2023.11.28
8月25日から9月10日にかけて開催される「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」。4年に一度の世界一決定戦を前に、バスケットボールキングでは今大会で活躍が期待される注目選手をピックアップした。
文=秋山裕之
イタリア系アメリカ人の父、アメリカ人の母を両親に持つパオロ・バンケロは、ワシントン州シアトル生まれの20歳。「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」へ出場するアメリカ代表のロスターででは最年少となる。
名門デューク大学1年次の2021-22シーズンに、バンケロはチームトップの平均17.2得点7.8リバウンドに3.2アシスト1.1スティールを残し、NCAAトーナメントではファイナル4(準決勝)まで勝ち進んだチームのトップスコアラーを務めた。
すると2022年のNBAドラフトへアーリーエントリーし、オーランド・マジックから1巡目全体1位で指名されると、NBAデビューから6試合連続で20得点以上を奪って衝撃を与えた。新人ながらマジックの得点源としてチーム最多の平均20.0得点に6.9リバウンド3.7アシストをマーク。2位以下を引き離して2022-23シーズンの新人王、さらには新人ベスト5と評されるオールルーキーファーストチームに唯一の満票で選ばれている。
もともと、アメリカとイタリアの二重国籍を有していたバンケロは、イタリア代表として2020年の「FIBAユーロバスケット」予選の候補に選ばれていた。だが新型コロナウイルスの感染拡大によって延期となり、代表デビューを飾っていなかった。
今回アメリカ代表入りを決断した要因。それは元プロバスケットボール選手で、アメリカ代表としてもプレーした経験がある母ロンダ・スミス・バンケロが大きな要因だったと8月4日(現地時間3日、日付は以下同)に『The Athletic』へ明かしていた。
「国を代表するというのは、自分のことよりも大きなことなんだ。これ(父のイタリアと母のアメリカのどちらにするか)はずっと続くプロセスだった。そこで僕はここにいたいと決断したんだ。母さんがアメリカ代表でプレーしていたから、僕たち家族にとってはいつも夢だった」
8日に行われたプエルトリコ代表とのエキシビジョンゲームで、バンケロはベンチから約16分に出場して7得点。得点源を務めるマジックとは違い、アメリカ代表では決して目立つ存在ではない。
それでも、スムースなボールハンドリングからペイントエリアへ侵入し、味方のイージーショットを演出する鮮やかなアシスト、さらにはバックコートでパスカットされて1対3の劣勢で速攻に遭うなかで強烈なブロックをお見舞いし、ベースラインドライブから豪快なダンクをたたき込むなど、攻防両面で持ち味を発揮。
アメリカ代表は、13日のスロベニア代表戦を含めて残り4試合をこなし、ワールドカップ本戦へ臨む。バンケロはパワーフォワードの控えという立ち位置ではあるものの、大柄ながら機動力があり、リバウンドからボールプッシュし、自らドライブしてプレーメーキングも器用にこなせるため、センターとして起用することをスティーブ・カーHC(ヘッドコーチ/ゴールデンステイト・ウォリアーズ)が示唆していたことから、パワーフォワードとセンターで多くのプレータイムを得ることになるかもしれない。
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