2020.05.28
10月10日。さいたまスーパーアリーナで、ヒューストン・ロケッツとトロント・ラプターズによる「NBA Japan Games 2019 Presented by Rakuten」(以降、ジャパンゲームズ)第2戦が行われ、118―111でロケッツが勝利。両チームは1勝1敗でジャパンゲームズを終えた。
この日、今季のプレシーズン初出場を果たしたベテランのマルク・ガソル(ラプターズ)は、第1クォーター途中からコートに立ち、約18分のプレータイムで6得点6リバウンド1アシスト3スティール1ブロックという数字を残した。
ガソルは昨季、自身初のNBAチャンピオンに輝いただけでなく、今夏中国で行われた「FIBAバスケットボール ワールドカップ2019」(以降、W杯)にスペイン代表として出場し、見事チャンピオンに。
W杯の決勝が行われた9月15日以降、初の試合となったガソルはジャパンゲームズ第2戦後の囲み取材で「調子は良かったです。まずはまたコートに出ることができてすごく良かったですし、エキサイトしていたので息継ぎが回復してからは普段通りの調子になりました。いつも通りの調子と動きで、相手の動きも良く読めました。チームメートとの理解を深めることもできましたし、3週間ぶりに臨場感のあるバスケットボールをプレーしました。ここまではゲームライクな激しいコンタクトはなかったので、それを3週間ぶりに体験できてうれしく思います」と振り返った。
2013年にメンフィス・グリズリーズの守護神として、ガソルは最優秀守備選手賞に輝いた実績を持つ。インサイドで身体を張りつつ、チームメートたちへ指示を出すなど、ガソルはラプターズのディフェンスにおいて、サージ・イバカと共にインサイドで重要な役割を担っている。
現状のチームディフェンスについて聞かれると、ガソルは「良い点もありましたし、もちろん良くない点もありました。今は互いにコミュニケーションを取りながら新しいことを試しているので、この時期だからこそ新たな試みが結果に繋がるかどうかを確認しています。失敗しても気を落とさず、試合に勝つことに限らず、いかに引き出しを多く持つことができるかが重要です」と答えていた。
ちなみに、この日の会場となったさいたまスーパーアリーナは、2006年にスペイン代表が「FIBAバスケットボール 世界選手権」(現W杯)で初優勝を成し遂げた会場でもあった。「当時と同じ会場だったことを覚えていましたか?」と聞かれたガソルは、このように振り返っていた。
「もちろん。昨日(9日)、コートに出た時、決勝のギリシャ戦の思い出が蘇りました。ワールドカップを実際に手にした位置とかトロフィーを手渡された位置などを思い出しました。当時から座席とかは変わっていて、モニターが増えて、コートも新しくなって、13年前よりはモダンな感じになっていますが、この空間はまったく同じですね。ワールドカップで優勝した気持ちとあの感情は永遠のもの。あの時の思い出は、鮮明に覚えています」。
当時のガソルは20代前半で、スペイン代表の中でも若手だったとはいえ、兄のパウ(現ポートランド・トレイルブレイザーズ)が左足の骨折で欠場を余儀なくされる中、ギリシャとの決勝で奮闘し、兄と共にワールドカップの優勝トロフィーを手にしたことは格別だったに違いない。
スペイン代表は、すでに来年の東京オリンピック出場を決めているため、ガソルが来年もこのアリーナへ舞い戻ることができると期待したいところだ。
文=秋山裕之
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