2019.10.14

ラプターズのノーマン・パウエル「プレシーズンは若手がそれぞれの能力を示す機会」

ジャパンゲームズで先発SGを務めたパウエル[写真]=伊藤 大允
NBA好きが高じて飲食業界から出版業界へ転職。その後バスケットボール雑誌の編集を経てフリーランスに。現在はNBAやBリーグのライターとして活動中。

「ファンの皆さんもすばらしかったので楽しい時間でした」と第1戦を振り返る

 約16年ぶり、通算7度目の開催となった「NBA Japan Games 2019 Presented by Rakuten」(以降、ジャパンゲームズ)で、トロント・ラプターズは初来日を果たした。

 昨季、創設24シーズン目にしてフランチャイズ史上初のNBAチャンピオンとなったラプターズは、8日と10日に行われたヒューストン・ロケッツとのジャパンゲームズ2戦において、リーダー兼司令塔のカイル・ラウリーが左手親指手術の影響で2戦とも欠場、今夏の「FIBAバスケットボール ワールドカップ2019」でスペイン代表を優勝へと導いたマルク・ガソルは初戦を欠場するなど、ベストメンバーで臨むことはできなかったものの、ロケッツ相手に1勝1敗と、決して悪くない戦績を残したと言っていいだろう。

真剣な表情で練習に臨むパウエル。キャリア5年目となる今季は飛躍の年になりそうだ[写真]=伊藤 大允

 ここでは、8日の第1戦終了後、囲み取材に対応したノーマン・パウエルの声をお届けしていきたい。

 先発シューティングガードとして出場したパウエルは、約18分のプレータイムで14得点をマーク。昨季はカワイ・レナード(現ロサンゼルス・クリッパーズ)とダニー・グリーン(現ロサンゼルス・レイカーズ)がウイングにいたため、なかなかプレータイムを得ることができなかったものの、今季はプレータイムを得て活躍することが期待されている選手の1人。

 ジャパンゲームズ初戦を終えたパウエルは「今日の試合は良かったです。最近の1か月以上はずっとチームメートたちと対戦していたので、コートに出てプレーするのは良いことです。プレシーズンに入ると相手と対戦することによって活力が上がりますので、良かったです。ファンの皆さんもすばらしかったので楽しい時間でした」とコメント。

 この試合はラウリーとガソル不在ではあったものの、ラプターズは両チームの主力がベンチに下がった第4クォーターに逆転し、134-129で勝利を手にした。両ベテランの不在について聞かれると、パウエルはこう切り返していた。

「いえ、そこまで感じませんでした。皆練習はしていますし、カイルは(左手)親指のケガのケアをしながら復帰に向けて頑張っています。マルクも身体への負担軽減を自己管理しています。彼ら以外の選手たちが、空いた出場時間で自分たちの能力を示す機会なんです。プレシーズンで、ベテラン選手たちは休養を取りながらレギュラーシーズンに向けて準備しています。若手選手たちが長く出場してアピールする時期なので、そこまで2人の不在は厳しいものではなかったです。まだプレシーズンなので、流れに慣れ始めているところです」。

今季初のプレシーズンとなったジャパンゲームズ2戦で、パウエルは上々のパフォーマンスを見せた[写真]=伊藤 大允

「僕は楽しみながら、若手にチームが目指すプレーを教え込んでいます」

 レナードとグリーンの移籍により、ロースターが入れ替わったラプターズ。戦力ダウンしたというのが大方の評価ではあるものの、パウエルはポジティブに捉えていた。

「すごく楽しくやっています。オフシーズン中にカワイとダニーがいなくなりましたが、僕らにとっては大きなチャンスでもあります。新加入でも前からいた選手でも出場時間が増えるので、その分、自分たちの能力を示す機会も増えます。このチャンスを逃さず、それぞれのキャリアでステップアップできるように努力しているところを見せる機会です。彼らがこの環境に慣れるためのサポートをするのは楽しいですし、ルーキーたちには貪欲さがあります。チームが目指すオフェンスやディフェンスを教え込んでいるので、若手選手には非常にいい経験になります。だから僕は楽しみながらやっています」。

第2戦の前、パウエル(右)はリバース(左)と共にスピーチを行った[写真]=伊藤 大允

 10日に開催された第2戦の試合前、パウエルはロケッツのオースティン・リバースと共にコートに立ち、会場に集まった2万人以上のファンの前で挨拶。2試合連続スターター起用となったパウエルは、序盤にロケッツが2ケタリードを奪う劣勢の中、高確率の3ポイントを中心に得点を量産し、チームトップの22得点と大活躍。

 チームは敗れてしまったものの、パウエル自身は手応えのあるゲームとなったに違いない。今季はラウリー、フレッド・バンブリートと共に、バックコート陣の中で多くのプレータイムを手にすることができると期待したい。

文=秋山裕之

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