
2025.04.14
4月12日、武蔵野の森総合スポーツプラザで「京王電鉄 presents Wリーグプレーオフ 2024-25」ファイナル第3戦が行われ、リーグ2連覇を目指す富士通レッドウェーブと悲願の初制覇に挑むデンソーアイリスが対戦。試合は76−53でデンソーが勝利。この結果、デンソーはこのシリーズを2勝1敗とし、3戦先勝方式で行われる今シーズンのファイナルで王手をかけた。
5日間のインターバルを挟んで迎えた第3戦、デンソーがティップオフ直後からプレッシャーの強いディフェンスでゲームの主導権を握った。特に富士通のオフェンスの要である町田瑠唯に対し、高橋未来、梅木千夏、木村亜美が交代でマッチアップ。富士通が得意とするピック&ロールからのオフェンスを封じにかかった。
バスケットボールはシュートを決めてなんぼのスポーツ。いかにディフェンスを頑張って相手の得点を抑えたとしても、それだけでは勝利を手繰り寄せることはなかなかできない。一方で、よく言われるのが「ディフェンスからリズムをつかむ」という言葉。この日のデンソーはまさにその典型で、ディフェンスでのプレッシャーをオフェンスに循環させる試合運びを展開。両エースの髙田真希と馬瓜エブリンが激しいマークにあいながら、それを振り切ってシュートを決めきり、リードを広げていった。
厳しいマークに空いながらシュートを決めきったデンソーの髙田真希 [写真]=W LEAGUE
しかし、昨シーズンにWリーグを制覇し、今シーズンも皇后杯を制した富士通が黙ってはいない。29−40と11点ビハインドで迎えた第3クォーターが始まると、町田の3ポイントシュートを皮切りにデンソーに猛攻を仕掛ける。さらにゴール下でジョシュア ンフォンノボン テミトペがリバウンドで奮闘。特にデンソーの得点源である髙田と馬瓜をファウルトラブルにさせ、ベンチへ戻す時間を増やしリズムを狂わせていった。そして、残り44秒、宮下希保が2本のフリースローを決めて、46−47とし富士通がついに1点差まで詰め寄る。
歯車が狂い始めたデンソーは正念場を迎えた。しかし、ここで川井麻衣が起死回生の3ポイントをヒット。4点差に突き放すと、次のディフェンスで梅木が相手ボールをスティールして、ゴール下に走り込んだ髙田にアシストを決める。このビッグプレーが勝負を決定づけたと言っていいだろう。デンソーが取り戻した勢いは第4クォーターに入っても衰えない。シュートのこぼれ球を馬瓜がねじ込めば、コートに戻った高橋がステップインから右のレイアップを決めて9−0のランに成功。リードを2ケタに戻すと、富士通の得点を7に抑えて第3戦に勝利した。
試合後の会見で富士通のBTテーブスヘッドコーチは、「チャンピオンシップレベルのチームは大事な試合で19本のターンオーバーをしない。うちのディフェンスも悪くはなかったが、デンソーがシュートを決めきった」とコメント。町田は「シュートが打てる場面でもパスを選択しているところもありました」と、反省の言葉を述べた。
一方、梅木は会見で「相手のガードがドリブルでコントロールしようとしていたのがわかったので、少しでもちょっかいを出そうと思いました」とビッグプレーを振り返る。試合を通じては「高田選手とエブリン選手は数字に残る活躍をしながら、本当に体を張ってくれて、センターのところも守ってくれています。それに負けないぐらい私たちもガードを苦しめないと、本当に簡単に点を取られてしまうので、そこはあの自分たちが責任を持ってやらないといけなと思っています。ベンチメンバーを含めて、コートの外でも中でも集中しているので、あの場面でこういうパフォーマンスができたのかなと思います」と力強く語った。
速攻を決めた髙田は、「梅木が本当にハッスルしていたので、(スティールが決まって)しんどいところでしたが、『これは走らなきゃ』と思いました」と回想。続いて、「そうやって頑張れる選手がいるのは心強いです。オフェンスにしてもディフェンスにしても周りが頑張っているので、自分も頑張ろうという気持ちにさせてくれます。あの場面は私が走りましたが、(今のチームなら)そこにいれば誰もが走ったはず」と、勢いのあるチーム状況を話してくれた。
初のリーグ優勝に向けてデンソーが王手をかけた。ただ、試合が終わった瞬間から第4戦に気持ちを向けている。
試合後のオンコートインタビューで馬瓜は「出る選手、出る選手のディフェンスが最高だした。これで満足せずに、もう1回このような試合ができるように頑張ります」と力を込めた。
髙田は「(第3戦の勝利は)うれしいですけど、もう切り替えていますし、今日以上に相手はやってくると思います。相手がどうこうより、自分たちが一人ひとりの役割を徹底してやりたいです」と冷静に現状を見つめた。
もちろん、富士通がこのまま終わるとは思えない。町田は会見で「ギブアップはしません。気持ちを切り替え、明日に向けて準備したい」と前を向いた。
さらなる激戦が予想される第4戦は、4月13日午後2時ティップオフ。同じく武蔵野の森総合スポーツプラザで行われる。
第4戦での挽回を誓った富士通の町田瑠唯 [写真]=W LEAGUE
文=入江美紀雄
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