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10月11日、『3x3.EXE PREMIER JAPAN 2020 CUP powered by Sun Chlorella』が開催された。
通常であれば5月から日本、チャイニーズタイペイ、インドネシア、ニュージーランド、タイの5カ国でレギュラーラウンドを行い、その後のプレーオフで頂点を決める戦いに進むが、今シーズンは新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止。3×3の選手はプレーをする場所を失うことになったが、代替大会として「3x3.EXE PREMIER 2020 CUP」の開催が決定した。
この大会は男子が4回、女子が2回行われる予定で、全てのラウンドでオープンエントリー制を採用。参加を希望するチームのみが出場する形式とし、対戦方式も1発勝負のトーナメント制とした。従来であればグループステージを戦い、その後上位チームがプレーオフを戦うが、その方式では1チームの滞在時間が長くなってしまい、新型コロナウイルスの感染対策が十分に取れない可能性が生じてしまう。そこでトーナメント制を採用し、敗れたチームにはその時点で帰宅してもらうことでリスクを軽減した。
感染対策と大会運営という両輪を回しながら行った今大会は、決勝戦で3×3日本代表の落合知也が率いるTOKYO DIME.EXEと、Bリーグで実績を残してきたカイル・リチャードソン擁するTOKYO CRAYON.EXEが対戦。両者一歩も譲らない展開の中、TOKYO CRAYON.EXEが着実にリードを広げ、20-15で優勝を果たした。
今大会はリモートマッチ(無観客試合)として開催されたが、新たな取り組みとしてYouTubeでCGを活用した映像配信を行った。試合映像に宇宙船の中にいるような映像を合成した配信となったが、「新たな視聴体験をしてもらいたかった」と大会を運営するクロススポーツマーケティング株式会社の北村正揮氏はその背景を話す。
「私たちはこれまで平安神宮や横浜赤レンガ倉庫など、人のにぎわいのある中で大会を開催してきました。しかし、新型コロナウイルスの影響で、従来の方式では『3密』に該当してしまいます。お客さんを入れられない、体育館で開催しないといけないという条件がある中で行きついたのが『宇宙船の中でやっているような映像を流す』ということでした。そういう配信にしたら、新しい3人制バスケを視聴者の方が観られるのではないかと思い、このような形に行き着いたんです」
選手がプレーするコートを巨大なグリーンバック(映像の合成のために使われる緑色の背景のこと)が覆うようにして設置することで、『宇宙船の中』という映像の合成が可能になったが、設置から配信のテストまで準備に「約13時間ほど掛かった」(同氏)という。
「はじめはお客さんを入れて開催するわけではないので、そんなに時間が掛からないだろうと思っていましたが、コートを張ったり、ラインを引いたり、配信のチェックをしたりしているとだいぶ時間が掛かってしまいました」
新たな視聴体験の提供――。コロナ禍で配信に特化するという方針を掲げ、さまざまなチャレンジを進めた同氏だが、CG配信には越えなければならないハードルがあったと話す。
「CGグラフィックを使って大会をやりますとスポンサーさんに話をしても、『え?』というような反応でした。少なくとも日本では誰もやったことがない取り組みだったので、皆さんイメージができないんですよね。なので、どういう画で大会が行われるのか丁寧に説明して、ご理解をいただきました」
無観客、そして巨大なグリーンバックに囲まれての試合は「なかなか実感が湧かない」と語る選手もいたが、配信ではCGに囲まれながらの試合を観て「宇宙みたいでカッコイイ」、「コートがめっちゃカッコ良くていい」と視聴者がコメントしており、確かな盛り上がりを見せていた。
新型コロナウイルス感染拡大後はプレーをする機会をなかなか得られなかった選手たちは、水を得た魚のように生き生きとプレー。選手たちは口々に「こんな状況の中で試合をできたことがうれしい」、「大会を開催していただけること自体に感謝している」と話していた。男子の大会は残り3大会が年内に予定されている。来年行われる東京オリンピックに向け、3×3はどのように盛り上がっていくのか。今後の動向を楽しみにしたい。