2019.03.03

栃木ブレックスが大差で勝利、代表で自信をつけた2人がチームをけん引

計15得点8リバウンドの竹内公輔 [写真]=鳴神富一
スポーツジャーナリスト

 日本代表が「FIBAバスケットボールワールドカップ2019」の出場権を獲得し、日本バスケへの注目度が上がっている中、B1リーグが3週間のウインターブレイクを経て再開した。レギュラーシーズンも残り20試合と勝負の時期に突入。浜松アリーナではチャンピオンシップに向けたワイルドカード争いを繰り広げている三遠ネオフェニックスが東地区2位の栃木ブレックスを迎えた。両チームの日本代表選手、三遠の太田敦也、栃木の竹内公輔比江島慎に花束が贈られ、ゲームは祝福ムードでスタートした。

 やはり3週間ぶりのゲームで両チームともに試合勘がなかったことは確かで、序盤はオフェンス面でうまくかみ合わない時間帯が続いた中、流れを徐々につかんでいったのは栃木だった。持ち味でもある激しいプレッシャーディフェンスから相手に気持ちよくオフェンスを展開させない。さらにはオフェンスリバウンドを次々と奪取し、セカンドチャンスにつなげていってリードを少しずつ広げていった。第1クォーター中盤から第2クォーターのオフィシャルタイムアウトまでの約10分間は栃木の時間だったといってもいいゲーム展開。一方の三遠は相手のディフェンスに対してボールムーブが止まってしまい、ショットクロックが少なくなりタフショットで終わるという形が多くなってしまい、スコアをなかなか重ねられなかった。前半は36-22と栃木が大量リードで終了した。

 後半に入ると三遠が今度はタフにディフェンスを仕掛けて流れをつかんでいく。ディフェンスの流れが良くなると自然とオフェンスもうまく回り始めた。ジョシュ・チルドレス鈴木達也を軸に第3クォーター終盤には6点差まで詰め寄る。一気に三遠に流れが来たかに見えたが、ここで立ちはだかったのが比江島であった。ラストプレーでボールを持つと相手をいなしながら最後は豪快に3ポイントシュートを沈め、栃木が再び点差を2ケタに広げて第3クォーターが終了。そして勝負のラスト10分間はお互いに我慢の展開で、なかなか点差が縮まらない。このゲームで15得点を挙げ、最も輝いていた竹内が果敢にリングにアタックを仕掛け、豪快にダンクを沈めるなど栃木は要所で流れを渡さない。それでも三遠はなんとか踏みとどまっていたが、残り6分半で太田が足をひねり負傷退場。ここまでインサイドで泥臭い素晴らしい仕事をしていたビッグマンがコートからいなくなり、リズムが再びスローダウンしてしまった。そのタイミングで一気に加勢する栃木が残り4分で点差を20点まで広げ、73-53のスコアで大勝を収めた。

 栃木の安齋竜三ヘッドコーチはディフェンスでの勝利だったと振り返った。

「久しぶりのゲームで試合勘がなかなか上がってこなかったけど、ディフェンスだけは変わらずにやれる部分だと感じていました。その中で残り20試合でどれだけディフェンスのプレッシャーを上げられるかを自分たちに課して練習に取り組んでいて、その部分はいい形で出たかなと思っています。オフェンスでは代表組の2人でもある比江島と公輔に助けてもらいました。ゲーム勘もしっかりと残っていて、ワールドカップ予選を連勝で収めて帰ってきた勢いをそのままコートで出してくれて、本当に助かりました。チャンピオンシップ進出に向けて、まだまだやらないといけないことがいっぱいあると思います。明日は相手も激しくプレーしてくると思うので、それに負けないように自分たちのプレーの激しさを出して戦っていきたいです」

 一方、三遠の藤田弘輝HCは気持ちの部分の重要性を敗因として挙げた。

「今日は全体的に固かったと思います。栃木さんは相当強いチームで自分たちの弱い部分を見せると戦えないので、しっかりと明日は強気で思いきりよくプレーしたいなと思います。ゲーム感はいつもよりなかったと思いますけど、それは栃木さんも一緒なので。やっぱり相手はメンタルもフィジカルも強いので、自分たちはもっと強い気持ちでプレーしないといけないと感じています。強い気持ちというのは思いきりよく一つひとつのプレーをすべきです。明日はその部分を修正しないと勝負にならないので、最初から思い切りよくプレーしたいと思います」

 攻守でチームをけん引した比江島と竹内の両名について、安齋HCは「2人とも自信がついてきていると思います」とコメント。一方の三遠も今後のチャンピオンシップ進出に向けて、ホームではこれ以上負けられない。お互いのフィジカルと意地がぶつかり合うであろう第2戦も激しい戦いが予想される。

文=鳴神富一

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