2018.08.05

激戦区東海ブロックで切磋琢磨。四日市商が近畿の強豪大阪薫英を破る

最後までルーズボールに絡んだ四日市商(白)[写真]=兼子愼一郎
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

 三重県から出場の四日市商業高校が、近畿大会を制して第2シードに入った大阪薫英女学院高校(大阪府)に試合開始からがっぷり四つの戦いを挑んだ。第4クォーターの終盤、大阪薫英が1点リードの場面、四日市商の堀江ゆうみがフリースローを1本決めて同点に追いつくと、四日市商は井谷彩良がゴール下のシュートをねじ込み、2点のリードを奪った。

 残り時間は27秒、大阪薫英はタイムアウトを取りオフェンスの指示を与えるが、このシュートが落ちて万事休す。その後ファウルゲームに出るが、四日市商はその後も落ち着いた試合運びでフリースローを決め、大金星を獲得した。

 各ポジションでミスマッチになるほど、サイズ的には四日市商が不利な状況だった。しかし、四日市商はボックスアウトを徹底。体を張って、大阪薫英の選手を飛ばさないようにゴール下で奮闘する。さらにボールをキャッチできないにしても、そのボールをティップしてマイボールを獲得。これを40分間やり抜いたことが大きな勝因だろう。

 地元が近いこともあり、多くの関係者と握手を交わした後、取材に応じてくれた横山俊幸コーチは、「普段よりも外角からのシュートが入らずロースコアの展開となったが、最後まで離されずについていけた。加えて、ゴール下でも堀江が点を取ってくれたのも大きい。リバウンドはとにかく負けるなと試合前に指示をした。それが徹底できたのも大きかった」と、笑顔で試合を振り返った。組み合わせが決まった時点から大阪薫英との一戦に焦点を絞り、「ここで一発やってやろう」と準備を進めてきたという。「うちには珍しく大きな選手(堀江ゆうみ/177センチ)がいるので、もっと上を目指せるチーム」と胸を張った。

 殊勲の決勝シュートを決めた井谷は「“走る”“守る”“粘る”をモットーに練習を積んできました」と表情を崩した。(勝負を決めた)シュートは「こういう時こそ自分」という気持ちで打ったという。「リバウンドとルーズボールは絶対に負けない気持ちで、最後までディフェンスをやり抜くことが徹底できたのが大きかったと思います」と勝因を語った。

「うれしいですけど、目標はベスト4です」とも語った四日市商の井谷[写真]=兼子愼一郎


 また両チーム最多の22得点を挙げた堀江は、「相手に簡単にリバウンドを取らせない」ことを意識していたという。堀江も「ルーズボールは練習してきた」と語り、最後まで粘れたことが勝因と異口同音に語っている。「自分は体が細く弱いので、次の試合からは押し負けないようにしたい」と最後は課題を口にした。

 普段から愛知や岐阜、静岡という高校女子では強豪校の多い県としのぎを削り合うことことが多い四日市商。「東海ブロックではついていくのが精いっぱいだが、そのおかげで切磋琢磨させてもらっている」と横山コーチは語る。この勝利は決してフロックではない。それを証明するためにも目標とするベスト4入りを目指したい。

文=入江美紀雄

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