Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
東京2020オリンピックでは、3x3女子日本代表がメダルこそ届かなかったものの5位と健闘。そして5人制では快進撃を続けて準優勝、銀メダルを獲得した。
日本だけでなく世界を熱狂させた日本代表選手たちにオリンピックのことや10月から始まるWリーグ、さらにはその先についての話を聞いた。
第4回は豊富な運動量を武器とする3x3女子日本代表の篠崎澪(富士通レッドウェーブ)。試合では大事な場面での得意など、攻防においてチームを支えた。最後の最後でメンバー入りを逃したリオ五輪から5年。悲願の五輪の舞台でベテランが大きく躍動したといえるだろう。
――まず、東京オリンピックを振り返ってください。
篠崎 結果的には5位で終わったので、悔しい気持ちが大きいですが、これまでずっとOQT(オリンピック予選)の前から強化をしてきて、チームとしてもどんどん成長できたのかなと感じました。オリンピックでは、予選でフランスやアメリカにも勝つことができたので、そういった面でも成長を感じました。
でも、5人制のチームがしっかりと銀メダルを取っているので、それを見ると悔しさがありましたね。私たちもメダルを取りたかったなと感じますし、そんなに甘くないよということも思い知らされました。
――3x3日本代表の奮闘はオリンピック序盤を盛り上げました。
篠崎 SNSでも「初めて見たけれど、面白いし、感動しました」と言ってくださる方が多く、3x3という競技を知ってもらうキッカケになったことは良かったですし、何か残せたかなとは思いました。
――3x3は試合時間が短いとはいえ、1日2試合です。
篠崎 1日2試合というのは3x3だと普通ではあります。しかし、オリンピックは5日連続なんです。私たちは(準々決勝で敗退したため)4日連続でしたが、4日連続もなかなか経験のないことなのでハードでしたね。OQT(オリンピック予選)でも休息日が1日あるので、『こんなにすごい大会で、こんなキツい日程なの?』とは思いました(笑)
――特に4日目は予選ラウンド最終戦でアメリカに勝ち、その日のうちに準々決勝でフランス戦でした。
篠崎 アメリカに勝って勢いに乗れたので、その勢いを持っていければ良かったんですけど、やっぱり相手も日本に1度負けているし、トーナメントは負けたら終わりなので、気持ちを入れてきていましたね。
――大会を通しての自身のプレーは?
篠崎 (5月末の)OQTで自分のプレーができなくて、すごく悔しい思いをしたので、それに比べたらオリンピックは自分らしいプレーを要所で出すことはできたのかなと思います。それでも、思い返すと細かいところで、『ああしておけば、こうしておけば良かった』というのはあります。
――そのOQTと比べてオリンピックで良くなったところは?
篠崎 外のシュートをしっかり狙っていけたと思います。OQTでは全然打ってないですし、2ポイントシュートは1本くらいしか入れてないので、そこはオリンピックに向けて打数を増やそうと強化してきました。数字的には足りていないですが、OQTよりは良かったですね。
――篠崎選手は運動量が多くて、スタミナもありますよね。
篠崎 そうですか? けっこうヘロヘロでしたよ。自分の中ではすごくキツいんですよ、本当は。でも、周りからは「そう見えない」とよく言われます。つらい時の顔が笑っているように見えちゃうみたいで…(笑)。ただ、動かないと私の良さはなくなるとは思っています。
――初めてオリンピックの舞台に立った感想は?
篠崎 実際はあまり実感がなかったのですが、周りの反響などで『やっとここに立てたんだな』とは思いました。リオの時は(12人のメンバーに)残れなくて、何回か辞めようとも思ったのですが、そこで粘って頑張ってきたおかげで、競技は違いますが、またチャンスをいただけて。本当にチャンスを与えてくださった方々に感謝していますし、頑張って続けてきて良かったなと思います。
――リオ五輪で悔しい思いをした後も常に日本代表に参加していました。
篠崎 チャンスが少しでもあるならという思いと、日本代表の合宿に行ってマイナスになることは絶対にないじゃないですか。高いレベルでいろいろ学べますし、上手い選手がたくさんいて、吸収できることがたくさんあるので。もちろん、その中で一番は自分のプレーをアピールしたいということですが、プラスのこともたくさんあると思っています。
――オリンピックは無観客ではありましたが、会場の雰囲気などはどのような感じでしたか?
篠崎 観客はいなかったのですが、ボランティアの方が結構いらっしゃって、試合会場に行く道でも「頑張ってください!」と応援してくれました。歓声はなかったですが、そういった方たちがいてくれるだけで心強かったですね。
――オリンピックの経験を富士通にどう生かしたいですか?
篠崎 3x3は1本のシュートが大事になり、そこでチームが苦しい時に決め切ることができたので、それを富士通でも継続してできるように。苦しい時の大事な1本を託してもらう、決め切れるようにしていきたいです。
――富士通での役割はそれまでと大きく変わらないですか?
篠崎 変わらないですね。変える気もないですし(笑)。点を取ることと、私がアタックして周りを生かすこと。それと、タイトなディフェンスを続けるなど、役割をしっかり果たしたいです。
――チームとしては日本代表の宮澤夕貴選手がENEOSサンフラワーズから移籍しました。
篠崎 経験がある分、練習をしていてもリーダーシップを取ってくれるので、チームのプラスになっています。まだ一緒に練習している時間も短いので、積極的にコミュニケーションを取りながらやっているところです。
――金沢総合高校(神奈川県)で2学年下の後輩でもありますよね。
篠崎 このタイミングで一緒のチームになるとは思わなかったですね。高校の時からお互いに成長しているので、頼もしくなって、レベルが上がった状態で一緒にプレーできるのは新鮮です。
今回のオリンピック出場は、(高校恩師である)星澤純一先生もすごく喜んでくださって。大会後に、アース(宮澤)はメダル取れたけど私は取れなかったので、プレゼントを届けに来てくれました。
――今シーズンはどのような富士通を見せることができそうですか?
篠崎 昨年からのメンバーに宮澤と中村(優花)が移籍で入り、層が厚くなりました。若手選手も頑張っていて、経験を積み重ねているので、いろんな選手が活躍できる、誰が出てきてもしっかり富士通のバスケットを見せることができると思います。
――その中でも困ったときは私が決めるという思いですよね?
篠崎 そうですね。決めたいとは思っています。でも、困った時に決めることができる選手がいっぱいいるので、その中で自分に与えられたら、しっかり決めたいし、積極的にやっていきたいと思っています。
――個人的な数字の目標を教えてください。
篠崎 昨シーズンが確か15得点(※レギュラーシーズンの一試合平均は15.75点)。本当は、毎シーズン20得点を目指しているので…今シーズンは17得点位を目指して(笑)。点数を取れる選手が増えたので、自分の点数はそこまで伸びなくなってはきそうかなと…。ただ、その分、別のところで頑張ることができると思うので、そういったことも意識して臨みたいと思います。
取材・文=田島早苗