、そこから幾多の国際大会を経験し、「当時は、自分のできることをただやっていた感じでしたが、今はコミュニケーションを大事にしながら、自分だけにならずに、チーム全体を見てプレーしていけたらいいなと。ちょっと余裕ができたのかなとは思います」と自身の成長も実感している。

 足の状況もあり、今シーズン、Wリーグでの1試合平均の出場時間は約13分。決してプレータイムが長いわけではないが、「恩塚さんのバスケットは3、4分で全てを出し切り、(その後に)フレッシュなメンバーが交代して繋いでいくバスケット。そういった意味では(今シーズンは)東京羽田でも短い時間で交代して出るというのを繰り返していたので、不安はないです」と言い切る。

「先のことは見ずに、今いる環境で、このメンバーたちとバスケットをしていけたら」と語る司令塔は、指揮官が目指す「世界一のアジリティ」を表現すべく、これからも目の前のことにひたむきに取り組んでいく。

取材・文=田島早苗

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