2022.02.03
1月18日に「FIBA女子バスケットボールワールドカップ2022 予選」(以下ワールドカップ予選)の女子日本代表候補選手19名が発表されると、一際、話題をさらったのが藤岡麻菜美(シャンソン化粧品シャンソンVマジック)だ。
高校時代からアンダーカテゴリーの日本代表として活躍してきた藤岡は、筑波大学時代にはインカレ制覇やリオオリンピックの日本代表候補入りを果たすなど、輝かしい実績を残す。そして2016年にENEOSサンフラワーズに入団。その年は「ルーキー・オブ・ザ・イヤー」を獲得しており、1年目から主軸としてチームの勝利に貢献してきた。2017年にはアジアカップでメンバー入りし、同大会では3連覇の立役者に。もちろん、その先に待つ地元開催の東京オリンピックやパリ・オリンピックでの飛躍にも期待が寄せられたが、その後、2019−20シーズンをもって引退し、指導者へと転身した。
しかし今シーズン、藤岡はシャンソン化粧品で現役復帰。試合では得意とするキラーパスやクロスオーバーからのドライブなどを披露すると、持ち前のリーダーシップも発揮して、チームでも大きな存在感を放っている。そして、今回、リーグ等でのプレーが評価され、代表復帰となったのだ。
「まさか自分が候補に入ると思っていなかったので、正直驚いたというのが一番でしたが、それと同時にまた呼んでもらえたことに関してはうれしかったです。もう一回、(ヘッドコーチが)恩塚さんになった新しいバスケットをやってみたいなという気持ちがあったので、参加しました」と、藤岡は、代表候補に選出された感想と、参加に至った思いを語る。
「一度は嫌いになって辞めた」バスケットだったが、指導にあたる高校生たちのバスケットを楽しむ姿に再び選手としての思いが高まり、復帰へとつながった。
銀メダルを女子日本代表が獲得した東京オリンピックが開催されていた頃は、すでにシャンソン化粧品の選手として練習に勤しんでいた時期であり、「オリンピックを見た時に、(選手で)やる以上ではトップを目指すのもいいのかな? と思いました」という。ただ、以前のような「オリンピックに行かないといけないと思い、プレッシャーがあった」頃とは異なり、「バスケットを楽しむために戻ってきて、それが結果として代表につながれば、『チャンスはあるのかな?』ぐらいの考えです」と、良い意味で気持ちに余裕ができている。それが「新しい気持ちで取り組めている」という今の藤岡のパフォーマンスを引き出している要因ともいえるだろう。
「あまりセットプレーがなく、自由な感じで『これがダメだったらこれ』といったようなオプションが結構あるので、スタイル的には自分に合っているのかなと思っています」と藤岡。「恩塚さんもワクワクを大切にしようといつもおっしゃっているのですが、自分が純粋にやりたいという気持ちが一番の原動力だと思うので、そこを大切にしていきたいです」とも語った。
もともと、引退前から藤岡は、『次はどんなプレーを見せてくれるのだろう?』と見る者をワクワクさせていた選手。さまざまな経験や紆余曲折を経て、純粋にバスケットを楽しんでいる彼女には、日の丸をつけてのプレーを望むファンも多いだろう。
オンライン取材に応じた前日の2月1日は28回目の誕生日。「代表で祝っていただいたのは初めてなので、新鮮な感じで素直にうれしかったです」と笑顔を見せた藤岡は、28歳の誓いを高らかに語ってくれた。
「自分自身、コンディションを崩してチャンスをつかめ掴み切れないことが多いので、健康第一に、笑顔があふれる一年にしたいと思います」
取材・文=田島早苗
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