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1月5日、京王アリーナTOKYOで行われた「京王 Jr.ウインターカップ2025-26 2025年度 第6回全国U15バスケットボール選手権大会」女子2回戦の第2試合で、シード校の四日市メリノール学院中学校(以下、メリノール)が山形ワイヴァンズU15女子を88-38で破り、3回戦進出を決めた。
試合は立ち上がりからメリノールが主導権を握った。初戦特有の硬さを想定し、シュートの成否に左右されない入りを徹底。リバウンドとディフェンスからの速攻を軸に試合を組み立て、第1クォーターから集中力を保ってリードを広げていった。
試合後にメディア対応した稲垣愛ヘッドコーチは、「初戦なので、シュートが最初は入らない前提で、オフェンスリバウンドの意識を持つこと。あとはディフェンスからブレイクで終わることをシンプルに伝えた」と試合の入りを振り返った。
今大会に向けた成長については、夏の全国中学校大会での敗戦が一つの転機になったという。「夏に悔しい負け方をして、そこから子どもたちが自分たちで話をするようになった。特定の選手任せにせず、周りの選手がレベルアップしてくれた」。チーム全体の底上げが進んだことが、安定した試合運びにつながったという。
今後のポイントとして稲垣HCが挙げたのは、サイズや派手さではなく、基本的な要素だった。「突出して大きい選手はいないが、平均的にはサイズがある。だからこそ、ディフェンスとルーズボール。そこをどれだけ徹底できるかが大事になる」。勝ち進むための条件を、足元の部分に定めている。
この日、稲垣HCにはもう一つの役割が控えていた。四日市メリノール学院高校の指揮官も務める同HCは、中学の試合後、皇后杯ファイナルラウンドに出場する高校チームに帯同。東海地区代表として皇后杯に進んだ同校は、この日、社会人チームの山形銀行と対戦することになっていた。
本来であれば、ウインターカップ終了後は新チームへ移行する時期だが、今年は3年生の意思を尊重し、皇后杯への出場を選択した。「『どうする?』と聞いたら『やりたい』と言ってくれた。『1月2日から練習になるけど大丈夫』と確認しても、『やります!』と言ってくれて」と笑顔を見せた。
さらに指揮官が口にしたのは、環境そのものではなく、選手を支えてきた周囲の存在だった。「学校の指導だけじゃない。親御さんの関わり方もあるし、中学時代にきちんと指導してくださった先生方もいる」。日々の声掛けや姿勢など、関係者一人ひとりの心がけが、選手の土台を形作ってきたという認識だ。
昨年末のウインターカップでは、高校チームは2回戦で精華女子高校(福岡県)に79-88で敗れた。試合後、稲垣HCは3年生に対し、「やることはやったし、やりきった。だから泣かなくていい」と声を掛けたという。結果だけでなく、そこに至る過程を含めて肯定できる内容だった。
「普通、高校生だと斜に構えたりしがちな時期だけど、そういうところがなかった」。最後までバスケに真っ直ぐ向き合った姿勢を、稲垣HCは振り返る。その姿は、同じ空間で練習する中学生にとっても、日常の中で自然と伝わっていくものだった。
「もう本当に忙しい」と最後も笑顔で語った稲垣HC。それも大好きな選手たちとの時間が増えるという“お年玉”を、その選手たちから贈られたとも言えるだろう。まさに、指導者冥利に尽きると言えるだろう。
文=入江美紀雄