2018.04.16
連覇を果たした天皇杯同様、コートに富樫勇樹の姿はなかった。日本代表でも正司令塔を務める富樫を欠くことは明らかにマイナスのはずだが、リーグ戦再開の初戦となる横浜ビー・コルセアーズ戦は95得点を挙げる快勝と言っていい内容だった。
ボールをシェアするバランスの良いオフェンスを展開した中で、存在感を発揮したのが小野龍猛。この日は3ポイント5本を含む19得点を挙げてチームを引っ張り、勝利の原動力となった。大野篤史ヘッドコーチは天皇杯を制したことによるわずかな緩みや、リーグ戦再開初戦の試合の入り方の難しさを危惧していたが、小野も同じ考えだったようだ。「この試合は僕も重要視していた。天皇杯明けにチームとしてしっかり戦えるかどうかが大事。後半結束して戦えたのが良かった。第1クォーターで隙があったのはなくさないといけない。休み明けで難しいとは思うんですが……」
すべてのチームが勝率5割以上となり、東地区はさらに厳しい戦いが予想されるが、千葉は富樫が不在でも天皇杯を制し、大事なリーグ再開初戦も良い内容でものにした。大野HCが「富樫がファーストオプションというわけではない」と言うように、チームの土台はあくまでもトランジションバスケット。小野も、激戦の東地区を勝ちぬく上で最も必要なのはその土台の部分だと強調する。
「やることは変わらない。ディフェンスから走るバスケットができればどのチームにも負けないという自信はあるし、逆にそれができなければどのチームにも負ける。そこの集中力を持続できるように戦っていきたい、彼(富樫)がいるかいないかは確かに大きいが、自分たちのアドバンテージが減るわけでもない。自分たちのバスケットをしていれば、彼が戻ってきた時にまたプラスが生まれると思う」
小野自身にとっては昨シーズンと違い、天皇杯の後にオールスター出場という出来事もあった。バイウィークがなく身体への負担もかかってしまう状況だが、自身にとってはプラスだったと前向きに考えている。「オールスターは皆さんの笑顔が見られてすごく良かった。休みはなくなりましたけど(笑)、楽しくできたので良いリフレッシュになりました。また来年も選ばれて、リーグの顔になれるようにがんばりたい」
“チームの柱”から“リーグを代表する選手”へのステップアップにも意欲を見せた小野が、後半戦に突入したリーグ戦のカギを握る存在であることは間違いない。
文=吉川哲彦
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