2019.10.10
NBAキャリア11年を誇るベテランセンター、マルク・ガソルは、昨季途中にメンフィス・グリズリーズからトロント・ラプターズへと移籍。その後カワイ・レナード(現ロサンゼルス・クリッパーズ)やパスカル・シアカム、カイル・ラウリーらと共にプレーオフを勝ち上がり、自身初のNBAチャンピオンとなった。
ガソルのNBAキャリアの中で、6月中旬までプレーしたことは初めてのことなのだが、34歳のベテランは今夏、母国スペインの代表として「FIBAバスケットボール ワールドカップ2019」(以降、W杯)へ出場。
9月15日に行われるアルゼンチンとの決勝戦を前に、ガソルは7試合をプレーしてチームトップの平均29.0分に出場。平均14.4得点5.3リバウンド3.7アシスト1.0スティール0.9ブロックと、大黒柱として見事な活躍を見せている。
特に2度の延長までもつれ込んだオーストラリアとの準決勝で、ガソルは38分47秒間コートに立ち、チームトップの33得点に6リバウンド4アシスト2ブロックと獅子奮迅の働き。勝負どころのフリースローもノーミスで8本すべてを成功させ、勝利の立て役者となった。
決勝戦を前に、ガソルは「僕はすごく恵まれているね」と『NBA.com』のインタビューに答えていたので紹介したい。スペインがアルゼンチンを下すこととなれば、ガソルはNBAタイトルに続いてW杯のタイトルも獲得することとなる。
だが「代表チームでプレーすることは、フィジカル面のコンディションで簡単にはいかないかもしれないことは分かっていた。(NBAの)シーズンを引き伸ばし、チャンピオンシップを手に入れたんだからね。でも(代表チームでプレーすることは)十二分に価値がある。それは決勝戦でプレーできるからという理由ではないんだ」とガソルは言う。
ガソルがスペイン代表としてプレーする理由。それは「自分の献身と忠誠心をチームへ引き継ぐ責任があるから」だという。
「僕らは長い年月を通じて、これまでプレーしてきた選手たちからその価値を教わってきた。今、それを僕らがやる時であり、次の世代へそのレガシーを伝えていく。それは才能ではなく、責任というものなんだ。夏の間、8から10週間を代表チームとして過ごす時というのは、自分のゲームをするということではなくて、ケガから回復するためのものでもない。(代表チームでプレーするということは)多くの時間をチームメートたちへ捧げるものなんだ。それは(私にとって)十二分に価値があるものなんだ」とガソル。
ガソルが所属するラプターズは、プレシーズン期間の10月8日と10日にジャパンゲームズで来日し、ヒューストン・ロケッツと2試合を戦うため、今季のトレーニングキャンプは9月29日(現地時間28日)から始まる。
開幕まで約1か月に迫る中、ガソルは今夏スペイン代表でプレーしたことで、今季プレーしていくうえで疲労が蓄積してしまう可能性があることは否定できない。それでも、ガソルとスペイン代表の選手たちがW杯で見せた献身的なプレーの数々は、代表としてプレーすることが十二分に価値があることを証明していると言っていいはずだ。
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