2023.06.30
4月16日(現地時間15日、日付は以下同)に幕を開けた「NBAプレーオフ2023」は、5月1日にファーストラウンド全8カードが終了し、カンファレンス・セミファイナル4カードが本格的にスタートした。
イースタン・カンファレンスでは1日に第5シードのニューヨーク・ニックスと第8シードのマイアミ・ヒートによるシリーズ初戦が行われ、ヒートが108-101で先勝。そして翌2日からは第2シードのボストン・セルティックスと、第3シードのフィラデルフィア・セブンティシクサーズによるもう1つのシリーズが幕を開けることとなる。
昨シーズンにイーストを制してNBAファイナル進出を飾ったセルティックスは、今年のファーストラウンドで第7シードのアトランタ・ホークスとのシリーズを6戦で突破。ジェイソン・テイタムがシリーズ平均27.2得点10.0リバウンド5.3アシスト1.2ブロック、ジェイレン・ブラウンが同26.7得点5.3リバウンド3.0アシスト1.2スティールと2枚看板が好調な滑り出し。
さらに先発起用のデリック・ホワイトがシリーズ平均17.3得点3.5アシスト1.3ブロック、マーカス・スマートが同16.7得点5.2アシスト1.7スティール、シックスマンのマルコム・ブログドンが同13.3得点4.3アシストを残した。
対するシクサーズは、1回戦で第6シードのブルックリン・ネッツ相手に4戦負けなしのスウィープを達成。タイリース・マクシーがシリーズ平均21.8得点5.0リバウンド1.5スティール、トバイアス・ハリスが同20.3得点8.8リバウンド、ジェームズ・ハーデンが同17.3得点5.5リバウンド8.8アシスト1.5スティールを記録。
大黒柱のジョエル・エンビードもシリーズ平均で20.0得点11.3リバウンド4.0アシスト2.3ブロックこそ残すも、第3戦で右ヒザの外側側副靭帯を捻挫したことで第4戦を欠場していた。
シーズン中の直接対決ではセルティックスが3勝1敗と勝ち越し。2月26日の試合では同点で迎えた試合終盤にテイタムが値千金の3ポイントシュートを決め切ってみせた。
このシリーズ最大の注目は、なんと言ってもエンビードのコンディションだろう。レギュラーシーズンで平均33.1得点10.2リバウンド4.2アシスト1.7ブロックを残してきたビッグマンは、4月5日の試合で52得点をたたき出し、唯一の勝利へと導いてきただけに、シリーズの行方、勝敗をも左右することになりそう。
だがシリーズ初戦を翌日に控えた1日の時点でも、エンビードの出場ステータスは依然として“doubtful(疑わしい)”のため、もしプレーできたとしてもベストコンディションとは言えず、シリーズ中にベストなプレーを見せることができるかどうかは現時点で微妙と言わざるを得ない。
となると、1回戦でトップスコアラーとなったマクシーやハリス、ハーデンに期待したいところ。だがマクシーはスマートやホワイト、ブラウンといったセルティックスの選手たちを相手に苦戦。初戦こそ21得点を残すも、その後の3試合はいずれも1ケタ得点と不発で、ハリスも好不調の波が激しい。ハーデンが4試合でいずれも20得点以上を残しているのだが、1回戦では3ポイントシュートこそ成功率42.4パーセントを残すも、フィールドゴール成功率は34.3パーセントだっただけに、この男の奮起に期待がかかる。
セルティックスとしては、スマート、ブラウン、テイタム、アル・ホーフォードという強固なカルテットにホワイト、ロバート・ウィリアムズ三世のどちらを先発起用するかに注目。
エンビードを苦しめるという点ではホーフォードとウィリアムズ三世という2人のビッグマンをコートに立たせることで失点を抑えることが見込めるものの、エンビードをディフェンス時に休ませることとなる。
ホワイトを起用すれば、対エンビードへのディフェンス面で難しくなるのだが、スモールラインナップにすることでエンビードを疲弊させることが期待できる。ホワイトはレギュラーシーズンでもシクサーズ相手に平均16.3得点にフィールドゴール成功率58.1パーセント、3ポイントシュート成功率45.0パーセントと相性がいいだけに、エンビードが本調子ではないことからも、ホワイトの先発起用でセルティックスを優位にさせることだろう。
なお、両チームのシリーズ勝敗を見ていくと、『NBA.com』は4勝2敗でセルティックス、『ESPN』では専門家17人のうち11人がセルティックス勝利、『The Athletic』でもセルティックスとシクサーズの番記者がそろって4勝2敗のセルティックス勝利と予想。
テイタム、ブラウンというリーグ最高級のウイングプレーヤーの周囲に有能な選手たちを擁するセルティックスと、エンビード&ハーデンというリーグ最高級のデュオを擁するシクサーズはどちらも攻防両面に秀でているだけに、短期決着にはならないだろうが、現状ではセルティックス優勢となっている。
文=秋山裕之
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