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近年、アメリカのスポーツ界で加熱しているスポーツベッティング。スポーツの勝敗や選手のスタッツを予想し、当たれば配当をもらえる合法の賭博を指すが、各所で問題が生じている。直近では、トロント・ラプターズのジョンテイ・ポーターが、自身のスタッツに関する賭博に不正関与した疑いをもたれ、リーグの調査を受けたと報じられている。
また、不正への関与だけでなく、スポーツベッティングによって選手やコーチたちが不当な批判を受けるようになっていることから、賭博の対象とすること自体がスポーツの美しさを損ねているという意見も出ている。こういった現状を受け、NCAAはスポーツベッティングの禁止に向けて動き出した模様。現地メディア『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者が報じている。
報道によれば、NCAAのチャーリー・ベイカー会長は、NCAAがベッティング市場全体で学生アスリートへのプロップベット(得点やリバウンド数など、選手のスタッツを賭けの対象とするもの)を禁止する取り組みを行っているとのこと。NCAAが大学スポーツへのプロップベットを認めている州の関係者と連絡を取り、禁止とするよう求めているという。現地メディア『BASKET NEWS』によると、ベイカーは次のようにコメントしている。
「スポーツ賭博の問題は全国的に急増しており、プロップベットは競技の完全性を脅かし続けている。さらに、学生アスリートやプロのアスリートが嫌がらせを受ける事態にまで発展している」
NBAにおいてはスポーツベッティングが大きな収益源になっており、現地の公式アプリ『NBA Game Pass』にはライブベッティング機能が追加されているような現状からも、すぐに禁止の方向に動き出すことは難しいとみられている。一方、選手やスタッフからは反対の声が挙げられている。クリーブランド・キャバリアーズの指揮官JB・ビッカースタッフはギャンブラーから脅迫被害を受けたことを告白しており、インディアナ・ペイサーズのタイリース・ハリバートンは「ファンは僕たち選手のことをアスリートとして見ておらず、プロップベットの対象として見るようになっている」と発言している。
スポーツベッティングを取り巻く環境は、NBAだけでなくアメリカのメジャースポーツ界全体で重要な課題となっており、学生アスリートの安全性が脅かされる事態にまで発展しているようだ。現在NCAAは全米トーナメント“マーチ・マッドネス”の最中であり、3月29日(現地時間28日)時点でベスト8が出揃い、盛り上がりを見せている。学生アスリートたちには、賭博による嫌がらせや批判にさらされることなくバスケットボールに集中してもらいたい限りだ。