2019.12.26

得点力をいかんなく発揮した聖カタリナ学園・森美月。高校最後の冬は「やり切りました」

チーム最多の21得点をマークした聖カタリナ学園の森[写真]=大澤智子
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 12月23日(月)より開幕した「SoftBank ウインターカップ2019 令和元年度 第72回全国高等学校バスケットボール選手権大会」。3試合を終えて1試合平均得点で27.33の数字を叩き出していたのが聖カタリナ学園高校(愛媛県)の森美月だ。

 163センチと決して高くはないが、スピードあるドライブや勝負強い3ポイントシュートで得点を量産。東京成徳大学高校(東京都)との3回戦では試合終盤の大事な場面での得点が光り、逆転勝利に一役買った。

 だが、4年ぶりのベスト4を目指して臨んだ準々決勝。ポイントゲッターの森に対し大阪薫英女学院高校(大阪府)は徹底マークを施す。「フェイスガードをされてうまくボールがもらえなくて、前半は自分のドライブができませんでした」と森自身が言うように、ハードなディフェンスの前にリズムを狂わされてしまう。何とか得点を重ねて一試合を通して21得点を挙げたものの、最後は62―66で敗れた。

 もともと、森は根っからの点取り屋。勝山中学校(愛媛県)の時には3年次の全国中学校大会で1試合52得点を叩き出したこともある。

 もちろん、地元の名門校・カタリナへ入学し、早くからその活躍を期待されたのだが…。ディフェンスに課題を残すことと、1年生の冬には膝の前十字靭帯を断裂したことも重なり、2年生までは日の目をみることがなかった。

 それでもケガのリハビリ期間は「体も出来ていなかったので、ウエイトトレーニングを多くして、ご飯もよく食べて体を大きくするようにしました。その時期に体幹を鍛えられたことでシュートも安定してきました」と無駄ではなかった。

 そして迎えた高校ラストの年。「悔いが残らないように」と森は覚悟を決める。

 春先にはキャプテンの池松美波がケガにより練習に参加できない状況だったため、「中学ではプレーで引っ張る感じだったけれど、高校ではプレーだけでは周りも付いてこない。キャプテンがいない時に私がどれだけチームを引っ張っていけるか。美波は練習の時もいなかったので、練習から自分が一番にやること、それと声を掛けながら引っ張っていくことを意識しました」と言う。

 その姿はしっかりと指揮官の目にも映っており、後藤良太コーチは「“私がチームを引っ張る”という思いからか、後輩などチームメイトたちによく声を掛けていました。人としてすごく成長したと思います」と言う。

 試合は薫英の堅いディフェンスの前に惜敗となったが、「4点差を縮めることができなかったので悔しいのですが、やり切りました」と森の表情は実に晴れやかだった。

森は得点だけでなく声掛けなど3年生としてチームをけん引した[写真]=大澤智子

 カタリナに入学当初は「高校になるとガタイも変わってきて当たりも強くなってくるので、自分のプレーが通用しなかった」という壁に当たり、そして大ケガも乗り越えた3年間。

「1、2年生の時は思うように試合も出られなくて、それがすごく悔しくて自主練習も一生懸命やってきました。ディフェンスが特に苦手だったので、1、2年生の時は主にディフェンス。3年になってからはスピードも出てきて自分の思うようなプレーができたと思います」と森はこれまでを振り返った。

 今大会で大きく飛躍した小さな点取り屋。「大学でもスピードを生かして、大きい人に負けずに『小さくてもできる』というのを全国の人に見せたいと思います」と、最後は笑顔で会場を後にした。

文=田島早苗

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