2023.10.18
10月6日、中国で開催されている「第19回アジア競技大会(2022/杭州)」で銀メダルを獲得したバスケットボール女子日本代表が帰国。中国代表との決勝から一夜明け、恩塚亨ヘッドコーチが羽田空港でメディアの取材に応じた。
完全アウェーだった5日の決勝は、第1クォーターで16-26と10点差を付けられたのものの、第2クォーター以降に盛り返し、第4クォーター残り13秒で林咲希が3ポイントを決め同点。土壇場でクロスゲームに持ち込んだが、最後はFIBAランキング2位の“格上”中国にかわされ、わずか2点差で苦杯を喫した。
恩塚HCは3カ月前のアジアカップ決勝で中国と戦った際にも見えた「システムに頼っていた」という課題が、この試合の第1クォーターにも「残っていた」と振り返ったが、「ゲームの中で気づきを与えて、気づきを得て、アジャストできたのは良かった。『こういうことですよね』と、私も選手も納得感を持ってアジャストできたのかなと感じています」と、今回の惜敗の中にも手応えがあったことを明かした。
大会前から主力として期待されていた山本麻衣と町田瑠唯が負傷離脱すると、大会中には本橋菜子と星杏璃が体調不良で戦線離脱。大一番は想定通りのメンバー構成ではなかったものの、「チームとしてそれぞれが役割を果たしてくれた。やるべきことがちゃんと理解できていて、誰が出ても自分の仕事ができるようになってきたかな」とポジティブな収穫としてとらえている。
一方で、今大会前から狙いの一つとして挙げていた“課題”について話題が及ぶと、「(相手ディフェンスに)ズレができた時にシュートを決めきれない」と切り出し熱弁。自身の理想とするバスケットボールについても触れながら、次のように語った。
「日本女子バスケ全体にいえる課題なんですけど、“何をやるか”ということにフォーカスしてしまう。『ディフェンスがこうなってるからここに動くよね』という意識が、タフなゲームになった時に薄れてしまって、その結果難しいシュートを打ってしまったり、単純なパスミスをしてしまう。常に自分を妨害してくる相手に対してアンテナを立てて、『ディフェンスが自分の次のプレーを教えてくれる』、そう言う感覚でバスケをしていくことを目指していきたい」
コート上で何が起きているのか、5人全員が瞬時に判断し、同じ絵を描きゴールを目指す。いわゆる“後出しジャンケン”をし続けるような高度なバスケットボールだろう。
ただ、今回の中国戦でも苦しめられた「高さ対策」の話になると、「スペシャルなことに走りがちなんですけど、結局リバウンドを取られたシーンを見返してみると、ヒットが弱いんです」と原点に帰るようにシンプルな回答。「(選手は)準備してるけど、まだ改善できる余地があると僕は評価している。(相手選手が)大きいから取られているんじゃなくて、やるべきことをできてないから取られてるということを自覚してトレーニングしていって欲しい」と、選手たちに細部のレベルアップを求めた。
オフェンスで求められる柔軟な対応同様、ディフェンスで足りなかった基礎も、「タフなゲームになった時にそれが抜けちゃう。そこは私のトレーニング不足だったな」と、自身に言い聞かせるようにも語った。
代表活動が一段落したところで、コーチングを学ぶため渡米することも明言。約10日間のスケジュールで、日本人の吉本泰輔氏がアシスタントコーチを務めるニューヨーク・ニックスなどを視察する予定だという。戦術よりも「チームフィロソフィーをどのように浸透させているのか」、本場からコーチングを学ぶ姿勢だ。
女子日本代表の次なる戦いは、来年2月にハンガリーで行われるOQT(オリンピック世界最終予選)。選手スタッフそれぞれが、悲願のオリンピック金メダル獲得へ向けて歩みだしている。
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