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9月30日。都内で日本のメディア向けのラウンドテーブルが開催された。
3年ぶり通算8度目となった「NBA Japan Games 2022 Presented by Rakuten & NISSAN」(以降、ジャパンゲームズ)を当日夜に控えるなか行われたこのラウンドテーブルでは、NBA副コミッショナー兼最高執行責任者(COO)のマーク・テイタム氏、NBAアジア地区マネージングディレクターのラメズ・シェイク氏が対応。
メディアからの質問を前に、テイタム氏とシェイク氏は下記のように語ってくれた。
「再びNBAのインターナショナルゲームとして東京に戻ってくることができて、私も個人的に喜んでおります。2019年から3年ぶりに、やっとまたプレシーズンの試合をこちらで開催できることになりました。通算ですと15、16試合目ということですので、1つの記録になってきているなと我々は見ています。もちろん東京のファンの皆さんも、日本全体、そして世界各地で観てくださると思うんですが、NBAの昨シーズンのチャンピオン、ゴールデンステイト・ウォリアーズ対ワシントン・ウィザーズ、もちろん皆さんの注目は八村塁選手でしょう。塁は日本人として初めてドラフトで1巡目指名された選手です。
チームと選手は地域社会に入って皆さんと共にいろんな活動をしてきました。スペシャルオリンピックのクリニックもやりましたし、ウィザーズは児童養護施設を訪れています。この1週間を通じて、コミュニティの皆さんと直接触れ合う時間を頂戴しましたし、日本の文化に触れる機会をいただいています。バスケットボールという競技自体、そしてNBAが日本でますます人気を得ています。さらにはアジア全体でも人気が高まっているなかで、こういった試合を開催することで、さらに勢いをつけていきたいと考えています。日本の皆さんにより多く、NBAのことを知っていただき、楽しんでいただければと思っています」(テイタム氏)
「日本というのは私にとって特別な国なんです。というのは、初めて来日した際は福井県で英語の教師をしておりました。そして3年ぶりに、(新型コロナウイルスの)パンデミック後に初めて、こうやってまたNBAとして来れることを非常に光栄に思っております。NBAチームとして今週末に試合をご覧いただくわけですけど、この機会をいただいたことを非常に光栄に思っています。やはり日本の皆さんにNBAというものを体験していただく、そしていかにエキサイトメントなのかを感じてとっていただければと思っております」(シェイク氏)
両者が挨拶を終えると、ラウンドテーブルへ参加した複数のメディアの質問がスタートした。2019年のジャパンゲームズ以来、約3年ぶりとなった今回のジャパンゲームズ。その3年間には新型コロナウイルスの感染拡大や東京オリンピックがあった。
今回のラウンドテーブルで、最初に質問する機会を得たので、まずは約3年ぶりの日本について、テイタム氏へ聞いてみた。
「おかげさまで最高な気持ちでおります。というのも、ここ3年間、世界各地、誰もが同じことを経験したと思います。まさか自分が生きている間にこんなことが起きるのかと、想定していない事態に陥ったわけです。そのあとに実際に足を運んで昔からの友人、そして新しい友人と出会うこと、チームもそうだと思いますけど、この国に足を運んで文化を直接手に触れて体験できること、こういったことが本当に大きな意味を持っているなと。そしてファンの方と実際に触れ合うことができる。それも日本というすばらしいファンと触れ合えるというのは、チームの1人1人が感じることではないかと思います。
おかげさまで(チケットは2試合とも)完売、つまりはファンの皆様が、一緒にまたこの体験をしようと思ってくださっているんだなということの証左だと思います。実際に、生でNBAの試合を見るという体験をしていただく、たとえばステフィン・カリー選手やクレイ・トンプソン選手(いずれもウォリアーズ)、塁選手という、アメリカでもなかなか見られない選手、そしてもちろん八村選手がNBAの選手として日本でプレーします。ファンの方々が実際に体験できるということを、皆さんもかみしめて楽しんでいただけるのではないかと期待しております」。
今回、テイタム氏がラウンドテーブルへ登壇すると知った時から、ずっと聞いてみたかったことがあった。NBAのドラフトでも登壇して2巡目指名の選手の名前を読み上げる副コミッショナーなのだが、昨季ウォリアーズが優勝したシーンを覚えているだろうか。
今年6月17日(現地時間16日)にTDガーデンで行われたウォリアーズとボストン・セルティックスによるNBAファイナル第6戦。ウォリアーズは見事勝利して4勝2敗でシリーズを制し、4年ぶりのNBAチャンピオンとなった。今回は本来優勝チームへチャンピオンシップトロフィーを渡すアダム・シルバー コミッショナーが新型コロナの安全衛生プロトコル入りによって会場入りできなかったため、優勝決定後にウォリアーズへ優勝トロフィー、そしてカリーへファイナルMVPトロフィーを渡した人物がテイタム氏だった。
その時のことを聞いてみると、テイタム氏は「とにかくすばらしい気持ちでしたとしか表現できません」と切り出し、穏やかな表情と共に丁寧に言葉を選んでこのように話してくれた。
「ある意味、特権だなということで私は光栄に感じたんですけど、私が特に感じたのは選手、チーム全体、コーチ、コートに立っている人たちが皆同じようにすごいレベルで興奮しているんですよね。その興奮の中には勝ったという喜び、幸せ、あとはほっとした安堵感などがあると思うんですけども、選手というのはプレシーズンから1年(1シーズン)をつうじて、この瞬間のために誰もが努力をする。皆が同じ夢をもっているんですけども、それを本当に成し遂げた時の達成感、それ(優勝)を手にしたということを感じ取って、その感覚というのはまるで伝染するように他の人にも移って伝播していくので、その選手とコーチたちとも一体となって感じられたことを、私は非常に光栄に思っています」。
ウォリアーズは昨季のNBAファイナルをアウェイで制したとはいえ、19年のファイナル敗退後はリーグワーストの戦績に沈み、翌シーズンもプレーオフ進出を逃していただけに、昨季の優勝は格別だったに違いない。
スティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)や選手たちは、その思いを試合後の会場インタビューや会見で口にしていたのだが、今回のラウンドテーブルではチャンピオンシップトロフィーとファイナルMVPトロフィーという、記録にも記憶にも残る重要な瞬間に立ち会った人物に直接話を聞くことができた。
選手やコーチ、チームスタッフ、あるいはフロントなど、NBAでチャンピオンとなるためにはチーム一丸となってやり遂げなければならない。その思いをテイタム氏が話してくれたことは、間違いなく貴重な体験だった。
文=秋山裕之
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