2023.08.15

【ワールドカップ注目選手】ラウリ・マルカネン(フィンランド代表)「昨季NBAで大躍進、兵役も経験した大型フォワード」

22年のユーロバスケットで躍動したマルカネン [写真]=fiba.com
NBA好きが高じて飲食業界から出版業界へ転職。その後バスケットボール雑誌の編集を経てフリーランスに。現在はNBAやBリーグのライターとして活動中。

8月25日から9月10日にかけて開催される「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」。4年に一度の世界一決定戦を前に、バスケットボールキングでは今大会で活躍が期待される注目選手をピックアップした。

文=秋山裕之

■昨季はジャズで「キャリア最高の1年」を経験

 1997年5月22日にフィンランドのバンターで生まれたマルカネンは、ヘルシンキ・アカデミー高校を経てアメリカのアリゾナ大学へ進学。同大1年次の2016-17シーズンに、平均15.6得点7.2リバウンド、3ポイントシュート成功率42.3パーセント(平均1.9本成功)を残した。

 2017年のNBAドラフト1巡目7位でミネソタ・ティンバーウルブズから指名後、トレードでシカゴ・ブルズへ移籍してNBAデビュー。2017-18から2020-21までの4シーズンをブルズ、2021-22シーズンをクリーブランド・キャバリアーズでプレーした。

 フィンランド代表のジュニアチームでプレーしてきた男は、2017年の「FIBAユーロバスケット」でシニア代表入りを飾り、平均19.5得点5.7リバウンドを残して11位で大会を終えた。その後、2021年にヨーロッパのワールドカップ予選で平均21.8得点9.0リバウンド2.3スティールと活躍し、昨秋の「FIBAユーロバスケット」で躍進。

 この大会開幕の前日に、マルカネンはキャバリアーズからジャズへトレードされたことが報じられた。今年4月5日(現地時間4日、日付は以下同)に『Hoops hype』へ公開されたインタビューで、26歳の大型フォワードは「トレードされたあと、自分の実力を証明してやろうと躍起になった。キャリア最高の1年を送りたかったんだ」と明かし、ユーロバスケットで2位の平均27.9得点に8.1リバウンド2.4アシスト1.6スティール、3ポイントシュート成功率40.5パーセント(平均2.4本成功)と爆発し、フィンランドを大会7位へ導いた。

ユーロではヨキッチ相手に一歩も引かないパフォーマンスを披露[写真]=fiba.com


 その勢いを持ち込み、ジャズで迎えた2022-23シーズンはチームトップかつキャリアハイの平均25.6得点に8.6リバウンド1.9アシストの大活躍を見せ、NBA6年目でオールスターに初選出、さらにはMIP賞(最優秀躍進選手賞)に選ばれ、自己最高のシーズンを送った。

 昨シーズン終了後、母国で兵役に従事したフィンランドのエースは、8月5日のリトアニア代表戦で24得点7リバウンド3アシスト2スティール、同10日のエストニア代表戦でも29得点13リバウンドと、順調な仕上がりを見せている。

 FIBAランキング24位のフィンランド代表は、今月25日から「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」のグループEとして日本の沖縄アリーナでグループフェーズへ臨む。25日にオーストラリア代表(同3位)、27日に日本代表(同36位)、29日にドイツ代表(同11位)との試合が組まれている。

 初のワールドカップを迎えるマルカネンは、213センチ109キロのサイズを誇るビッグマン。3ポイントシュートを軽々と沈めることができ、小柄なガードのように滑らかな動きとボールハンドリングを駆使してドライブから加点することも可能。ミッドポストから1対1で美しいジャンパーや豪快なフィニッシュで点を取るだけでなく、相手を引きつけて味方の得点機会を演出することもでき、ディフェンスリバウンドを奪って自らファストブレイクに持ち込んで力強いダンクで締めくくるプレーも必見だ。

 フィンランドには191センチのサス・サリン(シューティングガード)、今夏ゴールデンステイト・ウォリアーズの一員としてサマーリーグへ出場した204センチのミカエル・ヤントゥネン(フォワード)といった好選手もいる。コート上の5選手が連動したオフェンスも展開でき、マルカネンがオフボールからカッティングして強烈なダンクをたたき込むこともあるため、一瞬たりとも気が抜けない男と言っていい。

 “ザ・フィニッシャー”の異名を持つ213センチのマルカネンは、昨年のユーロバスケットに続いて今夏のワールドカップでも大暴れすることになりそうだ。

日本にとってはフィンランド代表で最も警戒しなければいけない存在[写真]=fiba.com

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