2019.10.29
信州ブレイブウォリアーズに初の栄冠をもたらした男の名は石川海斗だ。「B2 PLAYOFFS 2018-19」の4試合で平均18得点8.3アシストのスタッツを残し、文句なしのプレーオフMVPを獲得した。
5月5日のファイナル第2戦では、前半終了間際と第4クォーター残り32.8秒に3ポイントシュートを成功。「前半にブザービーターを決めて、これは神が降りてきているなと……。そして第4クォーターでのシュートは利き手とは逆の左手で打ったけど、シュートの軌道を見ていたら決まったなと感じた」と興奮気味に話した。
チームを率いる勝久マイケルヘッドコーチは、石川を「ファイナルだけで3本のブザービーターはすごいですよね。彼は自分が求めていることを理解してくれる頭のいい選手、そしてハートが強くて度胸のある選手であって、シーズン通してチームをけん引してくれた」と称賛した。
「ずっと目標にしていた優勝だったので、達成できてうれしいです。そして、超満員のアリーナというのも僕らにとってものすごく喜ばしいことでした。僕らがやってきたことは間違っていなかったと感じています。チームの中心選手としてプレッシャーを感じていたけど、それ以上にチームを勝たせたいという思いが強くあって。B1ライセンスが取れなかったのはありますけど、チーム全員が優勝するという共通認識を持って頭を下げずに前向きに戦えました。この優勝が僕らにとってスタートラインであって、ここからより一層注目されると思います。来シーズンは完成度の高いチームを作っていくのが目標です」
チャンピオンになった感想を語った石川。ファイナルMVPを獲得したことに関しては「素直にうれしいです。僕自身はコーチ・マイケル(勝久HC)に出会って、今までのバスケットに対しての感覚や考え方を成長させてもらえました。でも、まだまだな部分はあるのでもっと成長していかないといけないです」と喜びを見せ、優勝できた要因をこう語った。
「Bリーグがスタートして最初は仙台(89ERS)でプレーしている中で1シーズン目はB1で通用しないという部分は感じませんでした。そして翌シーズン、複数ポジションをプレーしました。スタッツを残せたけどチームを勝たせることができなかった。僕の中でガードはスタッツを残す以上にチームを勝たせることができるというのが価値であって、重要だと思っていて。今シーズンは僕と同様に“バスケ馬鹿”なコーチに出会い、バスケットに関してすべてをアップデートさせてもらえました。よく『ファミリー』という言葉を使いますが、このチームは影でいろいろと言うのではなくて時には衝突しながらも直接的に何でもコーチも含めて若手やベテランの立場関係なく言い合いました。勝ちたいからこその雰囲気であって、表面的ではなくて本当のファミリーだったのが良かったと感じています」
「とりあえず少しだけ心身ともに休憩して、でもすぐまた体を動かして来シーズンに向けてもっと成長していきたいです。僕の休みは短くて昨シーズンは3日間だったので、このオフも同じようになるかなと思います」と締めくくった石川。根っからの“バスケ馬鹿”でもあり、大好きなバスケでより輝いてチームを勝たせるために、ファイナルMVPと初の優勝を提げて、来シーズンもチャレンジしてくれることを信州のファミリーは願っているはずだ。
文=鳴神富一
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