2019.01.06

ちょっとした戦術のミスが命取り。モチベーションを高めて試合に臨んだA東京が先勝

的を絞れなかった栃木のディフェンスの間隙をついて、馬場雄大らがドライブでリングに迫ったA東京 [写真]=B.LEAGUE
バスケットボールキング編集部

 1月5日、Bリーグ第18節、2019年最初のゲームとなるこの日、東地区の首位を走る栃木ブレックスとその栃木を追うアルバルク東京が、A東京のホーム、駒沢オリンピック公園総合運動場体育館で行われた。2019年の最初のゲームということもあり、3,557名のファンが熱い声援を送った。

 激戦の東地区で上位争いを切り広げているこの両クラブ、今シーズンはすでに2回対戦しているが、第1戦が79-74で栃木が、第2戦は64-63とA東京が勝利をあげて1勝1敗のタイ。しかも共に最後までで勝敗の行方が分からない接戦だっただけに、この日も大熱戦が予想された。

 しかし、終わってみれば第1Qの攻防がこの試合を決めたと言っていいだろう。最終スコアは79-62、一時は6点差まで追い詰めた栃木だったが、最終的には試合開始当初のリードを守ってA東京は勝利した。

 試合後の記者会見に臨んだ栃木の安齋竜三ヘッドコーチは、「試合の出だしで準備してきたディフェンスが機能せず、チームが混乱して崩れてしまった」とティップオフ直後のチーム状況を解説。その場面、先鞭をつけたのがA東京の安藤誓哉菊地祥平だ。栃木のディフェンス網を縦に切り裂き、レイアップで連続得点をあげていく。さらに畳み掛けるようにエースの田中大貴がピック&ロールからのジャンプシュートを決めて、A東京はペースをつかんだ。

 大事な一戦をに臨むにあたり、どのような準備をしてきたのか、これまでと違う戦術を用いたのか、試合後の記者会見でルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチにそれを問うと、「栃木は常に競り合う相手だが、今回の対戦で特別戦術を変えたわけではない。ディフェンスからリズムを作る自分たちのスタイルを徹底しただけ。栃木のディフェンスを抑えられたから(第1Qで)29点も取れたと思う」と、満足気な表情を浮かべて振り返った。

 電光石火のスタートに成功したA東京、それはスタッツにも表れている。第1Q、A東京が犯したターンオーバーの数は実に0。これは前半が終わるまで継続され、栃木の速攻による得点を許さなかった。また、A東京の2ポイントシュートの成功率が69.6%だったのに対して栃木は39.1%。それだけにA東京のディフェンスが厳しかったことの証左だが、それをアレックス・カークが犯したファウル1個のみで遂行したのだから、A東京がいかに万全な試合運びをしたのかが見て取れる。

 後半、栃木はオールコートのプレスディフェンスやチェンジングディフェンスでA東京のペースを乱して追い上げを図ったが、「基本的に完敗。A東京のピック&ロールに対してズレを作らせないように守ろうとしたが、それに順応してきていた。さすがと言うしかない」と安齋HCは素直に負けを認めた。

後半、栃木はチェンジングディフェンスでA東京を翻弄。第2戦に望みをつなげた [写真]=B.LEAGUE


 一方のルカHCは「12月は勝てる試合を落として、上位の栃木や千葉(ジェッツ)と差をつけらたりしてしまった。この試合の前はその差をいかに縮めるかを選手たちには話をして、準備を行った。取り組み方についてはこれまでと変わりなかったが、自分たちの立場を考えて今日の試合に備えた」ことが大事な連戦で戦勝できた要因と言えるだろう。

 栃木との勝利の差を4つに縮めたA東京だが、2戦目を落としてしまえば、その差は元に戻ってしまう。それだけに連勝が不可欠だ。一方栃木の後半の追い上げは、2戦目に向けての好材料だったと言えるだろう。反対に高いモチベーションを持って好ゲームを演じたA東京はこれを続けたいところ。第2戦は1月6日午後3時5分にティップオフ。さらなる激戦が期待される。

文=入江美紀雄

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