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4連覇の夢、準決勝で途絶える――敗戦から語った京都精華・吉田ひかりの決意

下級生主体になっても「3年生のために」戦った京都精華・吉田ひかり [写真]=伊藤大允
バスケットボールキング編集部

 大会4連覇を目指していた京都精華学園高校(京都府)の挑戦は、準決勝で幕を下ろした。12月27日、東京体育館で行われた「SoftBank ウインターカップ2025 令和7年度 第78回全国高等学校バスケットボール選手権大会」女子準決勝。近畿勢対決となった一戦で、京都精華は大阪薫英女学院高校(大阪府)に71-80で敗れ、決勝進出を逃した。

 試合後、ベンチで指揮を執った山本綱義アシスタントコーチは「完敗です」と率直に語った。前半から主導権を握られ、後半に反撃する場面はあったものの、試合全体を通して相手の遂行力が上回ったという評価だった。

 その敗戦の中で、40分間コートに立ち続けたのが2年生ガードの吉田ひかり。17得点7アシスト――司令塔として攻撃を組み立て、得点面でもチームをけん引したが、チームを勝利に導くことはできなかった。

 第1クォーターは一進一退の立ち上がりとなり、吉田も3ポイントを沈めて応戦した。しかし、第2クォーターに入ると、大阪薫英が外角シュートで流れをつかむ。連続3ポイントを含む12-0のランを許し、京都精華は守備の後手とターンオーバーが重なった。49-31と18点ビハインドで前半を終え、苦しい展開を強いられた。

 それでも、ハーフタイムにチームが下を向くことはなかった。吉田は前半を振り返り、「点差は開いていたが、詰められる感覚はあった」と語る。甘さが出ている部分を突き詰めれば、点差は縮まる。その認識をチーム内で共有し、後半に向かったという。

 後半に入って吉田が意識したのは、攻撃の起点をより明確にすることだった。前半はインサイドを十分に使えなかった反省から、まず中を狙い、寄ってきたところで外を生かす形を選択。テンポを上げた京都精華は速攻や早い展開から得点を重ね、第3クォーター終盤には一桁点差まで詰め寄った。

 しかし、司令塔は自身の後半のプレーを厳しく自己評価する。ドライブを選択した場面で視野が狭くなり、相手のブロックに挟まれた場面があったとし、「もっと外を狙ってから仕掛けるなど、工夫が必要だった」と振り返った。追い上げの過程で手応えを得た一方で、勝ち切るために求められる判断力と精度の差も突き付けられた。

 この試合で吉田が背負っていたのは、司令塔としての役割だけではない。後半、山本ACから「1、2年生で戦う」という言葉を告げられたという。3年生にとって高校最後の大会。下級生が主力としてプレーする時間帯が増える中、吉田の胸に浮かんだのは3年生への思いだった。

「自分たちがやりきれなかったら、3年生も悔いが残ってしまう」。だからこそ、コート上では自然と「3年生のために」という声が出たという。点差を追う厳しい状況でも、チームを前に進めようとするその姿勢は、数字には表れない部分で京都精華を支えていた。

 山本ACは、その吉田については試合前に「ガードとして迷いをなくし、自分が得点していく存在になる必要がある」と伝えていたという。積極的にシュートを狙う姿勢は見られたが、大阪薫英の万全な試合運びを狂わせるには至らなかった。

 ウインターカップ3位という結果は、インターハイ後のチーム状況を踏まえれば前進と言えるのかもしれない。一方で、4連覇という目標を果たすことはできなかった。吉田自身も「(この1年での)成長は感じるが、1位を獲るためにここまでやってきたので」と語り、悔しさを隠さなかった。

 最上級生となる来シーズンは、吉田ひかりをはじめ、これまで主力として経験を積んできた満生小珀や谷彩南らが中心となり、チーム作りが進んでいくだろう。準決勝で味わった敗戦は、京都精華学園にとって一つの区切りであると同時に、次のシーズンへ向かう出発点でもある。失ったタイトルとプライドを取り戻すシーズンはもう始まっている。

文=入江美紀雄

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