2019.10.07

【単独インタビュー】ラプターズのマルク・ガソル「チームを結束させて勝利していく」

短時間ながら単独インタビューに応じてくれたガソル[写真]=伊藤 大允
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昨季途中にラプターズへ移籍後、主軸の1人としてチーム史上初の優勝に貢献

 10月7日。ヒューストン・ロケッツとの『NBA Japan Games 2019 Presented by Rakuten』(以降、ジャパンゲームズ)を前日に控え、都内某所でトロント・ラプターズのニック・ナースHC(ヘッドコーチ)をはじめとする複数の選手たちが囲み取材に応じ、メディアの前で練習の一部を公開した。

 その中で、今回はラプターズの先発センターを務めるマルク・ガソルが単独インタビューに応じてくれたのでお届けしたい。

数多くのメディアに囲まれる中、ガソルは丁寧に答えていた[写真]=伊藤 大允

 囲み取材終了後、短いながらも質問に答えてくれたガソルは、今年最も長くプレーした選手と言っても過言ではない。

 今年2月、ガソルはNBA入りしてから10年以上プレーしてきたメンフィス・グリズリーズを離れ、トレードでラプターズへ加入。主軸の1人として持ち前のオールラウンドなプレーを存分に発揮し、ラプターズのフランチャイズ史上初優勝に大きく貢献。

 自身初となったNBAファイナルで、ゴールデンステイト・ウォリアーズ相手にガソルは全6試合でスターターを務め、平均28.8分12.0得点7.3リバウンド2.7アシストを記録し、キャリア11シーズン目にして初のNBAチャンピオンに。

06年に続く2度目のW杯制覇に「中心選手という立場で優勝でき、とても光栄」

 そして今夏、「スペイン代表でプレーすることは十二分に価値がある」と『NBA.com』へ明かしたガソルは、母国を代表して「FIBAバスケットボール ワールドカップ2019」(以降、W杯)に出場。

 大会8試合でチームトップの平均28.5分コートに立ち、14.4得点5.5リバウンド4.1アシスト1.1スティール1.1ブロックをマークし、スペイン代表のW杯制覇を大きく後押しする貴重な活躍を見せた。

 2度の延長となったオーストラリアとの準決勝では、勝負どころのフリースローを確実に沈めるなどチームトップの33得点に6リバウンド4アシスト2ブロックで決勝進出に貢献すると、アルゼンチンとの決勝でも14得点7リバウンド7アシスト2スティール3ブロックと大車輪の働き。

 ガソルや大会MVPを獲得したリッキー・ルビオ(フェニックス・サンズ)らの活躍で、スペイン代表は2006年に日本で行われた「FIBA世界選手権(現W杯)」以来、2度目となるW杯優勝を成し遂げた。

2006年、兄パウ(右)と優勝の喜びを分かち合ったマルク(左)[写真]=Getty Images

 通算2度目のW杯制覇となったガソルは06年の初優勝と今回の優勝について、こう振り返っていた。

「13年という歳月は本当に長いものです。最初の優勝を飾った2006年にW杯へ参加した時、私はまだ若い選手でしたが、今回(2019年)は当時よりもかなり成熟しており、チームの中心プレーヤーという立場にありました。年を重ねるごとに、そういった楽しみというものが増してきます。今回、このチームでプレーすることができ、私はとても光栄に思います」。

 来年の東京オリンピック出場を決めているスペインは、兄のパウ(ポートランド・トレイルブレイザーズ)の出場もウワサされており、ガソル兄弟によるプレーを日本で再び見ることができるかもしれないだけに、楽しみは増すばかり。

 今年6月中旬にNBAタイトル、9月中旬にはW杯のタイトルを勝ち取ったことで、ガソルは1年間で2つの大きなタイトルを手にすることとなった。

自身2度目のW杯優勝を飾り、ガソルは満面の笑みを見せた[写真]=Getty Images

「重要なのはチームが一体となって、より強くなっていくこと」と意気込む

 ディフェンディング・チャンピオンとして今季を迎えるラプターズは、ファイナルMVPのカワイ・レナード(現ロサンゼルス・クリッパーズ)、ダニー・グリーン(現ロサンゼルス・レイカーズ)が移籍したことで、戦力ダウンがささやかれている。

 それでも、ラプターズは今夏にフリーエージェント(FA)としてロンデイ・ホリス・ジェファーソンやスタンリー・ジョンソン、キャメロン・ペインなど、多くの新戦力の獲得に成功。

 新加入選手が多い中、8日にさいたまスーパーアリーナで行われるジャパンゲームズ初戦で、ラプターズは今季初のプレシーズンゲームに臨むこととなる。

 今夏左手親指の手術を受けた司令塔、カイル・ラウリーの出場が厳しいという状況の中、経験豊富なガソルはチームの現状について、このように語ってくれた。

「今シーズン、新しい選手たちが入ってきますので、重要なのはこれまで在籍してきた選手たちと、新加入選手たちが一体となって、より強くなっていくこと。ロースターとして9~10選手がシーズンの中でローテーションを組んでいくと思うので、チームを結束させて勝利を収めていくことが重要です」。

キャリア平均15.0得点を誇るガソル。シュートのうまさも魅力の1つだ[写真]=伊藤 大允

 ラウリー、サージ・イバカ、ガソルと、ラプターズにはNBAキャリア10年以上を誇るベテランが3選手いるのだが、ガソルにはスペイン代表でW杯という国際大会を制した経験があるため、長丁場となるシーズンを戦い抜くうえできわめて大きな存在となっていくに違いない。

 スキルとパワー、そして柔らかいシュートタッチを併せ持つビッグマンは、レナードが抜けた分の得点力を補う活躍も期待されており、オフェンス面では昨季以上の役割をこなすことが濃厚。

 幅広いシュートレンジと巧みなプレーの数々で得点を量産することが可能なガソルは、今季ラプターズの成功を左右するほど大きな存在と言えるだろう。

 ジャパンゲームズはプレシーズン期間のため、長時間コートに立つ可能性こそ低いものの、熟練のスキルを持つガソルが随所に見せる好プレーの数々は必見だ。

取材・文=秋山裕之

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