2025.05.19

お手本を見せる大阪の合田
部活動の地域移行が全国的に進む中、バスケットボール界においても新たな指導者養成の取り組みが始まっている。公益財団法人安藤スポーツ・食文化振興財団が大阪市との連携協定に基づき実施する「安藤財団コーチングアカデミー~未来のブカツを育てる指導者養成プロジェクト~」に、日本バスケットボール協会(JBA)が参画し、質の高いバスケットボール指導者の育成に取り組み中だ。
公立中学校の運動部活動は、少子化や社会・経済状況の変化により従来の運営体制での維持が困難な状況だ。バスケットボール部においても、専門的な知識を持つ指導者の不足は深刻な課題。スポーツ庁が推進する段階的な地域連携や地域スポーツクラブへの移行において、指導者の質の向上は避けて通れない重要な要素だ。
安藤財団コーチングアカデミーではJBAとの連携により、バスケットボール指導者に対する包括的な支援メニューを展開している。特に注目されるのが「競技指導者資格の取得促進」。大阪市立中学校の部活動指導者を対象とし、JBAが認定する「JBA公認E級コーチ」および「JBA公認D級コーチ」の取得を支援中だ。これらの資格は、バスケットボールの基本的な指導知識と技能を体系的に習得できる内容で、専門性を持たない指導者でも安全で効果的な指導が可能となる。
「トップアスリート指導会」では、大阪市にゆかりのあるバスケットボールのトップアスリートを招き、実践的な指導会を開催。現役選手による直接指導は、技術的な指導方法を学ぶだけでなく、指導者と生徒双方のモチベーション向上にも大きな効果をもたらす。アスリートが語る競技の魅力や中学時代の指導者とのエピソードは、指導現場での貴重な気づきとなる。
「指導者基礎ナレッジ研修」では、バスケットボールの技術指導に加えて、現代の中学生を指導する上で必要な適切なコミュニケーション方法や安全管理について学ぶ機会を提供。研修内容はeラーニングコンテンツとしても開発され、指導者が自分のペースで学習できる環境が整備されている。
実績面では、2025年5月17日に大阪市総合教育センターで開催された「大阪市指導者基礎ナレッジ集合研修会」を皮切りに、具体的な活動を展開。参加した指導者からは、「バスケットボールの技術指導だけでなく、選手との関わり方について新たな視点を得られた」との声が寄せられた。

選手たちも子どもたちとの交流を楽しんだ
トップアスリート指導会では、大阪エヴェッサの木下誠が「僕が小学生のときに今野翔太さん(現・大阪エヴェッサGM)が僕たちの小学校に来てクリニックをやってくれました。そこでシンプルに『プロってすごい』と思いました。今は僕がこうやってプロの立場になり、いろんな学校に行くようになっています。そこで触れ合う子供たちに少しでも『すごい』と思ってもらい、バスケを好きになってほしいという気持ちでやっています」とコメント。
同じく大阪の合田怜は「今は高校を卒業してすぐB.LEAGUEに来ても通用する選手がいます。特に技術面では育成年代でもプロと遜色ないレベルの練習をしていて、次から次へといろんな技術を習得しています。そんな育成年代の子供たちのあこがれの対象になったり、夢を与えることは僕らプロにとってすごく大事な役割なので、こういう活動は個人としてもチームとしても積極的にやっていきたいです」と活動への思いを語った。
指導面では、大阪U15の仲剛士アシスタントコーチが「大前提として、バスケットボールを『楽しく』やってもらうことを一番に考えています。ミスを注意するのではなく、チャレンジしたことを褒める。シュートが決まっても外れても、褒めたり、細かいアドバイスをしたりすることで子供たちの成長スピードは速くなります」と指導方針を説明。
参加した大阪市立堀江中学校の小野田くんと松下くんは「レイアップを打つにしてもプロの視点はいつもと違ったし、練習の後に選手の2人からプロが試合の時にどんなことを考えているか聞いたり、身体作りについて聞いたりできて良い経験になりました。合田選手から『試合に入る前に、その試合での目標を決める』と聞いたので、僕たちも毎日の練習から目標を作ろうと話しています」と収穫を語った。
この取り組みは、単なる技術指導の向上にとどまらない。JBAが長年培ってきた指導者育成のノウハウと、地方自治体の実情を組み合わせることで、地域に根ざした持続可能なバスケットボール指導体制の構築を目指す。心身の成長が著しい中学生世代に対して、適切な指導を行える人材の育成は、日本バスケットボール界全体の底上げにつながる重要な取り組みといえる。
8月2日から3日には、安藤財団コーチングアカデミーの取り組みの一環として、横浜市でも「D級コーチ養成講習会」を実施する予定。JBAも全面的にバックアップしており、部活動の地域移行という環境変化に対応した新たな指導者養成モデルの構築に向けて、着実に歩みを進めている。このモデルが全国の自治体に広がることで、日本全体のバスケットボール指導環境の向上が期待される。
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